ココ・シャネルについて知りたくて、まず大まかなことを知っておこうと手に取ったのがこの本でした。シャネルの他、キュリー夫人、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、シモーヌ・ヴェイユ、短くはあるけれどモンテスパン公爵夫人、ロラン夫人、ジョルジュ・サンドについても書かれている。わたしにとって特に興味深かったのは、やはりココ・シャネルの章でしょうか。雑誌などで華々しく紹介されるこのブランドの歩みや方向性は、これまでイメージしていたものとは違うものでした。彼女の最後の挑戦の箇所では感動を覚えたほど。二十世紀という「時」を戦い抜いてきたブランド。高級ブランドではあるけれどただ値段が高いわけではなく、その値に値するのだと知りました。だからわたしはいつかシャネルが似合う女性になりたいと思う。しかし彼女はたくさんの女性たちを過度な装飾から解放し、肉体的にも精神的にも自由を与えたけれど、彼女自身は孤独なままだった。巧みな言い回し方もそれゆえでしょうか、才能の代わりに欠如したものを埋めきらなかった。いつかココ・シャネルが生まれ変わってまたこの地上に現れたとしたら、今度は女性としても幸せな人生を歩みますように。そして前世の彼女の生き方も、愛せますように。
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