前半は太宰自身の虚無が感じられて、読み進むのが辛かった。しかし後半。終わりへ近づくにつれて、立ち込めていた冷たい霧が少し晴れて、淡く色を見せ始めていくような、微かに光を放つような、そんな印象を受けました。
 マイナスに凍る愛。変わり得ぬ心。この小説のイメージとして真っ先に浮かんだのは、Dir en greyの「予感」。冷たいアレンジのオルゴールヴァージョンなら尚良く、鬼塚ちひろのアルバム「インソムニア」もこの作品に合うと感じました。
 「斜陽」は太宰が魂を込めた作品。
 今まで太宰に対しては陰鬱なだけというイメージを持っていましたが、真にロマンというものを解していた人だったのですね。
 多少の忍耐は要しますが、必読書の一つとして推薦します。
 

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