中村うさぎさんと高梨真教さんとの対談、高梨さんによる美容整形に関する説明などが載っている本です。

 真実を伝えたい、という中村うさぎさんの思いから、とても赤裸々な内容になっています。血や傷口などグロテスクなものが苦手な方は裏表紙を見ないように・・・。中村さんの術後すぐの顔が写っていますから。裏表紙だけでなく、至るところにグロテスクな描写があるので御覚悟を。
 美容整形をしてみたい、と考えている方には必読の本だと思います。大きく顔が崩れてから手術をするとリスクが高くなるということ、顔のパーツの形を整えることはできるが顔の系統までは変えられないということ、変身願望と若返り願望は別だということ、新しく登場した美容法に「新しいのだから、きっと既存のものより良いのだろう」と安易に飛びついてはいけないということ、などが書かれていますので。
 ただしこの本は美容整形を勧める本ではありません。中村さんはあくまでこの本によって、美容整形が如何に現代的テーマを孕んでいるか明らかにしたい、とのことです。それを御理解ください。
 この本は、別人になりたいという願望が美容整形に結び付くという人間心理が病的なテーマを孕んでいる、ということを明らかにしています。
 中村さんは美容整形の実体験を正直に語り、写真も載せてくださっています。写真を見ると、美容整形はたとえ「プチ」という名がついたとしても手術は手術なのだ、ということが伝わってきます。特に中村さんは今回リフトアップ手術をなさったので手術規模が大きい。わたしは中村さんの術後の、いわゆるダウンタイム中の顔の腫れ方に驚きました・・・。こういったら失礼ですけれど顔が・・・アンパンマンみたいに腫れています(ごめんなさい!)。中村さんもこの本の中でおっしゃっているのですが、美容整形で綺麗になるためには人生で一番の不細工期間を過さなければならないのですね。このダウンタイムに耐えられるか否か、美容整形を考えていらっしゃる方には自己分析していただきたいです。
 勿論、ダウンタイムに耐えられるか否か自己分析するだけでは足りません。自分がどんな顔になりたいのか目標を具体的に設定し(変身したいのか? 若返りたいのか? ということだけでも)、希望する手術内容がどんなものなのか確認し、手術が失敗したらどうするか考えることも必要。医師に任せっきりにして、後から「聞いてなかった」と文句を言うのは駄目。医師は本当にこの手術内容で良いのか、などと確認を取っているのですから。この本の中で中村さんと高梨真教さんが対談中におっしゃっているのですが、医師の説明を上の空で聞いていて、「任せますから」と手術に同意したにも関わらず後で文句を言う人っているんですね・・・。自分の顔のことなのに・・・。中村さんが「自己判断して責任取るの嫌なんだろうね」(P32)とおっしゃっているのですが、その通りではないかと思います。恐らくそうやって文句を言う人は、わたしの推測に過ぎないのですが「手術すれば自分の人生全て良い方に変わるはず。今までは顔が悪かったから駄目な人生だったんだ、性格のせいじゃない。早く手術したい! 手術に失敗すれば医師の責任にすればいい! 自分で判断していたら時間がかかってしまう! 早く手術を!」と考えていらっしゃるのではないでしょうか・・・何だか悲しい推測ですが。いや、わたしもそういう風に考えていた時期があったので・・・共感してしまうんですよ。「自分の顔が悪いんだ」と思いつめてしまうのって。自分の顔に対して誰よりも自分自身が残酷な判定を下してしまって、でも自分は自分を嫌いになりたくないから顔を変えたい、と願うのは当然の帰結だと思うのです。けれど美容整形は手術なのだから失敗することもあるので、医師任せはやめた方がいいと思いますよ。(><) 時間が経てば経つほどリスクは高くなってしまうけれど(顔の崩れ方がひどくなればなるほど手術規模が大きくなるという意味です)、それでもじっくり検討した方がいい。
 別人になりたいから美容整形をしたい、という人と若返りたいから美容整形をしたい、という人では心の持ちようが全く違うようですから。恐らく前者はダウンタイムに耐えられない。美容整形だけでは治療できない苦しみを抱えているのでしょうから。そういった例として、この本ではマイケル・ジャクソンが例に挙げられています。なぜマイコー(ごめんなさい、いつもマイケルをマイコーと呼んでいるので呼ばせてくださいっ)が黒人から白人になり鼻や唇が崩壊したのか? 中村さん曰く「マイケル・ジャクソンが妖怪になったのは、諦めていたことの実現なんですよ。白人になるとか」(P108)。マイコーは「どうせ無理だろうからダイアナ・ロスになろう」と美容整形を始め、やってみたら結構ダイアナ・ロスになれてしまったので「もっと試そう」と考えてしまったようです。
 ・・・マイコーのように自暴自棄になってはいけません・・・。人は若返る方法はいくつか持っています。けれど人は、自分以外の人間にはなれないのですから。

コメント

nophoto
マイケル
2010年3月12日23:30

中村うさぎさんってマイケル・ジャクソンに似てますよね。

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