| メイン |
藤沢周平『花のあと』
2014年10月25日 おすすめの本一覧
短編小説『鬼ごっこ』、『雪間草』、『寒い灯』、『疑惑』、『旅の誘い』、『冬の日』、『悪癖』、『花のあと』を収録した文庫本。
『鬼ごっこ』は、まだ19歳のおやえという女が殺されたため、吉兵衛という男がその犯人を突き止めて仇討ちをする話。
『雪間草』は、かつて婚約者だった男が藩への反逆罪により腹を切らされそうになったため、その助命を願い出る尼僧松仙の話。
『寒い灯』は、姑からいびられて嫁ぎ先から飛び出したおせんという女が、去り状(今で言う離婚届)を貰って新たな人生を歩むべく、風邪をひいて弱っている姑を訪ねる話。
『疑惑』は、鉄之助という男が親殺しの罪で捕まった。
確かに鉄之助は悪党だが、殺しに関しては濡れ衣を着せられたのではないか?と睨んだ同心笠戸孫十郎が真犯人を捕まえる話。
『旅の誘い』では歌川広重が主人公。
「英泉先生の代わりに木曽街道を描いてください」と頼んでくる版元保永堂と、「保永堂は狡猾で儲けることしか考えていない、失敗すれば代わりはごまんといる」と忠告する浮世絵師仲間の池田英泉(渓斎英泉)との板挟みになるも、歌川広重が東海道五十三次から木曽街道六十九次を描くに至るまでの話。
なお、この作品の中では葛飾北斎があまり良い評され方をしていないので、北斎好きには読むことをあまりおすすめ出来ないです。
『冬の日』は、幼なじみのおいしと偶然再会した清次郎が、これまでお互いに別々の人生を歩んで苦労してきたけれどこれからは一緒になろう、とする話。
『悪癖』は、酒に酔って機嫌が良くなるとどういうわけか他人の顔を舐める癖がある平助が、仕事でせっかく手柄を立てたのに、あろうことかまた酒に酔って上司の顔をぺろりと舐めて手柄を台無しにする話。
『花のあと』は、剣の腕が立つ以登という娘が主人公。
以登は孫四郎という男に恋心を寄せたが、お互いに縁談のある身だったので孫四郎に想いを伝えることも出来なかった。
しかし、孫四郎の妻は孫四郎と結婚する随分前から妻子持ちの男とずるずる不倫を続けていて、その不倫相手の男の企みによって孫四郎は死んでしまった。
以登は自らの手でその仇討ちをする。
という話。
わたしは特に『寒い灯』が気に入りました。
姑がしおらしくなっているのは風邪を引いている今だけで、風邪が治ればきっとまた威張り散らす姑に戻るだろうと分かっていても、それでもおせんは嫁ぎ先へ帰っていきます。
ここしか帰る場所がないと諦めた、というよりも、自分を必要としてくれる場所だから帰るのだ、という強さを感じました。
『鬼ごっこ』は、まだ19歳のおやえという女が殺されたため、吉兵衛という男がその犯人を突き止めて仇討ちをする話。
『雪間草』は、かつて婚約者だった男が藩への反逆罪により腹を切らされそうになったため、その助命を願い出る尼僧松仙の話。
『寒い灯』は、姑からいびられて嫁ぎ先から飛び出したおせんという女が、去り状(今で言う離婚届)を貰って新たな人生を歩むべく、風邪をひいて弱っている姑を訪ねる話。
『疑惑』は、鉄之助という男が親殺しの罪で捕まった。
確かに鉄之助は悪党だが、殺しに関しては濡れ衣を着せられたのではないか?と睨んだ同心笠戸孫十郎が真犯人を捕まえる話。
『旅の誘い』では歌川広重が主人公。
「英泉先生の代わりに木曽街道を描いてください」と頼んでくる版元保永堂と、「保永堂は狡猾で儲けることしか考えていない、失敗すれば代わりはごまんといる」と忠告する浮世絵師仲間の池田英泉(渓斎英泉)との板挟みになるも、歌川広重が東海道五十三次から木曽街道六十九次を描くに至るまでの話。
なお、この作品の中では葛飾北斎があまり良い評され方をしていないので、北斎好きには読むことをあまりおすすめ出来ないです。
『冬の日』は、幼なじみのおいしと偶然再会した清次郎が、これまでお互いに別々の人生を歩んで苦労してきたけれどこれからは一緒になろう、とする話。
『悪癖』は、酒に酔って機嫌が良くなるとどういうわけか他人の顔を舐める癖がある平助が、仕事でせっかく手柄を立てたのに、あろうことかまた酒に酔って上司の顔をぺろりと舐めて手柄を台無しにする話。
『花のあと』は、剣の腕が立つ以登という娘が主人公。
以登は孫四郎という男に恋心を寄せたが、お互いに縁談のある身だったので孫四郎に想いを伝えることも出来なかった。
しかし、孫四郎の妻は孫四郎と結婚する随分前から妻子持ちの男とずるずる不倫を続けていて、その不倫相手の男の企みによって孫四郎は死んでしまった。
以登は自らの手でその仇討ちをする。
という話。
わたしは特に『寒い灯』が気に入りました。
姑がしおらしくなっているのは風邪を引いている今だけで、風邪が治ればきっとまた威張り散らす姑に戻るだろうと分かっていても、それでもおせんは嫁ぎ先へ帰っていきます。
ここしか帰る場所がないと諦めた、というよりも、自分を必要としてくれる場所だから帰るのだ、という強さを感じました。
| メイン |
コメント