『十三番目の人格 ISOLA』と『黒い家』を読んだ時には感じませんでしたが、貴志さんって絶妙なリズムの会話を書けるんですね。
 P266の「だから、それは、誰……?」には、読み手であるわたしもクスッと笑ってしまいました。この一言自体は普通のセリフなのですが、このセリフを置く場所がとてもいいと思います。
 『黒い家』のような心臓に悪い物語を書いた割に、貴志さんは案外面白い人なのかもしれません。

 この『狐火の家』に収録されている『黒い牙』に使われている「ペット」の名前の選び方も秀逸。
 ジョディ、メグ、ニコール、キャメロンと来て、最後にシャーリーズですって! 思いっきり女優の名前じゃないですか!
 最初は「ふぅん。女性の名前かな?」と思わせつつも「ん? キャメロン?」とキャメロンあたりで思わせ、最後にシャーリーズで締める。素晴らしいです。モニカも入れて欲しい。
 人気女優の名前を使うことで、登場人物が「ペット」の魅力にのめり込んでいることが読み手に伝わります。女優に恋い焦がれるファンのように。
 …でも、貴志さん。「ペット」の雄の名前は「金太郎」なんですね…。…なぜ雄だけそうなるのですか! 雌とのこの待遇の違いは何ですか! 他の雄は「桃太郎」とか「浦島太郎」なのですか! …それはそれで面白いから番外編として書いて欲しいな。

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