福本利伸 『賭博黙示録カイジ』
2011年2月6日 漫画
*注* 思いっきりネタバレしています。
石田さんは善人です。
腕に焼印を押され、全裸にされ、これから強制労働なのか売春なのか内臓移植なのか想像もつかない扱いを受けようという時に、赤の他人であるカイジの身を案じることが出来る人。
凄くいい人です。
騙さなければ限定ジャンケンには勝てないのに、石田さんは人を疑いません。それどころか、自分を騙した人を罵倒すらしないで、諦めて現実を受け入れようとします。騙された自分が悪い、と思っているのでしょう。
いい人すぎてハラハラするほどです。
限定ジャンケンでカイジにせっかく命を救われた石田さんが、人間競馬に参加したのには読み手であるわたしも驚きました。しかも、石田さんはカイジも参加しているということに気づいた時、隠さずに笑顔も見せました。
愚かというべきか無邪気と言うべきかわかりませんが、多分愚かと言うべきなのだと思います。根っからの正直者である石田さんが勝てるはずがないのです。善人なのですから。でも石田さんは特に勝算もないのに参加。多分石田さんの頭の中には、妻や息子のためにもきっと勝って借金をチャラにしよう! という考えしかなかったのでしょう。
わたしは石田さんが好きです。漫画の登場人物に過ぎないのに、石田さんにはすごく好感を持ち、心配します。だから石田さんには、自分の身可愛さに借金から逃げようとか、カイジに依存して助かろうとか、そんなずるい考えを持って欲しかったです。そういう考えを持つことで生き延びて欲しかったです。「どうして俺がこんな目に!」などと見苦しく嘆いたっていい。とにかく生きていて欲しかった。
でも、石田さんは死への恐怖でパニックを起こしながらも逃げなかったし、残される妻のためにと必死の思いでカイジにチケットを託すし、カイジに動揺を与えないようにと悲鳴を押し殺して、僅かな音も立てずに地上74メートルの高さから落ちていきました。
…いい人すぎます。わたしは石田さんが死ぬシーンを読んで泣きました。石田さんが天国に行けなきゃこの世もあの世も間違っています。仮に地獄へ落ちたとしても、石田さんは仏様が垂らしてくれた蜘蛛の糸をニコニコしながら他の人へあげるのかもしれません。
とはいえ石田さんがそこまでしたからといって報われるとは限らない、というのがこの漫画らしいところ。
結末まで読んで、つくづく稀有な漫画だなと思いました。
石田さんは善人です。
腕に焼印を押され、全裸にされ、これから強制労働なのか売春なのか内臓移植なのか想像もつかない扱いを受けようという時に、赤の他人であるカイジの身を案じることが出来る人。
凄くいい人です。
騙さなければ限定ジャンケンには勝てないのに、石田さんは人を疑いません。それどころか、自分を騙した人を罵倒すらしないで、諦めて現実を受け入れようとします。騙された自分が悪い、と思っているのでしょう。
いい人すぎてハラハラするほどです。
限定ジャンケンでカイジにせっかく命を救われた石田さんが、人間競馬に参加したのには読み手であるわたしも驚きました。しかも、石田さんはカイジも参加しているということに気づいた時、隠さずに笑顔も見せました。
愚かというべきか無邪気と言うべきかわかりませんが、多分愚かと言うべきなのだと思います。根っからの正直者である石田さんが勝てるはずがないのです。善人なのですから。でも石田さんは特に勝算もないのに参加。多分石田さんの頭の中には、妻や息子のためにもきっと勝って借金をチャラにしよう! という考えしかなかったのでしょう。
わたしは石田さんが好きです。漫画の登場人物に過ぎないのに、石田さんにはすごく好感を持ち、心配します。だから石田さんには、自分の身可愛さに借金から逃げようとか、カイジに依存して助かろうとか、そんなずるい考えを持って欲しかったです。そういう考えを持つことで生き延びて欲しかったです。「どうして俺がこんな目に!」などと見苦しく嘆いたっていい。とにかく生きていて欲しかった。
でも、石田さんは死への恐怖でパニックを起こしながらも逃げなかったし、残される妻のためにと必死の思いでカイジにチケットを託すし、カイジに動揺を与えないようにと悲鳴を押し殺して、僅かな音も立てずに地上74メートルの高さから落ちていきました。
…いい人すぎます。わたしは石田さんが死ぬシーンを読んで泣きました。石田さんが天国に行けなきゃこの世もあの世も間違っています。仮に地獄へ落ちたとしても、石田さんは仏様が垂らしてくれた蜘蛛の糸をニコニコしながら他の人へあげるのかもしれません。
とはいえ石田さんがそこまでしたからといって報われるとは限らない、というのがこの漫画らしいところ。
結末まで読んで、つくづく稀有な漫画だなと思いました。
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