雨が降りそうな湿度だけれど、晴れた空の下。たくさんの人たちが熊本市民会館前に大集合しておりました。地元中学校の制服を着た女の子もいましたし、奥様らしき白髪の婦人と連れ立った白髪の紳士もいらっしゃいました。まるで違う人生を歩んでいる人たちが同じ時間同じ場所におそらく数か月前から楽しみにして集うのだから何だか幸福な気分です。
公演は第一部、第二部の構成で始まりました。
<第一部 相馬の千太郎>
第一部はお芝居。
太一さんは若い渡世人役(今でいうチンピラですね)。名は千太郎。
千太郎は妹・お美代と共に、十何年かけて母を捜し続けてきました。父は明暦の大火で亡くなっており、千太郎とお美代は兄妹二人で苦労してきたようです。苦労しながらも、もしかしたら母はお金に困っているかもしれないと思い、千太郎はお金を貯めてきました。そのお金を貯めるために渡世人になったようなのです。二人が持っているものといえば、お美代が「おっかさんの鈴」と言って大切にしている鈴くらいでしたから。
母らしき人が見つかったとわかって喜ぶ余りお美代の姿を見失う千太郎の姿はお客さんを笑わせました(お美代は千太郎のすぐ後ろにいました)。千太郎はお美代がおぶっていた赤ん坊を兄貴分にホイッと渡してサッと出発してしまいました。・・・兄貴分困ってた(^皿^)
この、千太郎とお美代の関係がまた良いのです。天真爛漫なお美代に千太郎の心はどれだけ救われてきたことでしょう。お美代が「おっかさんに会いたいよ〜ぅ」と素直に何度も言ってくれるので、千太郎自身が言わなくて済むのです。自分も母に会いたいけれど、それよりもまずお美代と母を会わせてやりたいという想いが強くなるから。
お美代は千太郎のことが大好きなようです。お美代は千太郎に母がどんな顔をしているのか尋ねます。千太郎に似ているのか、それともお美代に似ているのか。千太郎はお美代に似ていると答えたのですが(*注*すみません、うろ覚えです・・・)、お美代は母が千太郎に似ている場合も喜んだでしょう。
千太郎がおにぎりを渡すと、お美代は笑顔ですぐ食べ始めます。そんなお美代に千太郎は「あんまり急いで食べるなよ(*注*セリフはうろ覚えです)」と優しく言いました。お美代はおにぎりを食べて眠くなってきた様子。眠くなったお美代の頭はだんだん傾いてきて、大きな石にぶつかりそうになりました。千太郎は、お美代の頭にそっと手を添えてやりました。起こさないように、そっと。
そんな兄妹でした。
それなのに。母の元へ向かう千太郎とお美代を、渡世人たちが追ってきたのです。千太郎はお美代を隠して、渡世人たちと戦いました。けれど渡世人がお美代を見つけ・・・。兄貴分も駆けつけてくれましたが、間に合いませんでした。
千太郎の肉親は母のみになったのです。
千太郎はお美代の遺髪と、お美代が「おっかさんの鈴」と大事にしていた鈴を持って、母の元へと向かうのです。お美代と母を会わせたくて。
・・・。これから見る方のために、この先のストーリー紹介は省かせていただきます。・・・けれど少しだけ! どうしても書きたいので書かせてください。
わたしは千太郎がお美代の仇である渡世人たちに「親はいるか? 子は? いなきゃ斬る」と訊く殺陣シーンも好きですが、最後のシーンが最もグッときました。千太郎の、母の元へ行きたいという想いと、やはり行けないという想いの両方が強くて・・・。たくさん降っていた紙吹雪は、千太郎の涙なのだと思います。わたしは千太郎が斜め下を見ているような気がしました(*注*前列の方の頭に隠れてよく見えなかったのですが)。もしかしたら振り向こうとしていたのかもしれません。振り向いて欲しい・・・。けれどもしかしたら千太郎は、一度渡世人になった人間が傍に居たらおっかさんの迷惑になる、とも考えていたかもしれません。・・・嗚呼。
<休憩時間>
25分間の休憩がありました。
この間に太一さんは千太郎からお姫様へミラクルチェンジ☆
お客さんの層は幅広かったのですが、年配の方も多かったのでお手洗いや水分補給などをゆっくりしていただく為に丁度良い休憩時間だったと思います。
わたしものんびり自分のペースで休憩して会場へ戻れました。
休憩時間の間、会場内では太一さんが百人一首を朗読したCDが流されていました。聴く者を照れさせる声・・・。罪だわ。
<第二部 蒼伝説>
第一部では話に集中してしまって気付かなかったのですが、蒼伝説の舞いを見ていて気が付きました。劇団朱雀って太一さんと同じくらいの若い方もたくさんいらっしゃるんですね。役のためなのか、茶髪の方もいらっしゃる。こういう環境の中で太一さんはお稽古をなさっているんですね。劇団の座長さんはお父様で、座員の中にはお母様もいて、従兄弟もいて(*注*多分従兄弟さんが出ていたと思うのですが・・・違うかも? 弟さん?)。公演が終わったら座員みんなで「ここはこうした方がいい」などと反省会をしたりするのでしょうか? 家族でありライバルである・・・月並みですがそんな快い空気を感じました。
さあ。
姫君の登場です。
わたしは心臓止まるかもと思いました。否、割と座席がアンプの近くだったので、激しい音楽が心臓に響き、実際やばいかもと思ったのですが。
指先まで綺麗・・・。
恥じらう時の手の形、争いを止める手の形。何て綺麗なのでしょう。
見ていてふと、広隆寺にある弥勒菩薩の指を思い出しました。あの指を真っ白にした感じ。
わたしは姫君の周りで舞う女性たちの踊りにも魅せられました。なめらかな曲線を描きつつ、表情は誇らしげ。この女性たちは姫お付きの女官なのでしょうか? 龍神や風神(多分・・・)が登場するくらいなので、この女性たちも精霊か何かなのかもしれませんね。
竜宮城の王様とお妃さま(多分・・・)が登場し、舞台は終わりへと向かいます。王様とお妃さまの距離が縮まっていくところが何とも自然。わたしは「この二人はどんな物語を持っているんだろう」とドキドキしました。
姫君の御顔は、登場する度にどんどん眩くなっていくように見えました。わたしは姫君の御顔を見ないように見ないようにしておりました。だって。あの、冷たくも美しい笑み。見たら竜宮城から帰れなくなるんです〜!
クライマックス。
太一さんのお辞儀。座員皆さんのお辞儀。踊りをしている人たちはこんなお辞儀が出来るのですね・・・。如何に稽古に打ち込んだかがここに集約されるのかもしれません。正直言って、若い座員さんの中には普通の歩き方の足運びをしている方がいらっしゃったのですが、あの方はどんなお辞儀をしていたのでしょう。出来れば見たかったです。
<送り出し>
座長さんと太一さんによるお見送り。熊本でもちゃんとありましたよ〜♪
お客さんの中には送り出しのことを知らなかった方もいたようです。わたしの近くに座っていた女子高生二人が、目を見開いて、顔を見合わせて、キャーッと悲鳴をあげていましたよ。それを見てわたしも思わず微笑んでしまいました。良かったねー。
お客さんは全員、会場の右側通路からロビーへと出て行きました。座長さんと太一さんはロビーで待ってくださっているのです。スタッフさんが「写真撮影は禁止です! 撮影された場合お見送り中止となることもあります!」という内容を何度も叫んでくださったこともあり、お客さんの流れは良い方に入ったと思います。ロビーへ近づくにつれて、お客さんの期待が高まっていくのがわかりました。
わたしの近くには、浴衣を着た女性とその彼氏らしき男性がおりました。ロビーへ近づくにつれ、彼氏らしき男性がそわそわし始め、女性の腰を抱こうとしておりました。周りに人がたくさんいるから彼女を守ろう、というのではなく多分彼女の心が一時的とはいえ自分から離れたのが不安だったのかも・・・? 彼女がその手を除けようとしても、その男性は尚も手を伸ばしていました。結局その男性が本当に彼女の腰を抱いてしまい、彼女の浴衣の帯がぐしゃっとなってしまったのが哀れでした。(>0<;) 不安なのはわかるけれど、彼女はこの時のために浴衣を着つけてきたでしょうに・・・。もー。その彼女、帯を乱されて怒っていたようですが(当然です!)、座長さんと太一さんの前にくるとパッと笑顔になっていましたよ。(^v^) これも当然ですw
・・・わたしはハッキリ言ってびびってしまったので、座長さんと太一さんの傍に寄ることもせず、遠くで「ありがとうございました」と言って会釈をして、それで帰って来てしまいました。
嗚呼。自分の馬鹿。
座長さんも太一さんも疲れているのに、お客さんのためにとお見送りしてくださったのに・・・。パワーは貰うものじゃなくて借りるものだから、返さなくちゃいけなかったのに・・・。借りっぱなしです。(><)
皆さん、素敵な時間をありがとうございました。
また公演に行きたいです♪m(*’v’*)m
次こそはお礼を伝えたいと思います。
お客さんの雰囲気も良かったなあ〜。
公演は第一部、第二部の構成で始まりました。
<第一部 相馬の千太郎>
第一部はお芝居。
太一さんは若い渡世人役(今でいうチンピラですね)。名は千太郎。
千太郎は妹・お美代と共に、十何年かけて母を捜し続けてきました。父は明暦の大火で亡くなっており、千太郎とお美代は兄妹二人で苦労してきたようです。苦労しながらも、もしかしたら母はお金に困っているかもしれないと思い、千太郎はお金を貯めてきました。そのお金を貯めるために渡世人になったようなのです。二人が持っているものといえば、お美代が「おっかさんの鈴」と言って大切にしている鈴くらいでしたから。
母らしき人が見つかったとわかって喜ぶ余りお美代の姿を見失う千太郎の姿はお客さんを笑わせました(お美代は千太郎のすぐ後ろにいました)。千太郎はお美代がおぶっていた赤ん坊を兄貴分にホイッと渡してサッと出発してしまいました。・・・兄貴分困ってた(^皿^)
この、千太郎とお美代の関係がまた良いのです。天真爛漫なお美代に千太郎の心はどれだけ救われてきたことでしょう。お美代が「おっかさんに会いたいよ〜ぅ」と素直に何度も言ってくれるので、千太郎自身が言わなくて済むのです。自分も母に会いたいけれど、それよりもまずお美代と母を会わせてやりたいという想いが強くなるから。
お美代は千太郎のことが大好きなようです。お美代は千太郎に母がどんな顔をしているのか尋ねます。千太郎に似ているのか、それともお美代に似ているのか。千太郎はお美代に似ていると答えたのですが(*注*すみません、うろ覚えです・・・)、お美代は母が千太郎に似ている場合も喜んだでしょう。
千太郎がおにぎりを渡すと、お美代は笑顔ですぐ食べ始めます。そんなお美代に千太郎は「あんまり急いで食べるなよ(*注*セリフはうろ覚えです)」と優しく言いました。お美代はおにぎりを食べて眠くなってきた様子。眠くなったお美代の頭はだんだん傾いてきて、大きな石にぶつかりそうになりました。千太郎は、お美代の頭にそっと手を添えてやりました。起こさないように、そっと。
そんな兄妹でした。
それなのに。母の元へ向かう千太郎とお美代を、渡世人たちが追ってきたのです。千太郎はお美代を隠して、渡世人たちと戦いました。けれど渡世人がお美代を見つけ・・・。兄貴分も駆けつけてくれましたが、間に合いませんでした。
千太郎の肉親は母のみになったのです。
千太郎はお美代の遺髪と、お美代が「おっかさんの鈴」と大事にしていた鈴を持って、母の元へと向かうのです。お美代と母を会わせたくて。
・・・。これから見る方のために、この先のストーリー紹介は省かせていただきます。・・・けれど少しだけ! どうしても書きたいので書かせてください。
わたしは千太郎がお美代の仇である渡世人たちに「親はいるか? 子は? いなきゃ斬る」と訊く殺陣シーンも好きですが、最後のシーンが最もグッときました。千太郎の、母の元へ行きたいという想いと、やはり行けないという想いの両方が強くて・・・。たくさん降っていた紙吹雪は、千太郎の涙なのだと思います。わたしは千太郎が斜め下を見ているような気がしました(*注*前列の方の頭に隠れてよく見えなかったのですが)。もしかしたら振り向こうとしていたのかもしれません。振り向いて欲しい・・・。けれどもしかしたら千太郎は、一度渡世人になった人間が傍に居たらおっかさんの迷惑になる、とも考えていたかもしれません。・・・嗚呼。
<休憩時間>
25分間の休憩がありました。
この間に太一さんは千太郎からお姫様へミラクルチェンジ☆
お客さんの層は幅広かったのですが、年配の方も多かったのでお手洗いや水分補給などをゆっくりしていただく為に丁度良い休憩時間だったと思います。
わたしものんびり自分のペースで休憩して会場へ戻れました。
休憩時間の間、会場内では太一さんが百人一首を朗読したCDが流されていました。聴く者を照れさせる声・・・。罪だわ。
<第二部 蒼伝説>
第一部では話に集中してしまって気付かなかったのですが、蒼伝説の舞いを見ていて気が付きました。劇団朱雀って太一さんと同じくらいの若い方もたくさんいらっしゃるんですね。役のためなのか、茶髪の方もいらっしゃる。こういう環境の中で太一さんはお稽古をなさっているんですね。劇団の座長さんはお父様で、座員の中にはお母様もいて、従兄弟もいて(*注*多分従兄弟さんが出ていたと思うのですが・・・違うかも? 弟さん?)。公演が終わったら座員みんなで「ここはこうした方がいい」などと反省会をしたりするのでしょうか? 家族でありライバルである・・・月並みですがそんな快い空気を感じました。
さあ。
姫君の登場です。
わたしは心臓止まるかもと思いました。否、割と座席がアンプの近くだったので、激しい音楽が心臓に響き、実際やばいかもと思ったのですが。
指先まで綺麗・・・。
恥じらう時の手の形、争いを止める手の形。何て綺麗なのでしょう。
見ていてふと、広隆寺にある弥勒菩薩の指を思い出しました。あの指を真っ白にした感じ。
わたしは姫君の周りで舞う女性たちの踊りにも魅せられました。なめらかな曲線を描きつつ、表情は誇らしげ。この女性たちは姫お付きの女官なのでしょうか? 龍神や風神(多分・・・)が登場するくらいなので、この女性たちも精霊か何かなのかもしれませんね。
竜宮城の王様とお妃さま(多分・・・)が登場し、舞台は終わりへと向かいます。王様とお妃さまの距離が縮まっていくところが何とも自然。わたしは「この二人はどんな物語を持っているんだろう」とドキドキしました。
姫君の御顔は、登場する度にどんどん眩くなっていくように見えました。わたしは姫君の御顔を見ないように見ないようにしておりました。だって。あの、冷たくも美しい笑み。見たら竜宮城から帰れなくなるんです〜!
クライマックス。
太一さんのお辞儀。座員皆さんのお辞儀。踊りをしている人たちはこんなお辞儀が出来るのですね・・・。如何に稽古に打ち込んだかがここに集約されるのかもしれません。正直言って、若い座員さんの中には普通の歩き方の足運びをしている方がいらっしゃったのですが、あの方はどんなお辞儀をしていたのでしょう。出来れば見たかったです。
<送り出し>
座長さんと太一さんによるお見送り。熊本でもちゃんとありましたよ〜♪
お客さんの中には送り出しのことを知らなかった方もいたようです。わたしの近くに座っていた女子高生二人が、目を見開いて、顔を見合わせて、キャーッと悲鳴をあげていましたよ。それを見てわたしも思わず微笑んでしまいました。良かったねー。
お客さんは全員、会場の右側通路からロビーへと出て行きました。座長さんと太一さんはロビーで待ってくださっているのです。スタッフさんが「写真撮影は禁止です! 撮影された場合お見送り中止となることもあります!」という内容を何度も叫んでくださったこともあり、お客さんの流れは良い方に入ったと思います。ロビーへ近づくにつれて、お客さんの期待が高まっていくのがわかりました。
わたしの近くには、浴衣を着た女性とその彼氏らしき男性がおりました。ロビーへ近づくにつれ、彼氏らしき男性がそわそわし始め、女性の腰を抱こうとしておりました。周りに人がたくさんいるから彼女を守ろう、というのではなく多分彼女の心が一時的とはいえ自分から離れたのが不安だったのかも・・・? 彼女がその手を除けようとしても、その男性は尚も手を伸ばしていました。結局その男性が本当に彼女の腰を抱いてしまい、彼女の浴衣の帯がぐしゃっとなってしまったのが哀れでした。(>0<;) 不安なのはわかるけれど、彼女はこの時のために浴衣を着つけてきたでしょうに・・・。もー。その彼女、帯を乱されて怒っていたようですが(当然です!)、座長さんと太一さんの前にくるとパッと笑顔になっていましたよ。(^v^) これも当然ですw
・・・わたしはハッキリ言ってびびってしまったので、座長さんと太一さんの傍に寄ることもせず、遠くで「ありがとうございました」と言って会釈をして、それで帰って来てしまいました。
嗚呼。自分の馬鹿。
座長さんも太一さんも疲れているのに、お客さんのためにとお見送りしてくださったのに・・・。パワーは貰うものじゃなくて借りるものだから、返さなくちゃいけなかったのに・・・。借りっぱなしです。(><)
皆さん、素敵な時間をありがとうございました。
また公演に行きたいです♪m(*’v’*)m
次こそはお礼を伝えたいと思います。
お客さんの雰囲気も良かったなあ〜。
コメント
舞踊ショーがかなり綺麗で、自分は夢を見ているんじゃないかと思っちゃいました(><)!
また熊本に来てくれるといいですね(´U`#)
紫音さんも熊本の見に行ったんですね♪
舞踊綺麗でしたよね〜♪
わたしは夢を見ているというより、「あまりにも綺麗なものが目の前に現れたショック」でポカンとしちゃいました(*>v<*)
初めて生の太一さんを見たので・・・。
次見る時は夢を見ている気分になれると思いますw
今度は熊本城で何か舞ってくれたらいいなあ、と勝手に期待してます。