奥田 英朗 『イン・ザ・プール』
2008年3月17日 おすすめの本一覧
わたしも伊良部医師による診療を受けてみたいです。
患者よりよほど問題を抱えた伊良部医師による治療(?)を。
伊良部医師は男性で、中年で、太っていて、マザコンで、バツイチで、注射フェチ。それだけなら普通です。しかし彼は常識に縛られない人間。真夜中の区民体育館に侵入、イラン人を雇って元妻と縁を切ろうとする、明らかに無理なのに男優オーディションに応募、メール依存の患者に何通も何通も何通もメールを送る、子どもに物を譲らない、他の病院の水道を止める・・・、彼の奇行はこれだけに留まりません。
神経科と言えば精神的に参ってしまっている人が診療を受けに行くところです。その神経科に、患者よりよほど精神的に変な医師がいる・・・。患者たちは伊良部医師に呆れます。患者たちは気づきます、伊良部医師によってかえって症状が悪化させているのではないか、と。
伊良部医師は、水泳依存の患者と水泳をし続けたり、世の中のあらゆる人が自分のストーカーだという妄想を抱いている患者にブランド品を貢いだり、メール依存の患者にひたすらメールを送ったりするのです。また、彼はどんな症状の患者にも必ず注射を受けさせます。注射が必要でない患者にも必ずするのです。彼は注射フェチだから。彼は誰かが注射されるのを見てハァハァ言う人なのです。患者たちは呆れ果てますが、この神経科にマユミさんという露出狂気味な看護師(この本では「婦」という表記)がいることや、彼がブランド品を貢いでくれることや、彼という人間への好奇心などからか受診し続けます。
そしていつの間にか患者たちは自力で自分の問題を解決してしまうのでした。
とはいえ、患者たち1人1人だけではきっと問題は解決しなかったでしょう。
伊良部医師がいればこそなのです。
患者たちは「医者はあてにならない。自分しか頼りにならない」と思ったことでしょう。自分よりダメな人間がいる」と安心したことでしょう。「こんな人間が世の中にはいるのか」と世の中への好奇心を刺激されたことでしょう。
これらは伊良部医師の功績。
手術道具も薬も必要としない・・・。ある意味名医ですね。ある意味。
患者よりよほど問題を抱えた伊良部医師による治療(?)を。
伊良部医師は男性で、中年で、太っていて、マザコンで、バツイチで、注射フェチ。それだけなら普通です。しかし彼は常識に縛られない人間。真夜中の区民体育館に侵入、イラン人を雇って元妻と縁を切ろうとする、明らかに無理なのに男優オーディションに応募、メール依存の患者に何通も何通も何通もメールを送る、子どもに物を譲らない、他の病院の水道を止める・・・、彼の奇行はこれだけに留まりません。
神経科と言えば精神的に参ってしまっている人が診療を受けに行くところです。その神経科に、患者よりよほど精神的に変な医師がいる・・・。患者たちは伊良部医師に呆れます。患者たちは気づきます、伊良部医師によってかえって症状が悪化させているのではないか、と。
伊良部医師は、水泳依存の患者と水泳をし続けたり、世の中のあらゆる人が自分のストーカーだという妄想を抱いている患者にブランド品を貢いだり、メール依存の患者にひたすらメールを送ったりするのです。また、彼はどんな症状の患者にも必ず注射を受けさせます。注射が必要でない患者にも必ずするのです。彼は注射フェチだから。彼は誰かが注射されるのを見てハァハァ言う人なのです。患者たちは呆れ果てますが、この神経科にマユミさんという露出狂気味な看護師(この本では「婦」という表記)がいることや、彼がブランド品を貢いでくれることや、彼という人間への好奇心などからか受診し続けます。
そしていつの間にか患者たちは自力で自分の問題を解決してしまうのでした。
とはいえ、患者たち1人1人だけではきっと問題は解決しなかったでしょう。
伊良部医師がいればこそなのです。
患者たちは「医者はあてにならない。自分しか頼りにならない」と思ったことでしょう。自分よりダメな人間がいる」と安心したことでしょう。「こんな人間が世の中にはいるのか」と世の中への好奇心を刺激されたことでしょう。
これらは伊良部医師の功績。
手術道具も薬も必要としない・・・。ある意味名医ですね。ある意味。
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