橋本治、宮下規久朗 『モディリアーニの恋人』
2008年6月29日 おすすめの本一覧
妊娠8か月の女性が恋人の後を追って身を投げた・・・。
ジャンヌ・エビュテルヌという女性はそんな死に方をしました。
彼女のお腹にいたのはモディリアーニとの間に授かった2人目の子ども。
子どもは父に会えなかっただけでなく生まれることもできませんでした。
この本を読むまで、正直わたしには彼女の行動がさっぱり理解出来ませんでした。「せめてあと2か月待って産んでから、1人で後を追えば良かったのに」「1人目の子どもを連れて逝かなかったことは不幸中の幸いか・・・」などという感想ばかり浮かびました。
モディリアーニの描いた、瞳のある彼女と瞳のない彼女。彼女の自画像に描かれた彼女の瞳の強さ。この本のP69,70に書かれている見解。
これらを知って、わたしも少しは彼女の気持ちを考えることが出来ました。
彼女は少なくとも6:4で物事を好きか嫌いかに分ける女性ではなかった・・・わたしはそう思います。7:3か8:2か9:1か、10:0か。それは彼女自身に聞いてみないとわかりませんが、少なくとも6:4のバランスではない。
モディリアーニが描いた絵で、彼女は短刀で胸を突いて自殺しています。この絵の題は「自殺」。(この本ではP73に掲載)
モディリアーニは彼女の自殺を予想していたのでしょう。彼は当時まだ不治の病だった結核に罹っていました。結核に罹っているにしては長く生きてこれたものの、多分自分は長くない。もし自分が死んだら彼女は死ぬだろう・・・。そう思って描いたのではないでしょうか。
彼女をよく知る彼がこの行動を予想した、ということからも彼女の価値判断の独特さが読み取れます。もしかしたら彼女が「あなたが死んだらわたしも死ぬわ」とハッキリ彼に言っていた可能性もありますね。
実際には彼女は短刀自殺ではなく、アパルトマンの6階から身を投げたのですが。
突然の事故や病で彼を失ってパニックになった訳ではなく、あらかじめ彼は長くないと予想できていながらも後追い自殺をする・・・。「彼がいなくなった世界では生きない」という意思が固かったのでしょう。それはわたしにも何となく理解できます。大切な人が亡くなった時、世界が急速に色褪せて見えた経験がありますから。彼女は「今ここにあの人がいたらこう言うんだろうな」と思い出しては「でも決して言うことはない」などと思い知らされる未来を放棄したのでしょう。ほんの少し彼女を羨ましく思います。わたしも6:4で物事を好きになるタイプではないから。
けれどお腹の子どもにとってはいい迷惑だったでしょうね。実際これって無理心中でしょう。あと2か月もすれば生まれてこれたのに・・・。わたしには彼女の行動を責める権利など無いのですが、賛同は出来ません。実の親がいなくても子どもは生きられます。生きるチャンスを与えてあげて欲しかったです。・・・けれど彼女にとってモディリアーニへの愛とモディリアーニの子どもへの愛は別だったのでしょうね。
線引きのハッキリした女性です。
ジャンヌ・エビュテルヌという女性はそんな死に方をしました。
彼女のお腹にいたのはモディリアーニとの間に授かった2人目の子ども。
子どもは父に会えなかっただけでなく生まれることもできませんでした。
この本を読むまで、正直わたしには彼女の行動がさっぱり理解出来ませんでした。「せめてあと2か月待って産んでから、1人で後を追えば良かったのに」「1人目の子どもを連れて逝かなかったことは不幸中の幸いか・・・」などという感想ばかり浮かびました。
モディリアーニの描いた、瞳のある彼女と瞳のない彼女。彼女の自画像に描かれた彼女の瞳の強さ。この本のP69,70に書かれている見解。
「彼女は子育てができず、乳母に預けっぱなしでした。すべての愛情はモディリアーニに集中して注がれたのであり、モディリアーニなしには生きてゆけなかったのです」
これらを知って、わたしも少しは彼女の気持ちを考えることが出来ました。
彼女は少なくとも6:4で物事を好きか嫌いかに分ける女性ではなかった・・・わたしはそう思います。7:3か8:2か9:1か、10:0か。それは彼女自身に聞いてみないとわかりませんが、少なくとも6:4のバランスではない。
モディリアーニが描いた絵で、彼女は短刀で胸を突いて自殺しています。この絵の題は「自殺」。(この本ではP73に掲載)
モディリアーニは彼女の自殺を予想していたのでしょう。彼は当時まだ不治の病だった結核に罹っていました。結核に罹っているにしては長く生きてこれたものの、多分自分は長くない。もし自分が死んだら彼女は死ぬだろう・・・。そう思って描いたのではないでしょうか。
彼女をよく知る彼がこの行動を予想した、ということからも彼女の価値判断の独特さが読み取れます。もしかしたら彼女が「あなたが死んだらわたしも死ぬわ」とハッキリ彼に言っていた可能性もありますね。
実際には彼女は短刀自殺ではなく、アパルトマンの6階から身を投げたのですが。
突然の事故や病で彼を失ってパニックになった訳ではなく、あらかじめ彼は長くないと予想できていながらも後追い自殺をする・・・。「彼がいなくなった世界では生きない」という意思が固かったのでしょう。それはわたしにも何となく理解できます。大切な人が亡くなった時、世界が急速に色褪せて見えた経験がありますから。彼女は「今ここにあの人がいたらこう言うんだろうな」と思い出しては「でも決して言うことはない」などと思い知らされる未来を放棄したのでしょう。ほんの少し彼女を羨ましく思います。わたしも6:4で物事を好きになるタイプではないから。
けれどお腹の子どもにとってはいい迷惑だったでしょうね。実際これって無理心中でしょう。あと2か月もすれば生まれてこれたのに・・・。わたしには彼女の行動を責める権利など無いのですが、賛同は出来ません。実の親がいなくても子どもは生きられます。生きるチャンスを与えてあげて欲しかったです。・・・けれど彼女にとってモディリアーニへの愛とモディリアーニの子どもへの愛は別だったのでしょうね。
線引きのハッキリした女性です。
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