ここまで主人公を好きになれない小説も珍しいです。

主人公は既婚者。
結婚後に奥さんが妊娠。
奥さんが目を輝かせてそれを主人公に報告すると、主人公は以下のセリフを言い放ちました。
「堕ろすんだろう?」
「気をつけてきたのに、どうして失敗したのかな」
奥さんが大粒の涙を流しながら「でも折角の赤ちゃんなのに」と言うと、主人公は更にこう言いました。
「だめなものはだめだ」
と。
その後主人公は以下のように回想します。
『医者の説得に対しても、小さな生命を消すという私の意志は変わらなかった』
『生活が苦しいのでというのが対外的な理由であったが、父親になるのが煩わしい、というのがその時の私の本音であった』
『彼女は今も私を許していないかもしれないし、私もそれは仕方がないことだと思っている』
(全てP84〜85から抜粋)

…はっ?
父親になるのが煩わしいなら、子どもが出来るようなこと最初からするなよ!
主人公は数学の教師で、難しい数式を解けるのに、やれば出来る(下品な言い方で申し訳ありません)のは当たり前だし、堕ろすのは女性が心身共に傷つくってことさえ分からないの?
子どもが欲しくないなら、同じように最初から子どもが欲しくない女性と結婚しろよ!

と、この小説を読んでツッコんだ人は少なくないと思います。
というかツッコんだ人が沢山いて欲しいです。

この小説は推理小説で、主人公が勤めている学校で起きた殺人事件の謎解きがメインの内容。
東野圭吾のデビュー作でもあり、伏線が張り巡らされていて、結末も気になる終わり方をしていて「放課後」というタイトルの意味も分かって、さすがと唸る作品。

ですがわたしはこの小説を推理小説というより、
「子どもを生む・生まないなどの大事な話は、きちんと結婚前に話し合っておきましょう。結婚=子どもを授かったら喜んでもらえる、とは限りません。この主人公のように、たとえ結婚していても『父親になるのが煩わしい』という理由で妻に中絶を迫る男性もいます。結婚前に相手によく確認しましょう」
と教訓を教えてくれる小説であると認識しながら読みました。

という理由で、わたしはこの小説を婚活中の女性におすすめしたいです。
女性は身体の構造上、歳をとれば取るほど子どもを生みにくくなるので、どうしても結婚を焦りがちですが、是非この小説を教訓に、結婚する前にしっかり話し合ってくださいね!

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