「錬金術師のアトリエって、こんな感じなのかもしれない…!」と、実際に錬金術師に会ったこともないのにわたしは好奇心でゾクゾクわくわくしながらこのDVDを観ました。

 このDVDには、ナレーションなどの装飾が施されていません。
 音楽とは呼べないほどわずかな効果音があるのみ。
 だからこそ、クリアに観ることが出来ます。
 音楽は、ただ調理する際に奏でられる音たちで十分。

 このDVDを観ていると、まな板も包丁もフライパンも鍋も、未知の実験器具に見えてきます。
 この不思議は一体何なのでしょうか。
 出てくる料理のどれもこれもが、見た目だけでは、味も食感も予測がつきません。
 フェラン・アドリア率いるこのレストラン『エル・ブリ』では、料理を作るということ以外は特にしていないはずなのに…、レストランではなく、まるで錬金術師のアトリエに見えてきます。
 意外性・感動・新しい食感を求めて、実験、記録、実験、記録、実験、記録、実験…の繰り返し。
 簡単に(もちろんこの方たちにとっての「簡単」)思いつくレシピはすぐにボツになるし、なんと言っても「この店ではまったく新しいものを作る」という言葉に、このレストランのスタンスが集約されているように感じます。
 
 毎年6か月ものあいだ休業して、その間、次シーズンのレシピを創造してきた、スペインの伝説のレストラン『エル・ブリ』。
 創造してきた、と過去形にしてしまった理由は、このレストランが完全閉店してしまったから。
 けれど『エル・ブリ』の挑戦は続きます。
 財団となった後の動向にも期待しています。

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