原案:水谷健吾、原作:蔵石ユウ、作画:イナベカズ『食糧人類-Starving Anonymous-』6巻
※注※
ネタバレ全開です。
未読の方はご注意を。




1巻発売当初からずっと読んできましたが、ついに6巻で、この漫画のタイトルの意味がはっきりしました。

突如地球へと飛来した異星人によって、一部の人類が食糧にされている…わけではなかったのです。

人類そのものが食糧でした。

しかも太古の昔から。

昔々…、地球からはるか遠くの星で、高い文明を築いた異星人がいました。

異星人はあまりにも貪欲な上に生殖力も高かったため、増え過ぎて、食べ過ぎて、自分たちの星の資源を食い尽くしてしまいました。

異星人は母星と似た移住先となる星を探し、まだ人類が存在していない頃の地球に辿り着きました。

そして、異星人が移住してきた後の食糧にするために、人類の祖先を品種改良し、人類を創造。

そして地球上に人類が大勢増えた頃、異星人がはるか遠くの星から移住するために地球へ飛来し、予定通り人類を食べ始めました。

人類が絶滅してしまうと自分たちも食べるものが無くなって絶滅してしまうので、人類の養殖場を作り、人類の更なる品種改良と繁殖を行ってきました。

…それが真実だったのです。

この6巻ではついに異星人たちの暴走が始まりました。

幼稚園の子どもが異星人に無残に食い殺される描写もあり、思わず目を背けたくなります。

しかし、考えてみれば、わたしたちだって他の生き物に対して同じようなことをしていますよね。

異星人が人間を養殖していたように、人間だって他の生き物を養殖しています。

この漫画の中では、無理やり繁殖させられる男女の苦しみも描かれますが、それだって、人間が他の生き物に強いていることと同じです。

牛だって豚だって鶏だって魚だって、また、他の多くの生き物だって、人間に食べられるための、或いは毛皮を奪われたり、実験動物にされるための子どもを産まされ続けています。

幼稚園の子どもが異星人に食べられるシーンは何度見ても残酷だけれど、わたしたちだって、仔牛や仔羊や若鶏などを食べています…。

とは言え、「人類は食糧用に作られたのだから文句言わずに異星人に食べられてね」と言われて「はい分かりました」と受け入れられるわけありませんよね。

地球上の生き物同士が食べたり食べられたり食物連鎖するのは受け入れられますが、地球からはるか遠くからやって来た異星人の面倒を地球で見る義理はそもそも無いのです。

この状況って、たとえるなら、聞いたこともない遠くの街から、親戚でもない全く知らない人たちが我が家に突然上がり込んで来て、家族をぼりぼり食べ始めて、「ホモ・サピエンスが誕生するより前のあなたたちの先祖に良くしてやったんだから、あなたたちをもっと食べさせて。あなたたちの子どもたちも食べさせて」と無茶な要求をしているのと同じですよ。
「はいどうぞ」とは差し出せないですよ。
むしろ、何言ってんだこの野郎、出て行け!!いや、その前に家族の仇を討ってやる!!って話ですよ。

この漫画もいよいよ次が最終巻。

主人公たちには異星人と戦って勝利して欲しいです。

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