まるで水戸黄門を観終わった時のような読後感の一冊。
 この紋所が目に入らぬか! なんて、十二国記の登場人物たちは勿論言わないけれど。
 上巻で登場した三人の少女たちが自分たちの身分を明かし、誰もが畏れおののく瞬間は、読んでいてスカッとします。
 三人の少女それぞれの成長ぶりが眩くて、特に結末は胸にグッときました。

 けれど…、彼女たちの勝利のかげには、命がけで御璽を守り、そして命を落としたもう一人の少女の存在もあることを忘れてはなりません。
 華々しい勝利の中では、ついつい英雄のことばかり語られがちだけれど、勝利をもたらすために沢山の命が失われていったことを決して忘れてはならないのだ…と、わたしはそんなメッセージを感じながらこの一冊を読み終えました。

 また、
 「(中略)前を向いて歩いていかないと、穴の中に落ちてしまうよ」
 「穴の中?」
 「自分に対する哀れみの中」(以上、P22から抜粋)
 という会話の流れをわたしはとても気に入りました。
 わたしもその穴に落ちてしまいそうになったら、この言葉を思い出したいと思います。

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