授業が終わり帰ろうとしていると、大学の門の前にFくんがいるのを見つけた。
 もともと神戸の人。母親の実家が熊本だということで時々来ることはあるけれど、今日は本当に突然だった。
 どうしたの、とは聞かなかった。彼も言い出さなかった。
 髪が茶色くなって長くなり、また少し痩せたようだ。
 考えてみれば不思議な関係だと思う。1年以上前に友達の紹介で友達として出逢ってからもう1年。最初は変な人だなあと思った。怖くもあった。彼ほどに思ったことをはっきり言う人はなかなかいない。放っておいたら街で見かけた知らない人にも「ぶさいくですねえ」とか言ってしまう。わたしも過去色んな趣味に手を出していた頃に「食べはするけど消化・吸収はしないよね」と言われてグサリときたことがある。しかしそれはぴたりと当てはまっていた。嘘を言わない稀有な人。時々躁うつなんだろうかと思うほどハイになったりする。先日は「赤ちゃんを産みました。あなたの子どもですw」とどこぞの赤ちゃんを抱いて撮った写真つきメールを送ってきた。もちろんわたしはFくんを孕ませた記憶はない。とにかくトンじゃってる人なのだ。ある日唐突に告白されたことがあったけれどそのセリフが「付き合ってくれ」ではなく「結婚してくれ」だった。常識がなさすぎる。
 彼はあまり身の上話をしない。わたしも聞かない。だからもう1ヶ月近く経つだろうか、自分から家族の話をしてきた時はとても驚いた。それで彼の告白のセリフの謎が解けた気がする。家族が一人減ってしまうから、新しい家族が欲しかったのかもしれない。わたしもその家族に会ったことがあるから何となく気づいていた。けれど、わたしの返事はあれで良かったんだろうか。
 あんまりわたしの思う「男性」像とかけ離れていてどう接すれば良いのかわからなくなることもある。今日だって狂ったように古いギャグを言いまくっては自分でキャハハとウケていた。突っ込みを入れると何とも言えない嬉しそうな顔をする。変な人だ。
 これからも見守っていこうと思う。
 わたしは彼を助ける方法を知りたくて精神保健福祉士になるのかもしれないな。
 

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