書いた人のルイス・キャロルへの愛が伝わってくる、そういう本です。わたしはこれを読んでますますルイス・キャロルを好きになりました。と言っても「不思議の国のアリス」しか読んだことがなく、「鏡〜」などの他の作品についてはろくに知らない状態からの出発でしたが。
 写真や絵や彼の手紙、色彩の選び方、作品から感じられるルイス・キャロルというひと。痩せていて背が高くて、子ども好き。いつも1分遅れている時計より完全に止まった時計の方が役に立つ、なぜなら1日に2回正確な時間を示すから、なんて言ってしまうおじさん。子どもの方も彼を好きにならないはずがない。
実物のアリスの写真も載っていて、綺麗な子だけれどそれだけではなく芯から光る何かを持ち合わせている子だなと思いました。この子に彼が惹かれ、「不思議の国のアリス」が生み出されたのは当然だったでしょう。ロリコンだなんて下世話な言い方、やっぱり彼は恋をしていたのじゃないかしら。叶わない恋だったけれど・・・、けれどかつて「金色の午後」で彼の紡ぐアリスの物語を聞いていた彼女は、まさしくその物語の中に今もいる。『キャロルがどのようにして、彼の心のなかに「不思議の国」を育てていったか。そのことについては、あまりよくわかっていない。もっとも重要な資料である、彼の20代後半の日記が失われてしまっているからである。したがって、この問題については当時の彼の手紙や友人たちの記憶、その他の資料に頼らなければならない』(P64より)。こういう謎があることも素敵だなあと感じます。
 彼の作品のあらすじや彼が遊んだ子どもたちへ書いた手紙、年譜やそれに関する地図も載っているこの本。写真と絵がとても多いので目でも楽しめますよ。

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