編集者がどんな視点で本や雑誌を読むのか知ることが出来る本。
 例えば一冊の本を読む時その作者の今までの著作の傾向、どの出版社から多く出しているか、その時の社会情勢はどうだったか・・・などに着目すると読書がぐっと面白くなるのだということを、わたしはこの本に気づかされました。
 P37の、職業に合った服装は威圧感を生むという記述も面白い!
 これは10年以上前に発行された本なので、当時の出版界の動向について書いている後半部分は資料としてちょっと面白いです。ここで「伸びる」と予想された作家が本当に伸びていたり、消えていたり・・・当時政界を引退した人が現在日本のどこかの都知事をしていたり。「戦後派で残るのは遠藤周作だけ」というのは非常に当たっているように思います・・・いえ、個人的にわたしが遠藤周作さんの本を好きなだけなのですが(贔屓目ですみません。しかし作品によっては太宰治さんのより酷い精神的ダメージを被ります)。同じく戦後派の三島由紀夫さんも最近美輪明宏さんたちが紹介しているからか若い人が手にとっているのを目にします。高村薫さんは今も昔もすごい! ・・・団鬼六さんのSM緊縛小説も、映画『花と蛇』を観て昔を思い出した方(団鬼六さんの本が流行った世代、または読者という意味です。SMを昔していた方という意味ではありませんが、勿論そう取っていただいても結構です。笑)が読み返しておられるのではないでしょうか。
 P5には知識の系統化の仕方が書かれています。松本清張さん曰く「横に読め」。本の中に興味のある人や事件が出てきたら、それについての本を読め、と。・・・新しい世界の扉を開くべく、団鬼六さんの本を読もうかしら。爆。緊縛モノ以外も書いてらっしゃるみたいですし。
 この本を読んだ後、わたしはいくつか書店を回ってみました。どの書店でも江原啓之さんの本が積まれており、ある書店では高齢かと見られる男性が真剣な面持ちで江原さんの『スピリチュアル子育て』を立ち読なさっていました。時代ですねぇ。

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