著…森恒二『自殺島』
2019年8月19日 漫画
※注 ネタバレを含みます!
自殺未遂を繰り返した人間が送られる「自殺島」。
この島には、電気・水道・ガスといったライフラインは存在しません。
昔この島に住んでいた人たちが使っていたお店・学校・病院といった建物と、こんな看板が立てられているのみ。
「あなた方は生きる権利と義務を放棄して本島にいます。あなた方のIDは我が国で死亡と言う形で消滅しており我が国におけるすべての権利をあなた方は有しておりません。あなた方は我が国における義務や権利を遵守する必要はありません。あなた方は本島及び周囲1km以内の海域において自由です。あなた方は本島から周囲1km以上の周辺海域に侵入する事は出来ません。それ以上の海域は領海侵犯となり、それを侵犯した場合生命の保証は致しません。
日本国政府」
自殺未遂者たちはこの状況により更に絶望し、一人、また一人と自殺していきます。
しかし、中にはこの状況の中でも「生きよう」とする人たちも現れます。
この漫画には、大きく分けて2つのグループが登場します。
仮にグループA、グループBとします。
グループAには、狩の達人「セイ」や、みんなの兄貴分的な「リョウ」、知識豊富な「スギ」といったリーダー格のメンバーがいます。
男性も女性もそれぞれ役割分担がありますが、女性が性処理の役目を強制されることはありません。
時折男性が女性を襲おうとしても、他の男性が止めに入ります。
仕事として自ら売春をする女性が現れてからは、それ以外の女性に無理やり乱暴しようとする男性は居なくなったようです。
リーダー格に不安があれば他のメンバーが代わってリーダーになる、という仕組みも出来ました。
グループBは「サワダ」の独裁状態。
「サワダ」はまずニワトリやヤギを捕らえて卵や乳を得たことでこのグループBのリーダーとなった後、男性はヤギを追い魚を獲り家を直し畑を耕す、女性は貝を採りバナナを収穫し食事を作り男性を慰める、という徹底した役割分担を定めました。
グループBのメンバーたちは自分で物事を考えなくても、「サワダ」の指示通りに働けばいい、といった風に洗脳されています。
サワダの言う通りにしていれば、モテない男性でも女性を抱けるので、男性にとっては良いグループ。
しかし、このグループに女性の人権はありません。
一見、このグループは、「性処理の役目がある分、女性は重労働を免除されている」ように見せかけられてはいます。
けれど、女性たちを全裸にして外を歩かせて、男性の盾代わりとして利用するなど、ロクなグループではありません。
しかもサワダは、人間の肉を食べます。
どう考えたってまともじゃない。
また、このグループでは、サワダが他のメンバーとリーダーを交代することはありません。
グループAは「合議制の村」ですが、グループBは「サワダの独裁王国」であると言えます。
グループAもグループBも、元々は自殺未遂者たちなのに、どうしてこんなに差がついたのでしょうか。
それはきっと、人間は集団になると必ずリーダーを必要とし、そのリーダーに良くも悪くも影響されてしまうから。
この「自殺島」へ送られたことでお互いに協力し合い、果物を採集し、海で魚を獲り、動物を狩り、獲物を捌き、火を起こし、畑を耕し…、と努力を重ねているのは共通しているのですが、リーダーによって随分生き方に差が出てしまうのは、人の業というものでしょう。
グループAのメンバーたちだって、もしサワダがリーダーになっていたらサワダに洗脳されていたかもしれませんし、グループBのメンバーたちだって、もしセイたちがリーダーになっていたら、グループAの振る舞いを非難して女性たちを救い出そうとしていたかもしれません。
現実世界においても、「誰を自分たちのリーダーにするか」について、よく考えないといけません。
また、もし「自分がリーダーになる」なら、自分はグループAとグループBどちらを目指したいのか、また、全く違うタイプのグループCを目指したいのか、ビジョンをしっかり持っていなければなりません。
でなければ、設計図無しでめちゃくちゃな家を建てたみたいに、グループはいつか必ず崩壊します。
自殺未遂を繰り返した人間が送られる「自殺島」。
この島には、電気・水道・ガスといったライフラインは存在しません。
昔この島に住んでいた人たちが使っていたお店・学校・病院といった建物と、こんな看板が立てられているのみ。
「あなた方は生きる権利と義務を放棄して本島にいます。あなた方のIDは我が国で死亡と言う形で消滅しており我が国におけるすべての権利をあなた方は有しておりません。あなた方は我が国における義務や権利を遵守する必要はありません。あなた方は本島及び周囲1km以内の海域において自由です。あなた方は本島から周囲1km以上の周辺海域に侵入する事は出来ません。それ以上の海域は領海侵犯となり、それを侵犯した場合生命の保証は致しません。
日本国政府」
自殺未遂者たちはこの状況により更に絶望し、一人、また一人と自殺していきます。
しかし、中にはこの状況の中でも「生きよう」とする人たちも現れます。
この漫画には、大きく分けて2つのグループが登場します。
仮にグループA、グループBとします。
グループAには、狩の達人「セイ」や、みんなの兄貴分的な「リョウ」、知識豊富な「スギ」といったリーダー格のメンバーがいます。
男性も女性もそれぞれ役割分担がありますが、女性が性処理の役目を強制されることはありません。
時折男性が女性を襲おうとしても、他の男性が止めに入ります。
仕事として自ら売春をする女性が現れてからは、それ以外の女性に無理やり乱暴しようとする男性は居なくなったようです。
リーダー格に不安があれば他のメンバーが代わってリーダーになる、という仕組みも出来ました。
グループBは「サワダ」の独裁状態。
「サワダ」はまずニワトリやヤギを捕らえて卵や乳を得たことでこのグループBのリーダーとなった後、男性はヤギを追い魚を獲り家を直し畑を耕す、女性は貝を採りバナナを収穫し食事を作り男性を慰める、という徹底した役割分担を定めました。
グループBのメンバーたちは自分で物事を考えなくても、「サワダ」の指示通りに働けばいい、といった風に洗脳されています。
サワダの言う通りにしていれば、モテない男性でも女性を抱けるので、男性にとっては良いグループ。
しかし、このグループに女性の人権はありません。
一見、このグループは、「性処理の役目がある分、女性は重労働を免除されている」ように見せかけられてはいます。
けれど、女性たちを全裸にして外を歩かせて、男性の盾代わりとして利用するなど、ロクなグループではありません。
しかもサワダは、人間の肉を食べます。
どう考えたってまともじゃない。
また、このグループでは、サワダが他のメンバーとリーダーを交代することはありません。
グループAは「合議制の村」ですが、グループBは「サワダの独裁王国」であると言えます。
グループAもグループBも、元々は自殺未遂者たちなのに、どうしてこんなに差がついたのでしょうか。
それはきっと、人間は集団になると必ずリーダーを必要とし、そのリーダーに良くも悪くも影響されてしまうから。
この「自殺島」へ送られたことでお互いに協力し合い、果物を採集し、海で魚を獲り、動物を狩り、獲物を捌き、火を起こし、畑を耕し…、と努力を重ねているのは共通しているのですが、リーダーによって随分生き方に差が出てしまうのは、人の業というものでしょう。
グループAのメンバーたちだって、もしサワダがリーダーになっていたらサワダに洗脳されていたかもしれませんし、グループBのメンバーたちだって、もしセイたちがリーダーになっていたら、グループAの振る舞いを非難して女性たちを救い出そうとしていたかもしれません。
現実世界においても、「誰を自分たちのリーダーにするか」について、よく考えないといけません。
また、もし「自分がリーダーになる」なら、自分はグループAとグループBどちらを目指したいのか、また、全く違うタイプのグループCを目指したいのか、ビジョンをしっかり持っていなければなりません。
でなければ、設計図無しでめちゃくちゃな家を建てたみたいに、グループはいつか必ず崩壊します。
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