死刑を前にしたソクラテスと、彼に脱獄を勧めても断られ続けるクリトンの対話集。
 色々ツッコみどころがあります。 


 例えばわたしはこうツッコみを入れてみましょう。
 作戦もっと練ってから来ようぜクリトンよ、と。
 クリトンが脱獄を勧めるのは純粋に友情からかと思いきや、クリトンは説得を開始した段階でこう言うのです。

 「それだけじゃない。君や僕を個人的に知らない人たちは、僕のことを、お金を出せば君を救えたのに、何もしなかったと思いこんでしまうだろう。僕にとっちゃ大変な不名誉だよ。親友より金が大事だなんて思われたくないんだよ。大衆はね、僕が逃げるよう勧めたのに君が拒否したなんてことは信じないんだよ」(青空文庫内の訳文より引用)と。

 おいおい自分のためかよ、とソクラテスもカチンときたかもしれません。
 クリトンは他にも「救われることができるのに、自分で命を捨ててしまうなんて間違ってるよ」などと言って懸命に脱獄を勧めますが、ソクラテスは動じず。
 ああクリトンよ、純粋に友情のみによって「死なないで欲しい」と訴え続ければ、まだソクラテスは心を揺らしたかもしれませんのに。
 問答勝負に持ち込むとは。
 一体誰が問答でソクラテスに勝てるというのでしょうか。
 ・・・わたしもソクラテスに脱獄を勧める自分を想像してみましたが、その想像の中でソクラテスに「正しくないことはすべきではない」と言われてしまいました。むむぅ。

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