横浜聡子監督　『ウルトラミラクルラブストーリー』

2010年3月22日映画

　町子先生は何故陽人の脳味噌を熊に食べさせるのでしょうか。
　正直言ってわたしにはさっぱりわかりません。
　色々想像してみます。

　元彼が事故死して自分がとても傷ついたのを知っているくせに、その上で結婚を申し込んだくせに、まだ返事を聞いていないくせに勝手に死んだ男への復讐なのか？　…と言うと、それは違うと思います。
　大好きだ！　両想いになりたい！　結婚したい！と近所を気にせず大声で叫び続けて付きまとった挙句、脳味噌だけになっても「町子先生さあげる」と自分の元へやって来たストーカー男へ鉄槌を下したのか？　だから熊が脳味噌をたいらげたのを見て笑ったのか？　…と言うと、それも違うと思います。
　…元彼は首が吹っ飛んだまま。だから今度の男は脳味噌を投げてやろう、自分と関わる男はみんな頭部を失うのだ、と狂ってしまって熊へ脳味噌を投げたのか？　…それもまた、違うと思います。

　…なぜなら、もし町子先生がそんなに冷たい女ならば、陽人に水をかけるはずがないから。
　「農薬を浴びると頭がすっきりして（←多分体が弱ってるだけ）町子先生に好きになってもらえる」と誤解した陽人が農薬を浴び続けていることを知り、町子先生はホースで陽人に水をかけるのです。「町子先生やめてよ」と言われても。かけ続ける。
　どうでもいいなら、そんなことするはずがありません。農薬のせいで一度心停止した後の陽人の行動を「生き返ってから～日目。～時～分～」と記録し続けるのも、研究対象にしているというわけではないように思います。…根拠はありませんけれど…。
　陽人の行動がストレートなだけに、町子先生という人間は謎めいています。

　…或いは。
　「脳みそねくても心臓止まってもわー生きてらど」という陽人の言葉が、陽人の脳味噌を失って初めて町子先生の心に届いたから、町子先生は笑ったのでしょうか。
　…謎！　

　町子先生の真意はこの通りサッパリわからないけれど、松山ケンイチさん演じる陽人の裸の背中がセクシーなのでわたしの胸が高鳴ったことはよぅくわかりました。陽人の笑顔にも、町子先生の元カレ・要に書く手紙にもキュンとしました。