星に帰った王子さまは、きっと薔薇と仲良く暮らしている。
 王子さまは薔薇に、遠い星・・・地球で出逢った友人たちの話をするだろう。「地球には綺麗な薔薇がたくさん咲いていたよ。でも、僕にとって1番綺麗なのは君なんだ。君は1人しかいなかったんだ。だから僕は帰ってきたよ」なんて言うのかもしれない(注:実際はこの本にこんなは台詞はありません。似ているものをくっつけて作ってみました)。
 薔薇は王子さまが行った星を知らない。王子さまの友人たちを知らない。自分以外の薔薇を知らない。薔薇は王子さまにとって自分がどんなに綺麗かを知らない。だからまた2人は喧嘩することがあるかもしれない。
 けれどもう王子さまが星を出て行くことはない。たとえ薔薇に想いが伝わらなくても、大切だと気づいたから。
 そして王子さまは地球の友人の1人・・・羊の絵を描いてくれたパイロットにもう1度この言葉を言うだろう。パイロットが「もしかしたら星に帰った王子さまは泣いているかもしれない」なんて、地球から王子さまを心配しているから。?When you look up at the sky at night,since I’ll be living on one of them,since I’ll be laughing on one of them,for you it’ll be as if all the stars are laughing.You’ll have stars that can laugh!? そしてこの言葉も付け加えるかもしれない。友人たちへ向けて、そして薔薇へも向けて。?I won’t leave you.?と。

 サン=テグジュペリ自身も、きっとそう言っただろうから。空への憧れも、美しい薔薇・・・つまり妻コンスエロへの想いも、どちらも本物だったから彼は飛行機で旅立ったのでしょうから。「君を星の王女さまにした物語を書くよ」と告げたまま。

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 以前からわたしは薔薇を好きでしたが、「高慢な花」「弱すぎる花」というイメージがあり、心から好きとは言えませんでした。例えばわたしはマリリン・モンローの写真や映画を見る時に「美しいけれど悲しい人」と思ってしまい、その美に見惚れると同時に人間の寂しさを思い知らされ打ちのめされるのですが・・・薔薇に対しても同じように思っていました。
 心から好きになっても、薔薇は弱い花。長くは生きてくれない。大事に大事に育てても、虫や病気にすぐやられてしまう繊細な花。心から好きになるのが怖かった。好きになったのに失うのが怖かった。
 でもこの物語のおかげで以前より少しだけまっすぐに、薔薇を愛せるようになりました。

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