気持ち良く、しかもプライバシーを守って排泄することは、生きる上でとても大切なことですよね。

この本は、排泄に関する用具の情報館の代表者が書いた本です。

この代表者の方が介護に関わるきっかけとなったのは、お母さんの入院と死。

病院側から「骨折して寝たきりにならないようにおむつをしてそこで排泄しましょう」と言われ、お母さんは「おむつは絶対にいやだ」と何度も言ったのに、病院側に言われるまま家族もおむつに賛成してしまい、結果としてお母さんは急速に衰えていって1日中ベッドに横たわるようになり、おむつをあててからひと月で亡くなってしまったそう。(P12~13の内容)

おむつをつけることがお母さんの生きる意欲を奪ってしまったのでしょうか?

そうだとしたら家族は悔やんでも悔やみきれないですよね…。

そういう辛い経験を経て、この方は一人一人の状態に応じた排泄用具を提案するお仕事を始めたそうです。

排泄用具には色々なものがあります。
軽失禁パンツ、尿パッド、ポータブルトイレ、尿器などなど、数え切れないほどの種類があります。

この本には排泄用具についての紹介の他に、この方が色んな方から受けた排泄の悩みの事例や、排泄を見直してみて介護する側もどう変わったかという事例も沢山載っているので、とても勉強になりました。

余談ですが、わたしが以前勤めていた介護施設では「おむつを0にする!」という取り組みを始めて、トイレでの排泄を目指すその取り組みそのものは素晴らしいのですが、慣らす期間を経ずにいきなり入居者の皆さんのおむつを外して普通の布パンツ対応にして尿パッドも付けることも禁止されてしまい(慣らす期間を設けた方がいいのでは…という職員側からの提案に理事長が耳を貸さなかった。理事長はこの取り組みを症例発表に使って良い評価を得ようとしていました)、かといって職員を増員してもらえたわけでも勤務体制を工夫させてもらえたわけでもないので、当然のことながら皆さん全員をトイレにお連れするのは難しく、失禁が頻発、入居者の方々のプライドをかえって傷つける事態になったことがありました…。

おむつ=素晴らしい、わけではないし、おむつ=悪い、わけではないんですよね。

要はそれがその人に合うか合わないかの問題。

一人一人にぴったりのものを丁寧に見つけて、排泄用具を使う=気持ち良く且つプライバシーのある排泄をすることで安心して外出や趣味を楽しめる、ようにしたいですね。

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