木下藤吉郎が、ついに羽柴秀吉へ改名。
 丹羽長秀の「羽」、柴田勝家の「柴」、明智光秀の「光」を一字ずつ取り、最後に木下藤吉郎の「吉」を残して、羽柴秀吉に!
 というくだりは、読んでいて気持ちが良いくらい、秀吉の気質をよく表しているように思います。

 また、生き別れの弟として名乗り出てきた忍に、「ガキの頃のことなど覚えておらんなぁ。わしが生きる上でなんの必要もない」とキッパリ言い放つあたりも、わたしが抱いている秀吉のイメージ(表面上はニコニコと振る舞いながらも、実は冷徹で極めて頭が良い)にぴったり。
 そして秀吉はこの忍へ対して、「お前と関わり合うことがわしにとって利となるのかそれとも害なのか、重要なのはそれだけよ…!」と更に言います。
 結局この忍、秀吉の役に立つことを条件として、弟の「秀長」として織田家に仕えることになりました。
 …うーん、この秀長、顔も背格好もまるっきり秀吉とは似ていません。
 何か裏がありそうな予感が…。気のせいでしょうか…。

 それからまた物語は進んで…、斉藤道三以来の第二のタイムスリップ仲間として、松永久秀が登場。
 平成でのご職業はヤクザだったらしく、背中には立派な獅子の刺青が。
 眉毛が非常に立派しすぎて、眉尻が何とも言えず特徴的。
 惜しむらしくは、この人も日本史にうといという事!
 残念!
 サブローはいつになったら本能寺の変の犯人を知ることが出来るのでしょうか。

 浅井長政の心の揺れ動きが描かれているという点においても、わたしはこの5巻が好きです。
 同盟関係にある信長を裏切るのか、裏切らないのか。市に対してどう振る舞えば良いのか…、という悩みが、ページを捲る度に伝わってきて苦しくなります。
 ただ、この漫画におけるお市は、長政のことも信長のことも大事だけれど、信長のことが一番大事という考え方なので、だからこそ長政が報われない感じがして切ない…。 
 お市が信長へ両端をしっかりと結んだあずき袋を贈り、それを見て長政が裏切って自分が袋の鼠になっていることを知った信長が突如逃げに転じた「金ヶ崎の退き口」も、この5巻において描かれています。

 秀吉はその「金ヶ崎の退き口」の殿軍をかって出ます。
 信長の背中を襲って、今川義元を討たれた恨みを晴らそうという狙いが見え見えです。
 秀吉のそういう狡猾さは、もはや潔いほどで、読んでいて清々しいくらいです。
 しかし、秀吉は信長を裏切る気満々だったのに、その不穏な気配に気づいた明智光秀と竹中半兵衛に見張られてしまい、秀吉は信長を裏切ろうにも裏切れず、逃げる信長の背中を守るために尽力する羽目に。

 わたしは史実での羽柴秀吉は嫌いですが、この漫画での羽柴秀吉は応援していきたいです。

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