横溝正史 『女王蜂』
2007年10月25日 おすすめの本一覧 女王というのは生まれによってなるものなのでしょうか、育ちによってなるものなのでしょうか。『女王蜂』のヒロイン・智子は生まれも育ちも女王に相応しい。彼女の周りの男性たちにとってはもはや不幸なことに、彼女は絶世の美少女。彼女自身が自分の美しさを自覚し人々からの賛辞を当然と受け止めながらも、あくまで彼女はまだ美女ではなく美少女なのです(満18歳。まだ大人の女性にはなりきっていない、と言えましょう)。美貌だけでなく、家柄も財産も申し分がありません。
誰が彼女の夫となるか。彼女を巡って多くの男性たちが死んでいくことになります。まるで女王蜂との交尾に成功した後は死ぬ他ないオス蜂たちのように。けれどたとえ命を捧げても、女王蜂は自分だけのものにはなりません。女王蜂は艶然として女王の座に君臨しているのです。
しかし当たり前のことながら、智子は蜂ではなく人間です。彼女は男性の心を奪いはしますが命は奪いません。自分に恋焦がれていた男性たちが次々と死んでいき、さすがの智子も怯えてしまいます。誰かが男性たちを殺している。しかしその理由を智子は思い当たらないのです。
推理小説なのでこれ以上書くのはやめておきます。
「レトロな雰囲気を味わいたい」「男女問わず美形が出てくる小説が読みたい」という方に是非読んで欲しいです。男性では田門連太郎(ギリシャ彫刻のよう)、大道寺欣造(ダンディー)、大道寺文彦(気弱で色白な美少年)、女性では神尾秀子(才気ある淑女)、故人ですが智子の母・琴絵(古風ながらも照り輝くばかりの美しさ)を主たる美形として挙げることができます。しかし一番の美形は田門連太郎ではないかと私は思います。智子に対して、彼は「そうだ、あなたには凶い星がついているかもしれない。しかし、その星の妖気にうたれて不幸になるというのは、そいつらの星があなたの星より弱いからなんだ。しかし、ぼくはちがう」と言ってしまえるのですから。うーん、並の男性にこんな台詞は言えない。ギリシャ彫刻のような美形にこんな台詞を言わせてしまえる横溝ワールドってすごい。
誰が彼女の夫となるか。彼女を巡って多くの男性たちが死んでいくことになります。まるで女王蜂との交尾に成功した後は死ぬ他ないオス蜂たちのように。けれどたとえ命を捧げても、女王蜂は自分だけのものにはなりません。女王蜂は艶然として女王の座に君臨しているのです。
しかし当たり前のことながら、智子は蜂ではなく人間です。彼女は男性の心を奪いはしますが命は奪いません。自分に恋焦がれていた男性たちが次々と死んでいき、さすがの智子も怯えてしまいます。誰かが男性たちを殺している。しかしその理由を智子は思い当たらないのです。
推理小説なのでこれ以上書くのはやめておきます。
「レトロな雰囲気を味わいたい」「男女問わず美形が出てくる小説が読みたい」という方に是非読んで欲しいです。男性では田門連太郎(ギリシャ彫刻のよう)、大道寺欣造(ダンディー)、大道寺文彦(気弱で色白な美少年)、女性では神尾秀子(才気ある淑女)、故人ですが智子の母・琴絵(古風ながらも照り輝くばかりの美しさ)を主たる美形として挙げることができます。しかし一番の美形は田門連太郎ではないかと私は思います。智子に対して、彼は「そうだ、あなたには凶い星がついているかもしれない。しかし、その星の妖気にうたれて不幸になるというのは、そいつらの星があなたの星より弱いからなんだ。しかし、ぼくはちがう」と言ってしまえるのですから。うーん、並の男性にこんな台詞は言えない。ギリシャ彫刻のような美形にこんな台詞を言わせてしまえる横溝ワールドってすごい。
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