塩田明彦監督 「黄泉がえり」
2005年6月11日 映画
音の狂ったピアノと、「また歌える・・・」、同じタトゥーを入れた二人。導入部分がとても素敵です。蛍の光に照らされる水たまりを、黄泉がえった男の子が少しためらいながら踏むのも物語を予感させます。葬儀の途中黄泉がえる少年がいるけれど、これは葬儀中、彼を想う少女が「生き返って」と願ったからなのでしょう。
電車の中で黄泉がえった少年と男の子が浦沢直樹の「20世紀少年」を読んでいるのには少しくすりとさせられました。登場人物を多くしたのには賛否両論がありますが、これはこれで良いと思います。想像する楽しみがありますから。黄泉がえるには体の一部がないと駄目、という設定も良いと思います。現実でも、人間は死んだって消えはしません。どんな葬り方であろうと、ほぼ例外なく、骨は残るのですから。骨は、確かにその人なのですから。後半で、石田ゆり子さん演じる女性(役名を失念)が生死の境を彷徨いますが、この時彼女の夫は(彼は「黄泉がえり」)彼女をつれていこうか迷っていると思います。観客をハッとさせるシーンです。ただ・・・、ここで「黄泉がえり」側の葛藤を描くならば、もう少しそれに重点を置いても良かったのではないでしょうか。余りにもみんな、いい子に「あちら」へかえっていく。抗えない現実だとしても、もし自分が「黄泉がえり」だったなら、こんなに大人しく諦めるのはきっと無理です。冷静に事実を受け入れることなんて出来ない。大好きな人たちとまた離れ離れになってしまうんですよ? きっと思いきり悲鳴をあげて、留まりたいと願う。「黄泉がえり」は死んだ人たちだから、生きている人間とは違う思いがあるのだとしても。そういう境地にいるのだとしても。残される生きている人間のために、潔くかえっていくのだとしても。全体を通して演出家が心を砕いたことが窺える映画ではあるけれど、脚本の段階でそこまで突き詰めていないのかな、と首を傾げてしまいました。ともあれ、好きな映画です。
RUIのライヴのシーンが心にぐっと迫ります☆
観ていて、黄泉がえりが本当にあったら良いのに・・・と、思わずにはいられませんでした。
電車の中で黄泉がえった少年と男の子が浦沢直樹の「20世紀少年」を読んでいるのには少しくすりとさせられました。登場人物を多くしたのには賛否両論がありますが、これはこれで良いと思います。想像する楽しみがありますから。黄泉がえるには体の一部がないと駄目、という設定も良いと思います。現実でも、人間は死んだって消えはしません。どんな葬り方であろうと、ほぼ例外なく、骨は残るのですから。骨は、確かにその人なのですから。後半で、石田ゆり子さん演じる女性(役名を失念)が生死の境を彷徨いますが、この時彼女の夫は(彼は「黄泉がえり」)彼女をつれていこうか迷っていると思います。観客をハッとさせるシーンです。ただ・・・、ここで「黄泉がえり」側の葛藤を描くならば、もう少しそれに重点を置いても良かったのではないでしょうか。余りにもみんな、いい子に「あちら」へかえっていく。抗えない現実だとしても、もし自分が「黄泉がえり」だったなら、こんなに大人しく諦めるのはきっと無理です。冷静に事実を受け入れることなんて出来ない。大好きな人たちとまた離れ離れになってしまうんですよ? きっと思いきり悲鳴をあげて、留まりたいと願う。「黄泉がえり」は死んだ人たちだから、生きている人間とは違う思いがあるのだとしても。そういう境地にいるのだとしても。残される生きている人間のために、潔くかえっていくのだとしても。全体を通して演出家が心を砕いたことが窺える映画ではあるけれど、脚本の段階でそこまで突き詰めていないのかな、と首を傾げてしまいました。ともあれ、好きな映画です。
RUIのライヴのシーンが心にぐっと迫ります☆
観ていて、黄泉がえりが本当にあったら良いのに・・・と、思わずにはいられませんでした。
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