タイトルは原作を意識して「カンナさん」だけれど、劇中のヒロイン名は「ハンナさん」。
 ハンナさんの気持ちの移り変わり・・・というより「気持ちが増えていく」感じが伝わる映画です。

 
 ハンナさんは巨体で野暮ったく、けれど優しい心と可憐な声を持っている女性でした。ある日ハンナさんは、好きな人がハンナさんの容姿を馬鹿にしているということを知りました。ハンナさんは自殺をしようと思いましたが・・・思いとどまり、代わりに全身整形に踏み切りました。大がかりな手術のため、死ぬ危険性もありましたがハンナさんは無事生還。巨体で野暮ったかったハンナさんは、全身整形と運動のおかげで、透明感のあるスレンダー美人に!
 ここで「彼に復讐してやろう」とか「彼よりもっといい男と付き合ってやろう」と思わないのがハンナさん。
 ハンナさんは、ジェニーと名乗って(たぶんハンナさんがジェニー人形を好きだから)彼に近づきました。そしてジェニーとして彼と仕事をするようになるのです。仕事をする中で、彼がハンナさんを彼なりに大切に思っていたことが判明します。彼が容姿の美しさのみで人を称賛しないこともわかりました。ハンナさんは自分がハンナであることを彼に告白しようと思いました。が、告白はできませんでした。理由は色々ありますが、一番大きな理由は、整形手術をした女性とは恋人になりたくないと彼が言ったからです。そのためハンナさんはジェニーとして彼と会い続けることになります。
 ハンナさんはやっぱり彼のことが好きなのです。

 
 けれどその感情は、ハンナさんがハンナさんでしかなかった頃彼に抱いた気持ちと同じものではない・・・とわたしは思います。
 初めの頃、ハンナさんにとって彼は絶対的な存在でした。人に馬鹿にされる人生を送ってきたハンナさんに対して、彼は傷つけるようなことをしなかったのです。それが一度壊れて、ハンナさんは彼と決別しようとしました。でもハンナさんは偶然、彼を街で見かけてしまいました。ハンナさんは彼から目を離すことが出来ませんでした。それでハンナさんは、たとえ馬鹿にされようとも彼を好きだという自分が居ることを自覚します。それでジェニーとして近づいて、ハンナさんでしかなかった頃は知らなかった彼の一面にまた魅かれて・・・。
 この映画を見ていて、ハンナさんのドキドキが伝わってきました。戸惑いも。自己嫌悪も。
 ラストシーンではハンナさんの彼に対する新たな気持ちがまた増えている感じがします。彼の機嫌を取ることが無くなっている。彼となら対等になれるという気持ちが増えたのかもしれません。

 
 また何度でも見たい映画です。

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