平民出身でありながらルイ十五世の寵姫となり、影の実力者として名を馳せたポンパドール公爵夫人ジャンヌ・アントワネット・ポワソンの生涯を描いた歴史小説。
 彼女の影響によってロココ様式が華開いていく様子や、『百科全書』の刊行支援、セーブル磁器事業のこと、オーストリア女帝マリア・テレジアとの同盟や、幼いアマデウス・モーツァルトの演奏のことなど、その時代ならではのことにあれこれ触れてあって、楽しく読めました。
 誰もが羨む寵姫の座をなぜ平民出身の自分が勝ち取れたのかという本当の理由を知って驚いたり、王と他の女性たちとの関係について悩んだり、彼女がいわゆる不感症であったため王と無理にベッドを共にしなくてもヴェルサイユでの地位を確立出来るように努力したり、などの彼女の心の揺れ動きをも垣間見れるような気がしつつわたしはこの本を読みました。
 ルイ十五世専用のハーレムのような館「鹿の苑」について、ポンパドール夫人がやり手ばばあのようである、と悪い印象を持っている方が少なくないようにわたしは思うのですが、この本においては、ポンパドール夫人は「鹿の苑」に居る女性たちが妊娠したら安心して出産してその後可能ならちゃんとしたところへ嫁げるようにフォローした、という風に好意的に書かれていたので、ポンパドール夫人好きのわたしとしては嬉しかったです。
 ポンパドール夫人からは、女性のしなやかな強さを感じます。
 

コメント

redeye-yan
2013年10月20日23:20

へぇ、平民だったんだぁ(駄洒落ではないですw)。

G−dark
2013年10月21日19:22

山田く~ん、アイやんに座布団いちまいっ。
平民といっても、平民の中でも富裕層の出身なので、いわゆるシンデレラストーリーとは全然違いますけど、根性ある感じがして好きです。

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