失礼ながら、まずはふと思ったことについて書かせていただきます。P34で『アンティーク・きものブティック一笑』の店主さんが「孫が祖母の着物を着こなす--こんなに素敵な文化の継承ってないでしょう」とおっしゃっているのを読んで、このことに気づいたのです・・・わたしの祖母たちは第二次世界大戦中に着物を食べ物に換えてしまっているので、わたしには継承できる祖母の着物というものがないのです。母の着物を着ることはできても。戦争は文化を失わせるものなのだ・・・と改めて気づいた次第です。
 さて。着物すなわち高価、というイメージをこの本はきれいに拭ってくれました。5000円台や1万円台で買える着物を扱っているお店が紹介されており、その中から気に入ったお店を数店見つけることができました。その中にはネット通販ができるお店もあるので、早速素敵な着物を手に入れたいと思います。そして今年のお花見は着物を着て参ります♪
 この本では京都で着物を着て仕事をしている人、着物を着て行きたい京都の随所も紹介されています。紹介されている場所の一つに河井寛次郎記念館があるのですが、昨年わたしが行った時に着物を着ておられる女性をお見かけしました。この本の初版は2005年発行。もしかするとこの本を読んで来られた方では?とわたしは勝手に想像して喜んでいます。
 シャネルが女性たちをコルセットから解放しそのおかげで女性が活動しやすくなったように、日本女性が着物ではなく洋服を普段着とするようになったのは当然のこと。この本の趣旨とは違ってしまいますが、帯で体をきつく締める着物を普段着とするのは(きつく締めないものもありますが、それはどうしてもカジュアル)、いくら安い着物があっても、洋服で務められる仕事や生活をしている人にはどうしても難しいもの。しかし時には着物を着て、「ああ、これがわたしの着たいものだ」と心を潤わせることはとてもお洒落ですね。この本の題に『〜atキョウト』とあるのは京都が最も着物を普段着のように着ることができるところ、という意味合いがあるのでしょうが、今後京都以外の土地でも着物が若い人たちに時々できるお洒落(成人式や結婚式などの機会にではなく、「着たい」と思った時に着れるような)として受け入れられていくと良いなと思います。

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