北村 鮭彦 『お江戸吉原ものしり帖』
2007年11月20日 おすすめの本一覧
吉原の歴史、江戸時代男性たちが吉原で遊女遊びをするためにどのような手順を踏んだか、遊女たちが身につけていたもの、遊女たちの暮らしなどを知ることができる本です。吉原を讃美することも否定することもなくありのまま捉えたい、という姿勢で書かれているので落ち着いた気分で読み終えることができます。
さすがに、人気が出ないまま終わった遊女について読む時は胸が苦しくなりますけれど。いえ、胸が苦しくなるというよりも遊郭経営者に対して腹が立ってきます。売れない遊女にはろくな食事を与えず病気になっても医者を呼ばず、薬を買いもしない。売れない遊女にお金を使うのは勿体無い、という理由から。売れない遊女は妊娠しても医者を呼んではもらえず、素人が見よう見真似の堕胎手術をして胎児だけでなく遊女も死んでしまう。梅毒などの性病に感染し症状が悪化した遊女は廓から追い出されるけれど、それは解放を意味しない(言葉は悪いですが、「どこででも野たれ死ね、遺体は引き取らないぞ」という意味でしょう)。売れなかった遊女の遺体には引き取り手がいない。遺体は無縁仏を葬ってくれる寺に運ばれるけれど、1人1人に墓を作ることは出来ずあらかじめ掘っておいた大きな穴に遺体を入れていく。「今に残る浄閑寺の過去帳によれば、死人の年齢は平均23歳にもみたなかった」(P214に記載)。遊女というとまず花魁のきらびやかな姿や心意気を想像してしまうけれど、売れなかった遊女の悲惨な最期にも目を向けなければなりませんね。
他にもこの本は多くのことを教えてくれました。余程祝儀を弾まないと遊女は客の前で長襦袢を脱がなかったこと(P83)、客と初めて会う時と2度目に会う時までは同衾しなかったこと(P121)、吉原が元吉原だった頃の初めのうちは遊女がほとんど自由に外出できたこと(P107、P108)、元吉原の頃遊女は紅・白粉などの化粧はしなかったこと(P250)など。何だか意外・・・。
売れた遊女の、売れなかった遊女とは対称的な暮らしぶりにも興味を引かれました。P197に紹介されている片目の遊女・笹屋清花さんはどんな一生を送ったのでしょうか? 清花さんがまだ売れなかった頃。櫛を売りに来た人に、あなたの収入ではこの鼈甲の櫛は買えませんよ、と失礼なことを言われた清花さんはその鼈甲の櫛を買い、櫛を割ってみせたそうです。清花さんはその後売れるようになった。格好いいわ・・・。そんな清花さんは両目があれば前代未聞の美人、と言われた美貌の持ち主だったそう。気になる・・・。清花さんのことが載っている文献が他にないか、探してみたいと思います。
さすがに、人気が出ないまま終わった遊女について読む時は胸が苦しくなりますけれど。いえ、胸が苦しくなるというよりも遊郭経営者に対して腹が立ってきます。売れない遊女にはろくな食事を与えず病気になっても医者を呼ばず、薬を買いもしない。売れない遊女にお金を使うのは勿体無い、という理由から。売れない遊女は妊娠しても医者を呼んではもらえず、素人が見よう見真似の堕胎手術をして胎児だけでなく遊女も死んでしまう。梅毒などの性病に感染し症状が悪化した遊女は廓から追い出されるけれど、それは解放を意味しない(言葉は悪いですが、「どこででも野たれ死ね、遺体は引き取らないぞ」という意味でしょう)。売れなかった遊女の遺体には引き取り手がいない。遺体は無縁仏を葬ってくれる寺に運ばれるけれど、1人1人に墓を作ることは出来ずあらかじめ掘っておいた大きな穴に遺体を入れていく。「今に残る浄閑寺の過去帳によれば、死人の年齢は平均23歳にもみたなかった」(P214に記載)。遊女というとまず花魁のきらびやかな姿や心意気を想像してしまうけれど、売れなかった遊女の悲惨な最期にも目を向けなければなりませんね。
他にもこの本は多くのことを教えてくれました。余程祝儀を弾まないと遊女は客の前で長襦袢を脱がなかったこと(P83)、客と初めて会う時と2度目に会う時までは同衾しなかったこと(P121)、吉原が元吉原だった頃の初めのうちは遊女がほとんど自由に外出できたこと(P107、P108)、元吉原の頃遊女は紅・白粉などの化粧はしなかったこと(P250)など。何だか意外・・・。
売れた遊女の、売れなかった遊女とは対称的な暮らしぶりにも興味を引かれました。P197に紹介されている片目の遊女・笹屋清花さんはどんな一生を送ったのでしょうか? 清花さんがまだ売れなかった頃。櫛を売りに来た人に、あなたの収入ではこの鼈甲の櫛は買えませんよ、と失礼なことを言われた清花さんはその鼈甲の櫛を買い、櫛を割ってみせたそうです。清花さんはその後売れるようになった。格好いいわ・・・。そんな清花さんは両目があれば前代未聞の美人、と言われた美貌の持ち主だったそう。気になる・・・。清花さんのことが載っている文献が他にないか、探してみたいと思います。
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