ニール・ブロムカンプ監督『第9地区』
2017年10月2日 映画
※注※ 結末を明かすネタバレがあります。
クリストファーとその坊やは地球に戻って来られるのでしょうか?
地球時間にして20年もの長きに渡り、宇宙船が地球に留まるしかなく、エイリアンたちが大人も子どもも関係なく地球人から虐殺され続けてもなお、故郷の惑星から助けは来なかったというのに。
クリストファーはヴィカスに約束しました、
「故郷の惑星に帰って助けを呼んでくる」
「そうすればお前を治せる」
「3年経ったら必ず地球に戻る」
と。
けれど…。
もし故郷の惑星が無事なら、20年もの間、彼らを救助するための宇宙船が現れなかったのは何故でしょうか?
自分たちが地球に居ることを連絡するための通信手段を失っていたとしても、故郷の惑星から捜索隊くらいは派遣されて来ても良いのでは?
けれど救助も捜索隊も来ないまま、エイリアンたちは20年もの間、地球での難民生活を強いられ続けました。
エイリアンたちは劣悪な住環境の「第9地区」に収容され、時には実験材料として殺され、時には「中絶してやった。卵を焼くとポップコーンが弾けるみたいな音がする」と地球人に笑われながら卵を焼き殺されるという悲惨な目に遭い続けていました。
それでも助けは来ませんでした。
それらのことを考えると、一つの仮説が成り立ちます。
故郷の惑星は既に滅んでいる。
地球に現れたエイリアンたちは故郷の惑星から命からがら地球に逃げて来た避難民。
もはや生き残りは彼らだけ。
だから故郷の惑星からの助けは来ない。
…という仮説が。
そもそも、地球に宇宙船が現れた当初。
地球人が宇宙船の扉をこじ開けた時…、
宇宙船の中に居たのは、栄養失調で、気力を失い、宇宙船を動かすための燃料も失い、弱り切ったエイリアンたちでした。
故郷の惑星に何か大変な事態が起きたとしか考えられません。
あれだけ沢山のエイリアンが地球にいたのに、宇宙船を動かすエイリアンはクリストファーとその坊やしか居なかった(もしかしたら地球人に殺されたクリストファーの友人も動かせたかも知れないけれど)のはそのせいでしょう。
宇宙船を動かす技術を持っているのがクリストファーたちだけだったから、というよりも、
むしろ、
宇宙船を動かして故郷の惑星に戻っても無意味だ、
どんなに絶望を味わおうとも地球で生きていくしか生きる道はない、
と他のエイリアンたちが知っていたからでは?
宇宙船を動かすための燃料を手に入れるのが大変だとしても、故郷の惑星に帰りさえすればどうにかなるのなら、エイリアンたちは協力し合ったはず。
けれど20年もの間、諦めずに燃料を集めていたのはクリストファーたちのみ…。
もしこの仮説が正しいのなら…、クリストファーたちは故郷の惑星から地球に戻って来られるのでしょうか?
クリストファーたちは地球から故郷の惑星までの片道の燃料しか宇宙船に積んでいません。
もし故郷の惑星に生き残りが居ないにしても、資源が残っていれば戻りの燃料を手に入れ、ヴィカスを治すための薬か何かを持って地球に戻ることは可能でしょうが…。
もし、資源が一切残っていなかったとしたら?
クリストファーたちは故郷の惑星に留まるしかありません。
もし故郷の惑星が核戦争か何かで汚染されでもしていたら、そこへ帰ることはすなわち死を意味します。
それを分かった上で帰ったのかもしれません。
地球人の気まぐれでいつ殺されるか分からずに怯えながら地球で屈辱的な暮らしをするよりは、故郷の惑星へ帰り、そこで死のう…と。
「帰りたい」という欲求はどんなものより強いものですから。
帰りたい。
懐かしい故郷に。
…もしわたしが考えるこの仮説が完全なる誤りで、故郷の惑星には仲間が沢山いて、資源も豊富にあり、仲間を沢山引き連れて地球に戻れる可能性もあります。
けれどその場合、地球人がただで済むとは思えません。
感染が進み、外見上は完全にエイリアンたちの仲間と化したとはいえ、地球人側として散々エイリアンたちを虐殺して笑っていたヴィカスも報復の例外では無いでしょう。
迫害する側が迫害される側に回るのも、迫害される側が迫害する側に回るのも、あっと言う間のことなのですから。
地球人の歴史もずっとその繰り返しだったのですから。
この映画の続編にあたる『第10地区』の製作の話はまだ立ち消えていないようですので、是非作っていただきたいです。
続編が出来れば、やはり物語の鍵を握るのはヴィカスでしょう。
ヴィカスの心はまだ地球人のようです。
感染し、エイリアンに変身し始めたことで、妻からあんなに拒絶されたにもかかわらず、それでもなおヴィカスは妻を愛し続けていて、妻に花を贈りました。
決して枯れることのない花を。
もはやヴィカスは外見上は完全にエイリアンと化しているから妻を怖がらせてしまうだろうし、妻と接触することをきっかけとして地球人側に捕まって人体実験の材料にされるわけにもいかないので、どんなに会いたくても妻と直接会うことは出来ないし、メッセージを添えることも出来ないけれど、そっと玄関先に花を置かずにはいかれなかった…。
続編がどんな内容になるかは分かりませんが、ヴィカスがエイリアンと地球人の仲裁役になれるのか、それともヴィカスも地球人としてエイリアンの報復の対象となるのか…気になります。
運良くエイリアンと地球人が和解し、エイリアンたちが故郷の惑星に帰っていったとしても、この騒動でエイリアンたちだけでなく多くの地球人をと殺害してしまったヴィカスはやはり元の生活には戻れないでしょう。
殺人を犯したことで地球人の法で裁かれた死刑となるか、或いはエイリアンたちだけでなくヴィカスをも人体実験の材料にしようとした人間の行いを暴露されないよう口封じされるのか…?
気になります。
出来るなら、エイリアンたちは無事に故郷の惑星へ帰り、ヴィカスは元の体に戻って妻のもとへ帰る、そういうラストにして欲しいです。
クリストファーとその坊やは地球に戻って来られるのでしょうか?
地球時間にして20年もの長きに渡り、宇宙船が地球に留まるしかなく、エイリアンたちが大人も子どもも関係なく地球人から虐殺され続けてもなお、故郷の惑星から助けは来なかったというのに。
クリストファーはヴィカスに約束しました、
「故郷の惑星に帰って助けを呼んでくる」
「そうすればお前を治せる」
「3年経ったら必ず地球に戻る」
と。
けれど…。
もし故郷の惑星が無事なら、20年もの間、彼らを救助するための宇宙船が現れなかったのは何故でしょうか?
自分たちが地球に居ることを連絡するための通信手段を失っていたとしても、故郷の惑星から捜索隊くらいは派遣されて来ても良いのでは?
けれど救助も捜索隊も来ないまま、エイリアンたちは20年もの間、地球での難民生活を強いられ続けました。
エイリアンたちは劣悪な住環境の「第9地区」に収容され、時には実験材料として殺され、時には「中絶してやった。卵を焼くとポップコーンが弾けるみたいな音がする」と地球人に笑われながら卵を焼き殺されるという悲惨な目に遭い続けていました。
それでも助けは来ませんでした。
それらのことを考えると、一つの仮説が成り立ちます。
故郷の惑星は既に滅んでいる。
地球に現れたエイリアンたちは故郷の惑星から命からがら地球に逃げて来た避難民。
もはや生き残りは彼らだけ。
だから故郷の惑星からの助けは来ない。
…という仮説が。
そもそも、地球に宇宙船が現れた当初。
地球人が宇宙船の扉をこじ開けた時…、
宇宙船の中に居たのは、栄養失調で、気力を失い、宇宙船を動かすための燃料も失い、弱り切ったエイリアンたちでした。
故郷の惑星に何か大変な事態が起きたとしか考えられません。
あれだけ沢山のエイリアンが地球にいたのに、宇宙船を動かすエイリアンはクリストファーとその坊やしか居なかった(もしかしたら地球人に殺されたクリストファーの友人も動かせたかも知れないけれど)のはそのせいでしょう。
宇宙船を動かす技術を持っているのがクリストファーたちだけだったから、というよりも、
むしろ、
宇宙船を動かして故郷の惑星に戻っても無意味だ、
どんなに絶望を味わおうとも地球で生きていくしか生きる道はない、
と他のエイリアンたちが知っていたからでは?
宇宙船を動かすための燃料を手に入れるのが大変だとしても、故郷の惑星に帰りさえすればどうにかなるのなら、エイリアンたちは協力し合ったはず。
けれど20年もの間、諦めずに燃料を集めていたのはクリストファーたちのみ…。
もしこの仮説が正しいのなら…、クリストファーたちは故郷の惑星から地球に戻って来られるのでしょうか?
クリストファーたちは地球から故郷の惑星までの片道の燃料しか宇宙船に積んでいません。
もし故郷の惑星に生き残りが居ないにしても、資源が残っていれば戻りの燃料を手に入れ、ヴィカスを治すための薬か何かを持って地球に戻ることは可能でしょうが…。
もし、資源が一切残っていなかったとしたら?
クリストファーたちは故郷の惑星に留まるしかありません。
もし故郷の惑星が核戦争か何かで汚染されでもしていたら、そこへ帰ることはすなわち死を意味します。
それを分かった上で帰ったのかもしれません。
地球人の気まぐれでいつ殺されるか分からずに怯えながら地球で屈辱的な暮らしをするよりは、故郷の惑星へ帰り、そこで死のう…と。
「帰りたい」という欲求はどんなものより強いものですから。
帰りたい。
懐かしい故郷に。
…もしわたしが考えるこの仮説が完全なる誤りで、故郷の惑星には仲間が沢山いて、資源も豊富にあり、仲間を沢山引き連れて地球に戻れる可能性もあります。
けれどその場合、地球人がただで済むとは思えません。
感染が進み、外見上は完全にエイリアンたちの仲間と化したとはいえ、地球人側として散々エイリアンたちを虐殺して笑っていたヴィカスも報復の例外では無いでしょう。
迫害する側が迫害される側に回るのも、迫害される側が迫害する側に回るのも、あっと言う間のことなのですから。
地球人の歴史もずっとその繰り返しだったのですから。
この映画の続編にあたる『第10地区』の製作の話はまだ立ち消えていないようですので、是非作っていただきたいです。
続編が出来れば、やはり物語の鍵を握るのはヴィカスでしょう。
ヴィカスの心はまだ地球人のようです。
感染し、エイリアンに変身し始めたことで、妻からあんなに拒絶されたにもかかわらず、それでもなおヴィカスは妻を愛し続けていて、妻に花を贈りました。
決して枯れることのない花を。
もはやヴィカスは外見上は完全にエイリアンと化しているから妻を怖がらせてしまうだろうし、妻と接触することをきっかけとして地球人側に捕まって人体実験の材料にされるわけにもいかないので、どんなに会いたくても妻と直接会うことは出来ないし、メッセージを添えることも出来ないけれど、そっと玄関先に花を置かずにはいかれなかった…。
続編がどんな内容になるかは分かりませんが、ヴィカスがエイリアンと地球人の仲裁役になれるのか、それともヴィカスも地球人としてエイリアンの報復の対象となるのか…気になります。
運良くエイリアンと地球人が和解し、エイリアンたちが故郷の惑星に帰っていったとしても、この騒動でエイリアンたちだけでなく多くの地球人をと殺害してしまったヴィカスはやはり元の生活には戻れないでしょう。
殺人を犯したことで地球人の法で裁かれた死刑となるか、或いはエイリアンたちだけでなくヴィカスをも人体実験の材料にしようとした人間の行いを暴露されないよう口封じされるのか…?
気になります。
出来るなら、エイリアンたちは無事に故郷の惑星へ帰り、ヴィカスは元の体に戻って妻のもとへ帰る、そういうラストにして欲しいです。
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