死者の哀れを想う映画。
 冒頭からクライマックスに至るまで画面がぐらぐら揺れるので酔いやすい人にはおすすめできない映画ですし、俳優さんのうち何人かの演技もハッキリ言って今いちですけれど・・・。
 惹かれます。
 死者を「害成す者」というよりは「とてもとても強く生きていたいと切望している者」として描いているところに。


 身体は残っていないのに想いだけがそのまま。
 愛する人に触れても、気づいてはもらえない。
 体が欲しい。けれど体は無い。自分はここにいるのにここにはいない。
 せっかく体を持って死の国から戻ってきても、もはや自然に生きている者ではないが故に、かつての友達にもかつての恋人にもおびえられる。拒絶される。
 死者はやりたいこと全てを「自分は死んでいるのだから仕方がない」と諦めなければならないのか?
 このままずっと生きていたくても、「死者だから」という理由で再び死の国へ追いやられることに、納得しなければいけないのか?


 そんな悲しみを追う少女・莎代里の恋の成就を願わずにはいられません。
 ・・・莎代里は彼女の想い人である文也と共に、死の国へと沈んでいきました。
 ・・・これは恋の成就と言えるのでしょうか?
 そうは言いたくありません、悲しすぎます。


 既に亡くなっている莎代里と違い、文也は生きているにも関わらず死の国へいきました。
 生者を受け入れた死の国はどうなるのでしょうか?
 生者の国が死者を死の国へと強引にも送り返したのと同じように、文也も又、送り返されてくるのでしょうか。生きたまま。
 ・・・否、死者の国はかつて生者だった者がいく場所なのですから送り返されてはこないのでしょうか?

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