この写真集の序文として、あのジャック・マイヨールからのメッセージが寄せられていることに、わたしはとても驚かされました。
かつて彼が日本の宿に滞在し、日本の海に潜っていたなんて。
日本の自然を愛してくれていたなんて。
『私は、口癖のように「年をとって、気ままに世界中を旅することができなくなったら日本で暮らしたい」と世界中の友人に話しています」(この本の冒頭から抜粋)という文を読み、のんびり暮らして老いていく彼の姿を想像し、わたしは思わず泣きそうになりました。
それは想像でしかなく、決して目で見ることはかなわないから。
どうして自殺なんて…と辛くなりますが、彼の遺骨は海に散骨されたそうですから、今もどこかの海で彼がイルカと共に泳いでいることをわたしは願います。

と、すっかり話が逸れてしまってすみません。

三好和義さんのこの写真集、とっても素敵です。
日本の宿が建物として美しいだけではなく、その周りの木々や川や朝霧といった自然も含めて風情があることが伝わってきます。
湿度や、温度や、仄暗さ、畳の香り、虫の声、温泉の湯ざわり、障子を通したやわらかな光といったものさえも写真を通して感じ取れる気がします。
友達大勢とわいわい出かけるというよりは、出来れば一人か、或いは本音で語り合えるごく親しい人と泊まって、人生について考えたくなるような宿が紹介されています。
嗚呼、旅に出たい。

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