人の死因は数多くありますが、この本には、死因が「人」だった人の遺体写真が数多く載っています。

幸か不幸かカラー写真はなく、モノクロ写真のみですが、モザイクは一切無し。
まさに今、人を殺す!という瞬間の加害者の表情のみならず、まさに今、殺される!という被害者の表情をもはっきり捉えている写真まで数点あります。

首を斬られてその首だけを晒されている人。
磔にされて喉を突かれた人。
散乱、或いは積み上げられた、血まみれの兵士。
逮捕されるや、裁判も無しに絞首刑にされた人。
空襲や原爆で黒焦げになった人。
兵士の「度胸づけ」のための「刺突訓練」によって刺し殺された捕虜や農民。
強姦され、殺され、もしかしたらその順番は逆かもしれないけれど、股を開かされたまま白骨化した人。
また、この本のタイトルには「日本」とありますが、この本には日本以外の国での写真も載っていて、ナチスによるホロコーストで殺された人、人体実験をされた人、村人が皆殺しにされた村で泣く幼い子ども、空爆で死んだ母親にすがりつく少年、ユダヤ人を助けようとしたという理由で仲間3人と共に絞首刑にされた17歳の少女、また、近年においてはイラクなどで起きた血で血を洗う惨劇の数々など…、

人は人に対してここまで残酷な仕打ちが出来るのか!と、わたしはこの本のページを捲る度に憤りを覚えました。

「殺す側」には色々な言い訳があるのでしょうが、「殺される側」の気持ちを想像すると、たまったものではありません。

特に、例えば先ほど紹介した、ユダヤ人を助けようとしたからという理由で殺された少女とその仲間たちは、本当に立派な行いをしましたよね。
この人たちのように、人を助けようとすることが出来る人にこそ、生きて次世代を切り拓いていって欲しいです。
なのに、殺されてしまった…。

「強いもの」が「弱いもの」を踏みにじる、たとえその「強いもの」がどんなに間違っていようとも力で強引にねじ伏せる、こんなことがまかり通る世の中のままで良いはずがありません。

こういう遺体写真は「残酷だから」ということで歴史の教科書にはこれからも載らないかもしれませんが、中学生や高校生以上の年齢になった人が「歴史を知りたい」と望めばこういった写真を見ることが出来る方が良い、とわたしは思います。

写真はありのままを教えてくれます。

こうして写真に残すこと自体、死者への冒涜だ、晒し者にしている、などと批判する人もいるかもしれませんが、わたしはむしろ同じことがいつまでもいつまでもいつまでも繰り返されて今後も沢山の人が殺される方が、これまで殺されてきた人たちへの冒涜になると思います。

殺し、殺されてきた、という歴史を忘れてはいけません。

これからを変えるために。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

日記内を検索