介護に携わっていない人にも必読の本。
 何故なら、生き続けていれば、人は必ず自分自身と他人の老いに向き合わざるを得ないから。
 いざ老いた時に現実を拒絶しないために、老いとは、介護とは何か、を考えるこの本が必要になると思います。
 
 一般的に、介護についての本は、「自立支援」「自己決定」など、聴こえの良い言葉ばかり並べます。
 けれど、この本はそれらについて疑問を投げかけていきます。
 誰かに依存しなければ生きられないから介護を受けるのであって、そもそも人間は若い頃も誰かに依存して生きているじゃないか、過度ではなく適切な依存が行われるべきだ、と。
 
 この本全体を通して、わたしには筆者がこう語りかけているように感じました、決して思考停止するな、と。
 この本は視野を広げてくれました。
 
 介護ロボットや外国人労働力受け入れについての筆者の見解も興味深いです。
 
 ナースコールについてのページは、実際に介護に携わる人にとっては少々耳が痛いかもしれません。
 余談ですが、わたし自身、社会福祉士として高齢者福祉に取り組んでいますが(今の職場ではしていませんが、以前の職場では介護職員も兼ねていました)、あちこちの施設で「同じ人に何度もナースコールを鳴らされて業務が進まないのでスイッチを切ったら、上司に注意を受けた。そんなこと言ったって業務が進まない」等と平気で話す介護職員や看護職員に出会いますので…。確かに忙しいのはわかるのですが、ナースコールは命綱ですから、下手したら高齢者が死にます。
 この本のナースコールについてのページには、「用がない、あってもたいした用ではないナースコール。でもそれがもっとも大事。名づけて“純粋ナースコール”。~(中略)不安な老人には、呼べば応えてくれるナースコールは自分が世界とつながっていることを確認する唯一のものなのです」(P52から抜粋)と書かれています。
 せめてこのページだけでもいいから、全ての介護関係者に読んで欲しいです。

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