押井守監督 『スカイ・クロラ』
2008年8月6日 映画
画像は『カウントダウン・オブ・「スカイ・クロラ」』より。
*注*
わたしは原作を読んだことがありません。
以下は映画を見て、わたしがわたしなりにキルドレを解釈した文です。
正しいとは限りません。
ネタバレ注意。
キルドレは突然変異によって生まれた「戦争で死なない限り死なない人間」ではない・・・、わたしにはそう思えました。
彼らはその死の理由が戦争であっても戦争でなくても死ぬ。けれどそれは、完全なる死ではない。
体を再利用されている。
人為的な輪廻転生。
この世界は、そういう技術を持った世界。
キルドレは、戦争というショーを全人類に魅せる為に作り出された、全人類が所有する奴隷のようなもの。
だからキルドレは人間扱いしてもらえない。
生きる自由も死ぬ自由もないから。
人々はキルドレの戦いを見て、「自分たちには生きる自由も死ぬ自由もある」と優越感に浸る。
キルドレは、戦争をするため子どもの頃から戦闘機に乗せられる。
戦争であるからには、いつ敵に殺されてもおかしくない。
子どもの頃から日常的に戦っているから、全員が大人になるまでに戦死してしまう。
だから、キルドレは「永遠に大人にならない子ども」と呼ばれる。
復活したキルドレは新たな名を与えられ、以前居た基地にやって来る。
本人は最初からその名を持っていたつもりだし、新しく配属されてきたつもりだ。
基地の人間もそのことを理解しているし、そのキルドレが以前の記憶を持たないとわかっているので、基地の人間はそのキルドレを新しい配属者として扱う。
けれど。死んでしまえば脳の中の記憶は消失するとはいえ、記憶を覚えているのは脳だけではない。体にも記憶というものは染み付いている。だから、キルドレは以前していた行動を繰り返す。
例えば、マッチを折ってから捨てる癖。
例えば、新聞を几張面に折りたたむ癖。
そして、同じ人間を愛す。
愛する人もやがては死んで違う人間になり、自分もまた違う人間になっていく。
それでもまた愛し合う。
そんな繰り返しの日々を変えたいと願う。
「生きる自由、死ぬ自由、愛する自由を望む自分」でいる自由が欲しい。
「空で戦っていない時も生きていることを実感できる自分」になりたい。
だからキルドレは「決して勝てない敵」に挑む。
挑んで、たとえ散ろうとも、また挑み続ける。
空の上で。
−−−−−−−−−
興味のある方は是非劇場でご覧になってはいかがでしょうか。
テーマからいっても、御自身が1日でも若いうちに見た方が良いです。
寂しくも美しいオルゴールの音色だけでも、聴きに行く価値あり。レクイエムでありながらも子守唄でもある、そんな音色は稀少です。是非あの音色に体を包まれてみてください。
わたしは上記(「−」の区切りの上)を恋愛メインで書いていますが、実際は戦争の是非も問いかけてくる映画です。
*注*
わたしは原作を読んだことがありません。
以下は映画を見て、わたしがわたしなりにキルドレを解釈した文です。
正しいとは限りません。
ネタバレ注意。
キルドレは突然変異によって生まれた「戦争で死なない限り死なない人間」ではない・・・、わたしにはそう思えました。
彼らはその死の理由が戦争であっても戦争でなくても死ぬ。けれどそれは、完全なる死ではない。
体を再利用されている。
人為的な輪廻転生。
この世界は、そういう技術を持った世界。
キルドレは、戦争というショーを全人類に魅せる為に作り出された、全人類が所有する奴隷のようなもの。
だからキルドレは人間扱いしてもらえない。
生きる自由も死ぬ自由もないから。
人々はキルドレの戦いを見て、「自分たちには生きる自由も死ぬ自由もある」と優越感に浸る。
キルドレは、戦争をするため子どもの頃から戦闘機に乗せられる。
戦争であるからには、いつ敵に殺されてもおかしくない。
子どもの頃から日常的に戦っているから、全員が大人になるまでに戦死してしまう。
だから、キルドレは「永遠に大人にならない子ども」と呼ばれる。
復活したキルドレは新たな名を与えられ、以前居た基地にやって来る。
本人は最初からその名を持っていたつもりだし、新しく配属されてきたつもりだ。
基地の人間もそのことを理解しているし、そのキルドレが以前の記憶を持たないとわかっているので、基地の人間はそのキルドレを新しい配属者として扱う。
けれど。死んでしまえば脳の中の記憶は消失するとはいえ、記憶を覚えているのは脳だけではない。体にも記憶というものは染み付いている。だから、キルドレは以前していた行動を繰り返す。
例えば、マッチを折ってから捨てる癖。
例えば、新聞を几張面に折りたたむ癖。
そして、同じ人間を愛す。
愛する人もやがては死んで違う人間になり、自分もまた違う人間になっていく。
それでもまた愛し合う。
そんな繰り返しの日々を変えたいと願う。
「生きる自由、死ぬ自由、愛する自由を望む自分」でいる自由が欲しい。
「空で戦っていない時も生きていることを実感できる自分」になりたい。
だからキルドレは「決して勝てない敵」に挑む。
挑んで、たとえ散ろうとも、また挑み続ける。
空の上で。
−−−−−−−−−
興味のある方は是非劇場でご覧になってはいかがでしょうか。
テーマからいっても、御自身が1日でも若いうちに見た方が良いです。
寂しくも美しいオルゴールの音色だけでも、聴きに行く価値あり。レクイエムでありながらも子守唄でもある、そんな音色は稀少です。是非あの音色に体を包まれてみてください。
わたしは上記(「−」の区切りの上)を恋愛メインで書いていますが、実際は戦争の是非も問いかけてくる映画です。
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