アインシュタインも挫折することもあった、けれどやはりアインシュタインは天才だ・・・ということを軽快な文章で教えてくれる本。
 物理の基礎がない方には2章以降は読み進めるのが辛いかと思いますが、その場合はP24だけでも目を通してみてください。研究者以上の知識がある方には、1つ1つの研究を詳細に説明しているわけではないので物足りないかも。

 わたしはP24の写真を見て大笑いしました。アインシュタインが子ども時代にクラスメートと撮った集合写真です。どの子がアインシュタインなのか、説明文を読まなくても一目でわかります。他のみんなが険しい表情をしているのに、アインシュタインは1人だけニヤッとしているのです。
 この本の第1章には、アインシュタインが若年期いかにニヤッとした人間だったか書かれています。成績はとても良かったけれど、教師に敬意を示さなかったため退学しろと言われたこと。女性によくモテたこと。晩年になって主治医にタバコを禁じられたけれど、同僚からタバコを盗んで吸い続けたこと。
 ・・・盗む以外に方法はなかったのでしょうか。
 他の章では、アインシュタインがニヤッとしていなかった時についても書かれています。アインシュタインが思考実験、ニュートン物理学と相対性原理が両立しないことの証明、光電効果、特殊相対性理論などに取り組んだこと。量子論の結論を推論の結果として出そうとしたこと。
 研究中はさすがにまじめな表情をしていたことでしょう(してない!?)。1人の人間の脳味噌でこれだけ研究できたということに敬服します。
 生涯で3つの国の国民になったけれど、どこの国にも故郷を感じられなかったこと。人類が原子力という、人類には扱い切れない兵器を使い始めた事実に危機感を抱いたこと・・・。
 この辺は常人にも想像はできる苦悩ですね。アインシュタインの苦悩そのものを理解することはできないでしょうけれど。アインシュタインの死後も世界の難民・移民問題は解決する兆しがないし、人類はさらに原子力を使おうとしています。もしもアインシュタインが現代に生きていたら、アインシュタインは何を思うのでしょうか。
 

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