「いつか子どもを産みたい」と思いつつも様々な事情で妊娠が遅れ、いざ「子どもを産もう」と思った時にはもはや妊娠出来る年齢ではなかった…という人を少しでも減らしたい、という想いで出版された本。

 この本のタイトルだけを見ると、女性側の加齢(三十五歳以上かどうかが一つの目安)による不妊についての内容がメインの本か、という印象を受けるかもしれませんが、この本は女性側だけでなく男性側の問題による不妊についても言及しており、日本という国は妊娠「しない」ための性教育はしていても妊娠「する」ための知識の普及が不十分であること、諸外国と比べて不妊についての議論が活発でないこと等の問題についても触れた本です。

 特に、第三章『医師と患者 苦悩の現場』は涙なくしては読めませんでした。
 夫婦も頑張っている。
 医師も頑張っている。
 けれど頑張ったからといって必ず妊娠に繋がるわけではない。
 妊娠出来たからといって、流産せずに必ず無事に出産出来るとは限らない。
 …辛い話です。
 連日、ニュースを見れば、我が子を捨てたり暴力をふるったり殺したりする親のニュースが出てくるけれど…、子どもが欲しくて欲しくてたまらない夫婦のもとに子どもが授からず、バカ親(敢えてこの表現を使わせていただきます)が子どもが授かれるのは、本当に腹の立つ話です。
 若い時に性行為に及ぶか、歳を取ってから性行為に及ぶか、その差が道を分けるのだ…と頭では納得出来ても、心は納得出来ないです。したくない。
 特に、この本の第三章で、ある夫婦が、子宮外妊娠した時の受精卵の写真も、体外受精で出来たその他の受精卵の写真も、大切に保管していて、「せっかく私たちの子どもとして来てくれたのに、育てられなくてごめんね」とつぶやいた…というくだりを読んだ時、わたしは涙が止まらなくなりました。
 なんでこの人たちに子どもが授からないのか。
 なんだか他人事とは思えず、悔しいです。

 けれど、たとえ納得したくなくても、不妊治療は魔法ではない、ということは理解しなければいけません。
 「卵子が老化していると、分裂するときに組織を引っ張り合うエネルギーが足りなくなっていたり、バランスが崩れてしまっていたりして、正常な分裂が行われなくなるとみられているのだ」(P28から抜粋)
 「不妊治療は、受精卵が成長するための「環境」を整備する、という手助けを行うことはできるが、分裂に関しては、受精卵が持つ力に頼るしかない。だからこそ、どんなに高い技術を持った医師でも、卵子の老化に太刀打ちすることができずに、頭を抱えているのが現状なのだ」(P29から抜粋)
 というこの本の記述を読むと…、もし「いつか子どもが欲しい」と思っているのであれば加齢は大きなリスクであることがよく分かりました。

 わたし自身は現在二十代未婚で子どもはいないのですが、今のうちからこの本と出逢えて本当に良かったです。
 産む、産まない、を選択するのは自由だけれど、加齢によって妊娠そのものが難しくなることを知った上で産む、産まないを選択するのか、或いはそれを全く知らずに選択して後から後悔するか、は大違いなので…。

 また、この本は、子どもがいない夫婦に平気で「お子さんは?」と聞いたり、「子どもはいいわよ」「なんで作らないの?」などと言ってくる人たちの存在についても折々で触れています。
 …本人たちは全く悪気はないのかもしれないけれど、なんて心無いことでしょう…。
 …わたしは決してこういう人たちにはなりたくないです…。でも、もし今までにわたしもそんなことを聞いたり言ったことがあるとしたら、自分で自分を殴りたいです。

コメント

redeye-yan
2014年1月16日22:13

友人に産科勤務経験がある人が数人居て(そのうち1人は助産師さん)、色々なつっこんだ話も含めて聞いたことがあって、じっさいのところ、35どころか30でアウト(言い方悪いけど、現場としての実感)なのが正直なところであるらしい。でももちろん個人差はかなりあるって言うのも事実なので、微妙だけどね。

子供が欲しいかもって言う気持ちはまったくゼロじゃないけど、年齢その他の理由で機会がないなら、仕方ないし、老後がさみしいとか孤独死だとかもそれなりに受け入れるしかない覚悟は一応あるんだけど、

でもなんか釈然としないなにかがずっと消えないですね。たぶん私だけがそう感じてるんじゃないと思うんだなー。

うまく説明できないけど、昔(明治~戦前ぐらいまで)に比べて、子供をもうけるってことに限って言うと、今・現代のほうが女性ひとりにプレッシャーがすごいかかってると思うんだけど・・・。昔のほうが、産めない女は離縁Σ(@@;)とか一見きびしいように見えても、けっきょく跡継ぎができなかったら養子をもらうとか、お妾さんが産んだ子を連れてくるとか、″他の方法″が色々あったし。でも今は完全核家族で、外から連れてくることができない替わりに、ぜったい1人の女性が産まないといけなくなって、たいへんなことになってる気がする。

G−dark
2014年1月16日23:26

わたし自身、母が30歳超えてから出来た子どもだし、自分は母親が40歳超えてから出来た子どもだって知人もいますし、実際個人差はすごくあると思います。
35歳までに、でも出来れば30歳までに、っていうのはあくまで目安ですよね。

アイやんは友達多いイメージだから、もし仮に老後一人暮らしになったとしても、一人だけど独りじゃない感じで、もし一人で死んでもすぐ誰かに発見してもらえそう…。そんな気がする。

確かに、一人の女性にかかるプレッシャーはすごくあると感じます。
ちなみにわたしがこの本を読んだきっかけは、上司に「少子化なんだから君も子どもを産みなさい。少なくとも三人は産まないと。日本の将来のために」と、もっともらしいこと言ってる風のセクハラ発言されたのがきっかけです。
子どもを産まない女性=悪なのか!? と、びっくりしました…。

アイやんが言っているように、見方によっては、一夫多妻制とかお妾さん制度によって苦しんだ女性もいれば、ある意味気が楽になったよって女性も居たんでしょうね。

今は今で代理母とか養子縁組とかあるけど、いろいろ条件が難しいようなので、今後じっくり勉強していきたいです…。
奥が深い…。

redeye-yan
2014年1月17日21:49

あぁぁぁ!

そういう、

一見正しそうな説教みたいなセクハラパワハラがいちばん釈然としないし性質が悪い。言われたほうは反論出来ないし、立場的に追い詰められて袋小路だし。まだ、ブスだとかデブだとか言う悪口のほうがあるいみマシかも(反論したり考え方捉え方を変えることも出来るって意味で)。

そう言う思想が世の中から無くなれば自殺率だって減ると思うぐらい。ある年齢層以上の男性の凝り固まった考えはもちろん、それを助長する女性(同じ女性なのに)たちも同罪だと思うし、自分も加害者になってる時があると思う。そういうのはわたしらの時代で断ち切ろう!そうじゃないと未来がないきがする。

G−dark
2014年1月18日11:49

ほんと、「~すべき」「~の義務がある」って考え方をやめれば、みんなもっと楽に生きられると思います。
なんか、自分たちで自分たちの世界を生き辛くしちゃってる感じですよね。
「わたしは~の方がいいと思うんだけど、あなたはどう思う?」っていう考え方ができる人間でありたいです…。
わたしたちの代で断ち切りましょう! シャキィィン!←斬った音w

33333
2014年1月22日21:55

結婚もしていないのに、自分は妊娠できるんだろうかと
考えてしまいます。
友達の結婚・出産の話を聞くとジワジワと焦ってきました。(^_^;)

nophoto
ひとこと
2014年1月23日17:28

こんにちは。お邪魔します。
私は、皆さんよりちょっと上の娘を持っている母親です。
娘もとても焦っていますが、周りに男性はいても子供を産もうと思う人が
いないと悩んでいます。
誰でもいいからというわけにはいかないし、子供がいなくても仲良く暮らしている夫婦は、世の中に沢山いるのだから・・と助言するしかありません。

団塊の世代の私などは、ネットもなかったし、こんな情報も知らずに誰もが
産めるんだぐらいしか、(今になって恥ずかしい限りですが)考えていません
でした。
あまりに、世の中いろいろな情報や不安を書きたてるマスコミなどに踊らされずに自分の信じる道を歩んでください。

今の若者を生きにくくしてしまったのは、私達の世代の責任でもあると思います。
余計なおせっかいですが、目にとまり書かせて頂きました。



G−dark
2014年1月26日18:58

33333さんへ>
右に同じく(笑)
わたしもまだ結婚すらしていませんが、我々の年代だと焦っちゃますよね…。
周りの友達がみんな結婚していくし…。
最近わたしは友達の結婚祝いと出産祝いを出してばかりで金欠です(笑)

ひとことさんへ>
コメントありがとうございます。
娘さんがいらっしゃるんですね。
わたしもきっとそんな風に母に心配をかけているんだろうなぁ…と、コメントを読んでなんだか反省しました。
かといって、ひとことさんがおっしゃる通り、誰でもいいってわけではないし。
今の世の中は、色んな生き方がある分、迷うことばかりですが、ひとことさんの娘さんも自分の信じる道を歩めますように!

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