『ダンシング・ドラァグ・クイーン』シーズン1
アリッサ大好き!

カッ!と舌を鳴らすのも、変顔みたいに大げさな表情をするのも、『ル・ポールのドラァグレース』出演中に深く考えていなかったことについて突っ込まれてとっさに「アリッサの秘密よ」と話をてきとうに誤魔化したことが何故かファンに大ウケして「アリッサの秘密」という番組を持つようになったのも、好き。

稀有なキャラクター性の持ち主です。

ドラァグクイーンのアリッサ・エドワーズとしての姿の時は目力強めの華やかな美女だし、素顔のジャスティン・ジョンソンとしての姿はすらっと背が高くて目鼻立ちのハッキリしたイケメン。

男としても女としても美しいなんて本当に羨ましいのですが、ジャスティンの場合はもともと容貌に恵まれていたことに加えて、努力に努力を重ねてきたからこそ今があります。

ジャスティンは今でこそ己の努力で裕福となりましたが、元々は貧乏な家庭の生まれ。

家族の中には逮捕歴のある人もおり、決して恵まれた環境で育ったとは言い難いです。

しかも本来は内向的な性格。

けれど、ダンスと出会ったことで人生が変わった、とジャスティンは話します。

これは、ジャスティンが地元テキサス州メスキートで経営しているダンススタジオ「ビヨンド・ビリーフ・ダンスカンパニー」を追ったドキュメンタリー。

スタジオに通う子どもたちの練習の様子やダンス大会での頑張りだけでなく、その保護者たちのぶつかり合い、ダンス講師たちの苦悩、ジャスティン自身の葛藤や家族・友人たちとの交流が描かれています。

ジャスティンはダンスという名の生きていく術を子どもたちに教え込みます。

保護者たちは「せっかく月謝を払ってるのに先生に厳しく当たられる。うちの子を褒めてよ」「先生はうちの子を大会に出る選抜メンバーに入れてくれない」といった不平不満を漏らしますが、ジャスティンは全員に良い顔をするなんてことはしません。

子どもたちが上手に踊れば褒めるし、下手に踊れば厳しく指導します。

技術的には優れていたとしても、ダンスに心がこもっていなかったり、観客との対話が出来ていないと感じたら、すぐ助言します。

親以外の大人が自分に嘘偽りなく向き合ってくれるのは、子どもの心身の成長にとって、とても大切なことです。

脊椎破裂症、双極性障害、家庭の経済的困窮、また家族みんなが個性的なので自分は目立てないという悩みを抱えている子どもも居ますが、子どもたちはダンスを通して努力することを学び、自信を身につけ、自分の弱さや強みに気づいていきます。

保護者たちがジャスティンに文句を言っている間も、子どもたちは保護者に甘えたりせず、これからもダンスの練習を頑張ろうという本気の目をしていて、それがすごく素敵。

選抜メンバーに選ばれなかった子をジャスティンが「あなたのダンス好きよ。この数年間ですごく成長した。今回のことを機にこれから更に頑張りましょう。こういうことはこの先いくらでもある」とフォローしている時、保護者が我が子に向かって「でもあんたは〇〇ちゃんに負けてるわ」と言い放ったことで、ジャスティンが保護者に対して不快感を露わにするシーンや、

保護者がこれから審査へ向かう子どもに「2位は何? 2位はどうなの?」と厳しい表情で問い、子どもに「ダメ」と言わせるのを見聞きして、ジャスティンが表情を固くして「違うわ」と言い、ジャスティンが子どもに「今日は楽しんで。ハグさせて」と子どもを抱き締めるシーンが素敵。

こういう、子どもに言わなくてもいいことをわざわざ言ってしまう保護者と子どもが家で一対一になる時間が長いと、子どもが言葉の暴力で追い詰められてしまいがちなので、ダンスという心の逃げ場がとても大切ですよね。

ダンスを磨いていけば、職業として生きる糧を得ることにも繋がりますし。

ジャスティンは言います、「このダンススタジオを出た子は、この先どんな振付師や演出家の前であろうと堂々と立てる」と。

ジャスティンはゲイなので自分自身の子どもを生み出すことは難しいけれど、こうしてダンスを通して沢山の子どもたちを育てているんですね。

子どもたちはジャスティンとしての姿もアリッサとしての姿も知っていて、それも他者の多様性を学ぶという教育になり、とても素晴らしいと思います。

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