どうもこんばんは!
もはや妖怪なのか人間なのか分からないほどダメな「妖怪だめ人間」、G-darkです!
2014年1月12日に「本を100冊読みます!」と宣言してから、時は流れて2015年9月6日。
1年半以上経っているわけですが、はっきり言ってまだ100冊読んでいません!
オレオレ詐欺ならぬ読む読む詐欺です、これは!
…本人としては必死に本を読んで本のレビューを書いて、このブログのテーマの一つ「おすすめの本一覧」の記事数を500(この記事数が400の時に100冊読書をスタートしたから)にしたいと思っているのですが…、
いつだって読む読む詐欺!
まだ記事数は481!
言い訳になってしまいますが、たとえ読み終えたとしても誰かにすすめるのはちょっとな…と思った場合その本のレビューはこのブログに載せないのがわたしのポリシーです。
そのため、より多くの本を読むことが必要となります。
パッと見では良さそうな本でも、実際に読んでみないと、好きか好きでないかは分からないから。
じっくり読みたいので、一日に読む本は多くても2〜3冊までが限界。
最近わたしは図書館を2軒ハシゴして、大量の本を借りています。
名付けるなら「妖怪ホンカシテクレンカー」。
前触れもなくふらりと図書館に現れては、「本貸してくれんか?」と言うか言わないかは謎ですが、一度に15冊など大量の本を借りていく妖怪です。
妖怪ホンカシテクレンカーはたいていすっぴんで現れるのも特徴の一つです、妖怪ホンカシテクレンカーにばったり出会ってしまった人はどうか顔を見ないでください、そこには眉毛どころか睫毛の存在も疑わしいのっぺらぼうがいるはずです。
もはや妖怪なのか人間なのか分からないほどダメな「妖怪だめ人間」、G-darkです!
2014年1月12日に「本を100冊読みます!」と宣言してから、時は流れて2015年9月6日。
1年半以上経っているわけですが、はっきり言ってまだ100冊読んでいません!
オレオレ詐欺ならぬ読む読む詐欺です、これは!
…本人としては必死に本を読んで本のレビューを書いて、このブログのテーマの一つ「おすすめの本一覧」の記事数を500(この記事数が400の時に100冊読書をスタートしたから)にしたいと思っているのですが…、
いつだって読む読む詐欺!
まだ記事数は481!
言い訳になってしまいますが、たとえ読み終えたとしても誰かにすすめるのはちょっとな…と思った場合その本のレビューはこのブログに載せないのがわたしのポリシーです。
そのため、より多くの本を読むことが必要となります。
パッと見では良さそうな本でも、実際に読んでみないと、好きか好きでないかは分からないから。
じっくり読みたいので、一日に読む本は多くても2〜3冊までが限界。
最近わたしは図書館を2軒ハシゴして、大量の本を借りています。
名付けるなら「妖怪ホンカシテクレンカー」。
前触れもなくふらりと図書館に現れては、「本貸してくれんか?」と言うか言わないかは謎ですが、一度に15冊など大量の本を借りていく妖怪です。
妖怪ホンカシテクレンカーはたいていすっぴんで現れるのも特徴の一つです、妖怪ホンカシテクレンカーにばったり出会ってしまった人はどうか顔を見ないでください、そこには眉毛どころか睫毛の存在も疑わしいのっぺらぼうがいるはずです。
假屋崎省吾『華道家 假屋崎省吾 華麗なる花ことば』
2015年9月4日 おすすめの本一覧
假屋崎省吾さんのエッセイ。
わたしは特に「ため息が出るほどの美しさを、私は追い求めます」(P71から抜粋)という一文に共感しました。
お花。
パリ。
ロワール地方。
美輪明宏さん。
ガラスの器。
ヨーロッパテイストの家具。
明治神宮の菖蒲。
猫。
ヴィスコンティの映画。
ルートヴィヒの城。
ピアノ。
円山応挙の画集。
指輪。
假屋崎さんが愛するものたちは、どれも素敵なものばかり。
ため息が出るほど美しいものに囲まれる、そんな暮らしをわたしも送りたいです。
わたしは特に「ため息が出るほどの美しさを、私は追い求めます」(P71から抜粋)という一文に共感しました。
お花。
パリ。
ロワール地方。
美輪明宏さん。
ガラスの器。
ヨーロッパテイストの家具。
明治神宮の菖蒲。
猫。
ヴィスコンティの映画。
ルートヴィヒの城。
ピアノ。
円山応挙の画集。
指輪。
假屋崎さんが愛するものたちは、どれも素敵なものばかり。
ため息が出るほど美しいものに囲まれる、そんな暮らしをわたしも送りたいです。
監修…池坊専永 瀬島弘秀『生花 (これならわかる池坊いけばな)』
2015年9月2日 おすすめの本一覧
池坊のスタイルのうち「生花(しょうか)」について、写真だけでな
く、真(しん)を◯、副(そえ)を△、体(たい)を□として図で解説している本。
写真だけではどのように花材が剣山に挿してあるのか分かりにくいので、こうして◯△□で花材の配置を表してもらえてとても分かりやすいです。
あしらいの配置もこの◯△□のおかげで把握しやすいです。
わたしは池坊を習い始めたばかりで分からないことだらけなので、この本を読みながら勉強していこうと思います。
特に、「副の枝が出ている空間を「陽方(ようかた)」、体の側を「陰方(いんかた)」と呼んでいます」(P13から抜粋)という記述を読んで、生け花にも陰陽の関係があるのか!と驚きました。
小風体や新風体などの華道用語が出てくるため、全くの華道初心者には聞き慣れないでしょうが、単純に写真を見ているだけでも目の保養になる本なのでおすすめです。
く、真(しん)を◯、副(そえ)を△、体(たい)を□として図で解説している本。
写真だけではどのように花材が剣山に挿してあるのか分かりにくいので、こうして◯△□で花材の配置を表してもらえてとても分かりやすいです。
あしらいの配置もこの◯△□のおかげで把握しやすいです。
わたしは池坊を習い始めたばかりで分からないことだらけなので、この本を読みながら勉強していこうと思います。
特に、「副の枝が出ている空間を「陽方(ようかた)」、体の側を「陰方(いんかた)」と呼んでいます」(P13から抜粋)という記述を読んで、生け花にも陰陽の関係があるのか!と驚きました。
小風体や新風体などの華道用語が出てくるため、全くの華道初心者には聞き慣れないでしょうが、単純に写真を見ているだけでも目の保養になる本なのでおすすめです。
腕力が弱かったり、本格的な道具を持っていない人でも、「塗る」「貼る」「組み合わせる」だけでお部屋を可愛くデコレーション出来るアイディアを載せている本。
クロスやタイルシールやステッカーを貼るだけでも印象がだいぶ変わるし、壁を好きな色に替えたらそれだけで気持ちがウキウキしそうです。
beforeとafterの写真が載っているので、ちょっと手を加えるだけでこのシンプルだったお部屋がこんなに可愛くなるんだ!とびっくり。
あまりにもお洒落すぎて、家じゃなくて雑貨屋さんやカフェと間違われそうなくらいの作品もたくさんあります。
引き戸や襖についても可愛くするアイディアが載っています。
工夫次第で何でも出来るんですね、すごい!
わたしはいきなり壁をペイントするなどの度胸はないので、まずはこの本を参考に、「貼る」「組み合わせる」ところから始めてみます!
クロスやタイルシールやステッカーを貼るだけでも印象がだいぶ変わるし、壁を好きな色に替えたらそれだけで気持ちがウキウキしそうです。
beforeとafterの写真が載っているので、ちょっと手を加えるだけでこのシンプルだったお部屋がこんなに可愛くなるんだ!とびっくり。
あまりにもお洒落すぎて、家じゃなくて雑貨屋さんやカフェと間違われそうなくらいの作品もたくさんあります。
引き戸や襖についても可愛くするアイディアが載っています。
工夫次第で何でも出来るんですね、すごい!
わたしはいきなり壁をペイントするなどの度胸はないので、まずはこの本を参考に、「貼る」「組み合わせる」ところから始めてみます!
江戸川乱歩『屋根裏の散歩者』
2015年5月11日 おすすめの本一覧
短編『屋根裏の散歩者』『人間豹』『押絵と旅する男』『恐ろしき錯誤』を収録した短編小説集。
『人間豹』にかなりの量のページが割かれており、他の作品は比較的さらりと読めます。
『屋根裏の散歩者』は下宿の屋根裏をこっそり歩いてみんなの様子を覗き見して楽しむだけでなく、気に食わない相手を天井から毒薬を垂らして殺す男の話。
この男は世の中を馬鹿にしているため、愚かにも、探偵・明智小五郎をわざわざ殺人現場へ招き入れてしまいました。
『人間豹』は、文字通り、人間でありながら豹でもある男が美女たちを殺していく話。
この人間豹は手強い奴で、明智小五郎をもってしても、なかなか捕まえることが出来ません。
ついには明智小五郎の愛妻・文代さんまでもが狙われました!
普段は余裕のある名探偵も、これには顔が真っ青になりました。
『押絵と旅する男』は、おそらく、二次元のキャラクターに恋したことがある、或いは現在も恋している人なら共感できる話です。
ある男が押絵に描かれた女性に一目惚れ。
男はその女性が生身の人間でないと分かっていながら恋焦がれた挙句、不思議な遠目がねの力を借りて、なんと自ら押絵の世界に入っていってしまいました。
そのため、その男の弟が押絵を持ち歩いては、旅先の風景を押絵の中の二人に見せてあげている、というストーリー。
…この男を羨ましがる人はきっと少なくないでしょう。
…たとえ、もともと二次元の存在である相手は年を取らずいつまでも美しいままなのに、もともと生身の人間である自分だけが押絵の中で年老いていこうとも。
恋しちゃったものは仕方ないのですから。
『恐ろしき誤算』は、妻を火事で失った男が、ちゃんと避難していたはずの妻がなぜ焼け死んでしまったのか疑問を抱き、妻を死なせた犯人を突き止めようとする話。
この犯人については様々な解釈が出来そうです。
男がこの人物こそ犯人と思って追い詰めた人物がまさに真犯人だった、でも思わぬ反撃をしてきた、とも解釈出来る。
最初から犯人なんて存在しなくて、火事で奥さんの気が動転していただけ、とも解釈出来る。
犯人の存在を匂わせた別の人物こそが真犯人で、男は真犯人に踊らされていただけ、とも解釈出来る。
或いは、早い段階で男がシロと思った人物たちの中に真犯人がいた、とも解釈出来る。
犯人を探そうとする男自身がはじめから狂っていたのだ、とも解釈出来る。
色んな見方が出来る小説です。
江戸川乱歩の小説はどれも味わい深いですね。
『人間豹』にかなりの量のページが割かれており、他の作品は比較的さらりと読めます。
『屋根裏の散歩者』は下宿の屋根裏をこっそり歩いてみんなの様子を覗き見して楽しむだけでなく、気に食わない相手を天井から毒薬を垂らして殺す男の話。
この男は世の中を馬鹿にしているため、愚かにも、探偵・明智小五郎をわざわざ殺人現場へ招き入れてしまいました。
『人間豹』は、文字通り、人間でありながら豹でもある男が美女たちを殺していく話。
この人間豹は手強い奴で、明智小五郎をもってしても、なかなか捕まえることが出来ません。
ついには明智小五郎の愛妻・文代さんまでもが狙われました!
普段は余裕のある名探偵も、これには顔が真っ青になりました。
『押絵と旅する男』は、おそらく、二次元のキャラクターに恋したことがある、或いは現在も恋している人なら共感できる話です。
ある男が押絵に描かれた女性に一目惚れ。
男はその女性が生身の人間でないと分かっていながら恋焦がれた挙句、不思議な遠目がねの力を借りて、なんと自ら押絵の世界に入っていってしまいました。
そのため、その男の弟が押絵を持ち歩いては、旅先の風景を押絵の中の二人に見せてあげている、というストーリー。
…この男を羨ましがる人はきっと少なくないでしょう。
…たとえ、もともと二次元の存在である相手は年を取らずいつまでも美しいままなのに、もともと生身の人間である自分だけが押絵の中で年老いていこうとも。
恋しちゃったものは仕方ないのですから。
『恐ろしき誤算』は、妻を火事で失った男が、ちゃんと避難していたはずの妻がなぜ焼け死んでしまったのか疑問を抱き、妻を死なせた犯人を突き止めようとする話。
この犯人については様々な解釈が出来そうです。
男がこの人物こそ犯人と思って追い詰めた人物がまさに真犯人だった、でも思わぬ反撃をしてきた、とも解釈出来る。
最初から犯人なんて存在しなくて、火事で奥さんの気が動転していただけ、とも解釈出来る。
犯人の存在を匂わせた別の人物こそが真犯人で、男は真犯人に踊らされていただけ、とも解釈出来る。
或いは、早い段階で男がシロと思った人物たちの中に真犯人がいた、とも解釈出来る。
犯人を探そうとする男自身がはじめから狂っていたのだ、とも解釈出来る。
色んな見方が出来る小説です。
江戸川乱歩の小説はどれも味わい深いですね。
ナカタニD.『リバーシブルマン』
2015年5月10日 漫画
1〜2巻まで読みました。
「ウラガエリ」がテーマの漫画。
人間は生まれる時は母親の体を脱ぎ捨て、死ぬ時は自分の体を脱ぎ捨てて本来の魂になっていく、という考え方をもとに、この漫画のウラガエリは、理性とか自らの限界のようなものを全て脱ぎ捨てます。
見た目は普通の人間と大して変わらないのに、苦痛や恐怖や悲しみも感じない怪物になり、血が噴き出すどころかありとあらゆる内臓が飛び出すほど凄惨な犯罪をいくつも重ねていくのです。
この漫画は、ウラガエリそうになったけれど自らの意思の強さによって人間の側に留まった人や、ウラガエリではない普通の人たちが、ウラガエリに対抗していくストーリーです。
グロテスクな殺人描写や、とことん不快ではっきり言ってキモい人間がたくさん出てくる漫画でもあります。ですが、そういう人間はちゃんと痛い目にあってくれる(性犯罪をしていた、或いはこれからしようとしていた男性の性器がちょん切られたりします)ので、読んでいて痛快な気分になることもありました。
登場人物たちが今後どうなっていくのか気になるので、近いうちに続きが読みたいです。
わたしは登場人物の中でキューが一番好き。
あの、ぶっ飛びつつも彼なりの美学に徹しているところが好き。
「ウラガエリ」がテーマの漫画。
人間は生まれる時は母親の体を脱ぎ捨て、死ぬ時は自分の体を脱ぎ捨てて本来の魂になっていく、という考え方をもとに、この漫画のウラガエリは、理性とか自らの限界のようなものを全て脱ぎ捨てます。
見た目は普通の人間と大して変わらないのに、苦痛や恐怖や悲しみも感じない怪物になり、血が噴き出すどころかありとあらゆる内臓が飛び出すほど凄惨な犯罪をいくつも重ねていくのです。
この漫画は、ウラガエリそうになったけれど自らの意思の強さによって人間の側に留まった人や、ウラガエリではない普通の人たちが、ウラガエリに対抗していくストーリーです。
グロテスクな殺人描写や、とことん不快ではっきり言ってキモい人間がたくさん出てくる漫画でもあります。ですが、そういう人間はちゃんと痛い目にあってくれる(性犯罪をしていた、或いはこれからしようとしていた男性の性器がちょん切られたりします)ので、読んでいて痛快な気分になることもありました。
登場人物たちが今後どうなっていくのか気になるので、近いうちに続きが読みたいです。
わたしは登場人物の中でキューが一番好き。
あの、ぶっ飛びつつも彼なりの美学に徹しているところが好き。
やっぱりわたしは妖怪だめ人間!
2015年2月25日 読書に関する呟きエトセトラ コメント (2)わたしが
「まずは…2014年内に、また100冊読みます!
↑と宣言しといていつも予定より遅れる妖怪だめ人間!(妖怪なのか人間なのか分からないほどだめ)」
と書いたのは2014年1月12日のこと。
時は流れて、現在2015年2月25日。
もちろん!
やっぱりわたしは妖怪だめ人間!!
…あれから1年以上経っているのに、100冊のうちまだ45冊しか読めていないんです…。
目標の半分以下。
こ、これは、オレオレ詐欺ならぬ、読む読む詐欺!?
もちろん、たくさん読めば良い、というものではないけれど、自分の知識欲の無さにびっくりです。
かといって、数をこなすために適当なレビューを書いて済ます、なんてことはしたくありません。
ちゃんと読んで、ちゃんとレビューを書いて、且つスピードアップしていきます!
「まずは…2014年内に、また100冊読みます!
↑と宣言しといていつも予定より遅れる妖怪だめ人間!(妖怪なのか人間なのか分からないほどだめ)」
と書いたのは2014年1月12日のこと。
時は流れて、現在2015年2月25日。
もちろん!
やっぱりわたしは妖怪だめ人間!!
…あれから1年以上経っているのに、100冊のうちまだ45冊しか読めていないんです…。
目標の半分以下。
こ、これは、オレオレ詐欺ならぬ、読む読む詐欺!?
もちろん、たくさん読めば良い、というものではないけれど、自分の知識欲の無さにびっくりです。
かといって、数をこなすために適当なレビューを書いて済ます、なんてことはしたくありません。
ちゃんと読んで、ちゃんとレビューを書いて、且つスピードアップしていきます!
玄光社『持ち歩きたくなる♬ かわいい! 自分で作るブックカバー』
2015年2月20日 おすすめの本一覧 コメント (2)
ブックカバーだけでなく、ブックバンド、しおりの作り方も載っている本です。
型紙は付いていませんが、作り方の手順がシンプルなので分かりやすいです。
そして何と言ってもデザインが豊富!
女性や子ども向けと思しき物は、どれもこれもラブリー!
こういう可愛らしいブックカバーに例えばお稽古事のテキストを入れたら、やる気が出そう。
男性が持ち歩いていてもおかしくない物(「革のブックカバー」「アウトドアなブックカバー」など)も紹介されています。
読書家の彼氏や旦那さんをお持ちの方はブックカバーを作ってプレゼントしてあげると喜ばれるかもしれません。
わたしが特に気に入ったのは「手紙風ブックカバー」。
これに本を入れて、「これ読んでみて」とブックカバーごと本をプレゼントするのも素敵そうです。
ただ、わたしはこの本をとても気に入ったのですが、惜しく思うところがあります。
この本において、主役はあくまでブックカバー。
そのため、ブックカバーのデザインを見やすくするために、本を開いた状態で伏せてある写真が幾つかあり、本好きのわたしとしては思わず悲鳴をあげそうになりました。
本を乱暴に扱うと、ページに開きグセがついたり、ページが抜けてしまうこともあるのに。
…わたしの心が狭いのでしょうが、ブックカバーは本を保護するためにあるはず。(勿論ファッションとしての意味もありますが)
それなのにブックカバーの良さを伝えるために本を傷める、というのは如何なものだろう?…とわたしは惜しく思いました。
この本にはしおりの作り方も載っているのだからしおりを挟んだり、もしくは誰かがブックカバーを付けた本を読んでいる写真を撮る、という方法ではだめだったのかなあ…?
型紙は付いていませんが、作り方の手順がシンプルなので分かりやすいです。
そして何と言ってもデザインが豊富!
女性や子ども向けと思しき物は、どれもこれもラブリー!
こういう可愛らしいブックカバーに例えばお稽古事のテキストを入れたら、やる気が出そう。
男性が持ち歩いていてもおかしくない物(「革のブックカバー」「アウトドアなブックカバー」など)も紹介されています。
読書家の彼氏や旦那さんをお持ちの方はブックカバーを作ってプレゼントしてあげると喜ばれるかもしれません。
わたしが特に気に入ったのは「手紙風ブックカバー」。
これに本を入れて、「これ読んでみて」とブックカバーごと本をプレゼントするのも素敵そうです。
ただ、わたしはこの本をとても気に入ったのですが、惜しく思うところがあります。
この本において、主役はあくまでブックカバー。
そのため、ブックカバーのデザインを見やすくするために、本を開いた状態で伏せてある写真が幾つかあり、本好きのわたしとしては思わず悲鳴をあげそうになりました。
本を乱暴に扱うと、ページに開きグセがついたり、ページが抜けてしまうこともあるのに。
…わたしの心が狭いのでしょうが、ブックカバーは本を保護するためにあるはず。(勿論ファッションとしての意味もありますが)
それなのにブックカバーの良さを伝えるために本を傷める、というのは如何なものだろう?…とわたしは惜しく思いました。
この本にはしおりの作り方も載っているのだからしおりを挟んだり、もしくは誰かがブックカバーを付けた本を読んでいる写真を撮る、という方法ではだめだったのかなあ…?
伝統工芸のうち、陶芸・染織(せんしょく)・漆芸(しつげい)・金工(きんこう)・木竹工(もくちくこう)・人形・諸工芸の七分野について分かりやすく教えてくれる本です。
それぞれの伝統工芸がどのような材料を使ってどのように職人の手で作られているのか、どんな特徴があるのか、などについて写真がたくさん載っているので、眺めているだけで勉強になるし目の保養になります。
文章が易しいだけでなく、ほとんどの漢字に読み仮名を振ってくれているので、普段読書の習慣がない方や小中学生にも読みやすい本だと思います。
字が大きめなので、老眼ぎみの方にもおすすめ。
それぞれの伝統工芸がどのような材料を使ってどのように職人の手で作られているのか、どんな特徴があるのか、などについて写真がたくさん載っているので、眺めているだけで勉強になるし目の保養になります。
文章が易しいだけでなく、ほとんどの漢字に読み仮名を振ってくれているので、普段読書の習慣がない方や小中学生にも読みやすい本だと思います。
字が大きめなので、老眼ぎみの方にもおすすめ。
この曲が発表されてからもう10年も経ったんですね…。
発表当時から今日に至るまで繰り返し聴いていますが、いつまでも色褪せないどころか、歳を重ねれば重ねるほど、心についた傷が増えれば増えるほど、この曲が心に沁みこんでくるような気がします。
喉だけで歌うのではなく、全身全霊で歌い上げている曲だからでしょうか。
昭和歌謡風の曲調にメタルの重厚な音を乗せた演奏のせいでしょうか。
それともこの歌詞のせいでしょうか。
「互いを傷付ける為だけに 僕等出逢ってしまった」だなんて…。
次は列車の中でこの曲を聴きたいです。
願わくば、まるで銀河鉄道の夜を思わせるような星が輝く夜の、最終列車で。
発表当時から今日に至るまで繰り返し聴いていますが、いつまでも色褪せないどころか、歳を重ねれば重ねるほど、心についた傷が増えれば増えるほど、この曲が心に沁みこんでくるような気がします。
喉だけで歌うのではなく、全身全霊で歌い上げている曲だからでしょうか。
昭和歌謡風の曲調にメタルの重厚な音を乗せた演奏のせいでしょうか。
それともこの歌詞のせいでしょうか。
「互いを傷付ける為だけに 僕等出逢ってしまった」だなんて…。
次は列車の中でこの曲を聴きたいです。
願わくば、まるで銀河鉄道の夜を思わせるような星が輝く夜の、最終列車で。
岡野雄一『ペコロスの母に会いに行く』
2015年1月29日 漫画
コミックエッセイ。
他人様のお母さんを「可愛い」なんて言っては失礼かもしれないですが、作者・岡野さんのお母さん・みつえさんがほんわか可愛いので、ページを捲っているだけで何だか心が和みます。
認知症になった母の介護が大変だ!と嘆くタイプのコミックエッセイではなく、むしろ、あとがきで岡野さんが「忘れることは、悪いことばかりじゃない」とおっしゃっている通り、認知症になった母もまた母なのだと受け入れようとしている好印象を受けました。
『ペコロスの母に会いに行く』というタイトルも、うまいタイトルを付けたなーと感心させられました。
「母に会いに行く」とは、単に施設に入居している母の面会に行くというだけではなくて、認知症の影響によって会う度に違う歳の女性になっている母と向き合うことで、まるで時代を超えて色んな「母」に会いに行っているような気がします。
今では年老いて認知症となった母、老いてはいてもまだ認知症が進行していなかった頃の母、夫や子どもたちと暮らしていた頃の母、まだ赤ちゃんだった我が子を亡くした頃の母、まだ嫁入り前の娘だった頃の母、兄弟たちの子守や親の手伝いでなかなか学校にも行けない少女だった頃の母…。
どれもこれも「母」の歴史ですものね。
歴史に名を残すような何か偉大なことを成し遂げた女性というわけでなくても、普通の一人のおばあちゃんにも何十年という人生の歴史がある、ということを教えてくれる一冊です。
エピソードの中では特にP62〜P63に掲載されている「命がすれ違う」というエピソードが素敵です。
命のバトンタッチは決して悲しいものではなく、むしろ希望に満ちたものなのですね。
他人様のお母さんを「可愛い」なんて言っては失礼かもしれないですが、作者・岡野さんのお母さん・みつえさんがほんわか可愛いので、ページを捲っているだけで何だか心が和みます。
認知症になった母の介護が大変だ!と嘆くタイプのコミックエッセイではなく、むしろ、あとがきで岡野さんが「忘れることは、悪いことばかりじゃない」とおっしゃっている通り、認知症になった母もまた母なのだと受け入れようとしている好印象を受けました。
『ペコロスの母に会いに行く』というタイトルも、うまいタイトルを付けたなーと感心させられました。
「母に会いに行く」とは、単に施設に入居している母の面会に行くというだけではなくて、認知症の影響によって会う度に違う歳の女性になっている母と向き合うことで、まるで時代を超えて色んな「母」に会いに行っているような気がします。
今では年老いて認知症となった母、老いてはいてもまだ認知症が進行していなかった頃の母、夫や子どもたちと暮らしていた頃の母、まだ赤ちゃんだった我が子を亡くした頃の母、まだ嫁入り前の娘だった頃の母、兄弟たちの子守や親の手伝いでなかなか学校にも行けない少女だった頃の母…。
どれもこれも「母」の歴史ですものね。
歴史に名を残すような何か偉大なことを成し遂げた女性というわけでなくても、普通の一人のおばあちゃんにも何十年という人生の歴史がある、ということを教えてくれる一冊です。
エピソードの中では特にP62〜P63に掲載されている「命がすれ違う」というエピソードが素敵です。
命のバトンタッチは決して悲しいものではなく、むしろ希望に満ちたものなのですね。
著…池田萬助•池田章子『日本の御人形』
2015年1月20日 おすすめの本一覧
愛玩されるものとしての役割。
形代(かたしろ)、人形(ひとがた)として何らかの祈りを受けるものとしての役割。
人形というのは、そんな数々の役割を持って、長い長い年月を生き続けているのだな…と教えてくれる一冊です。
この本に載っている人形たちは、「生きている」という表現が相応しいような気がします。
きっと魂が宿っています。
もしかしたら、夜になると歩いたり喋っているかもしれません。
この本の中にはからくり人形も数体紹介されていますが、人の見ていない所でも自由に動いていそう…。
何百年もの昔から、それぞれの時代の人間たちに見つめられ、想いを込められてきた人形たち。
作り手や元々の持ち主の身体がとうの昔に滅んでいたとしても、人形の身体は直せるのですから、完全に朽ち果てるまではいつまでもいつまでも生き続けるのでしょう。
そしてこれから先の何百年もまた、人間たちを見つめ返し続け、想いを宿らせていくのでしょうね。
怖い、というよりも、超越した存在として、人形ってすごいなと感じます。
形代(かたしろ)、人形(ひとがた)として何らかの祈りを受けるものとしての役割。
人形というのは、そんな数々の役割を持って、長い長い年月を生き続けているのだな…と教えてくれる一冊です。
この本に載っている人形たちは、「生きている」という表現が相応しいような気がします。
きっと魂が宿っています。
もしかしたら、夜になると歩いたり喋っているかもしれません。
この本の中にはからくり人形も数体紹介されていますが、人の見ていない所でも自由に動いていそう…。
何百年もの昔から、それぞれの時代の人間たちに見つめられ、想いを込められてきた人形たち。
作り手や元々の持ち主の身体がとうの昔に滅んでいたとしても、人形の身体は直せるのですから、完全に朽ち果てるまではいつまでもいつまでも生き続けるのでしょう。
そしてこれから先の何百年もまた、人間たちを見つめ返し続け、想いを宿らせていくのでしょうね。
怖い、というよりも、超越した存在として、人形ってすごいなと感じます。
阪神・淡路大震災から20年。
わたし自身は九州に産まれ育ったので被災していませんが、被災を経験した友人がいます。
普段は友人と震災についての話はしませんが、今日はゆっくり話をしました。
黙祷。
わたし自身は九州に産まれ育ったので被災していませんが、被災を経験した友人がいます。
普段は友人と震災についての話はしませんが、今日はゆっくり話をしました。
黙祷。
小林信也『恋するカツラ』
2015年1月3日 おすすめの本一覧 コメント (2)
カツラをつけている人通称カツラーたちの恋愛・セックス・結婚・不倫事情についての本。
カツラーであることをパートナーに隠そうとするあまり、恋愛やセックスを心の底からは楽しめず、結婚後もカツラがバレないかどうか気になってリラックス出来ない…、そんなエピソードが載っています。
本人に落ち度があって髪が薄くなったわけではないだろうに、何とも気の毒です。
身体なんて、髪の毛だけでなく眉毛、睫毛、鼻毛などなど身体のあちこちに毛が生えていて、例えばもともとすね毛が薄い人や、もともと睫毛が短い上に細い人などなど、それぞれの個性があらわれるものなのに、禿げたのがたまたま髪の毛だったからといって不当な扱いを受けるとは理不尽極まりないですね。
禿げていることより、むしろ、例えば浮気癖があるとか、暴力をふるうとか、ヒモとかのほうがよっぽど問題なのに!
…話が脱線しました、すみません。
さて、この本の中には、「夫がカツラをつけているのをわたしは知っているのだけれど、夫が何も言わないのでわたしからはカツラの話題を出しづらい」といったパートナー側の悩みも載っています。
わたし自身は女性ですが、女性も薄毛に悩んでいる人は沢山いますからわたしが将来カツラをつける可能性は0ではないですし、また、わたしは独身ですが今後彼氏や夫がカツラをつける可能性は0ではないので、カツラーとそのパートナー両方の気持ちを想像しながらこの本を読みました。
そして、もしそれが自分であっても他の人であっても、カツラをつけていない状態もカツラをつけている状態も両方ともその人らしさなのだと受け入れよう…とわたしは決めました。
と、以上の通り、この本は新年早々わたしにこういう変わった決意をさせてくれました。
最初わたしは面白がってこの本を読み始めたのですが、ページを捲る度に自分が真剣な表情になっていくのが分かりました。
でも、カツラーの不倫事情に関するページを読んでいる時だけは、わたしはムッとした表情に変わりました。
不倫、ダメ、絶対!
カツラーであることをパートナーに隠そうとするあまり、恋愛やセックスを心の底からは楽しめず、結婚後もカツラがバレないかどうか気になってリラックス出来ない…、そんなエピソードが載っています。
本人に落ち度があって髪が薄くなったわけではないだろうに、何とも気の毒です。
身体なんて、髪の毛だけでなく眉毛、睫毛、鼻毛などなど身体のあちこちに毛が生えていて、例えばもともとすね毛が薄い人や、もともと睫毛が短い上に細い人などなど、それぞれの個性があらわれるものなのに、禿げたのがたまたま髪の毛だったからといって不当な扱いを受けるとは理不尽極まりないですね。
禿げていることより、むしろ、例えば浮気癖があるとか、暴力をふるうとか、ヒモとかのほうがよっぽど問題なのに!
…話が脱線しました、すみません。
さて、この本の中には、「夫がカツラをつけているのをわたしは知っているのだけれど、夫が何も言わないのでわたしからはカツラの話題を出しづらい」といったパートナー側の悩みも載っています。
わたし自身は女性ですが、女性も薄毛に悩んでいる人は沢山いますからわたしが将来カツラをつける可能性は0ではないですし、また、わたしは独身ですが今後彼氏や夫がカツラをつける可能性は0ではないので、カツラーとそのパートナー両方の気持ちを想像しながらこの本を読みました。
そして、もしそれが自分であっても他の人であっても、カツラをつけていない状態もカツラをつけている状態も両方ともその人らしさなのだと受け入れよう…とわたしは決めました。
と、以上の通り、この本は新年早々わたしにこういう変わった決意をさせてくれました。
最初わたしは面白がってこの本を読み始めたのですが、ページを捲る度に自分が真剣な表情になっていくのが分かりました。
でも、カツラーの不倫事情に関するページを読んでいる時だけは、わたしはムッとした表情に変わりました。
不倫、ダメ、絶対!
藤沢周平『花のあと』
2014年10月25日 おすすめの本一覧
短編小説『鬼ごっこ』、『雪間草』、『寒い灯』、『疑惑』、『旅の誘い』、『冬の日』、『悪癖』、『花のあと』を収録した文庫本。
『鬼ごっこ』は、まだ19歳のおやえという女が殺されたため、吉兵衛という男がその犯人を突き止めて仇討ちをする話。
『雪間草』は、かつて婚約者だった男が藩への反逆罪により腹を切らされそうになったため、その助命を願い出る尼僧松仙の話。
『寒い灯』は、姑からいびられて嫁ぎ先から飛び出したおせんという女が、去り状(今で言う離婚届)を貰って新たな人生を歩むべく、風邪をひいて弱っている姑を訪ねる話。
『疑惑』は、鉄之助という男が親殺しの罪で捕まった。
確かに鉄之助は悪党だが、殺しに関しては濡れ衣を着せられたのではないか?と睨んだ同心笠戸孫十郎が真犯人を捕まえる話。
『旅の誘い』では歌川広重が主人公。
「英泉先生の代わりに木曽街道を描いてください」と頼んでくる版元保永堂と、「保永堂は狡猾で儲けることしか考えていない、失敗すれば代わりはごまんといる」と忠告する浮世絵師仲間の池田英泉(渓斎英泉)との板挟みになるも、歌川広重が東海道五十三次から木曽街道六十九次を描くに至るまでの話。
なお、この作品の中では葛飾北斎があまり良い評され方をしていないので、北斎好きには読むことをあまりおすすめ出来ないです。
『冬の日』は、幼なじみのおいしと偶然再会した清次郎が、これまでお互いに別々の人生を歩んで苦労してきたけれどこれからは一緒になろう、とする話。
『悪癖』は、酒に酔って機嫌が良くなるとどういうわけか他人の顔を舐める癖がある平助が、仕事でせっかく手柄を立てたのに、あろうことかまた酒に酔って上司の顔をぺろりと舐めて手柄を台無しにする話。
『花のあと』は、剣の腕が立つ以登という娘が主人公。
以登は孫四郎という男に恋心を寄せたが、お互いに縁談のある身だったので孫四郎に想いを伝えることも出来なかった。
しかし、孫四郎の妻は孫四郎と結婚する随分前から妻子持ちの男とずるずる不倫を続けていて、その不倫相手の男の企みによって孫四郎は死んでしまった。
以登は自らの手でその仇討ちをする。
という話。
わたしは特に『寒い灯』が気に入りました。
姑がしおらしくなっているのは風邪を引いている今だけで、風邪が治ればきっとまた威張り散らす姑に戻るだろうと分かっていても、それでもおせんは嫁ぎ先へ帰っていきます。
ここしか帰る場所がないと諦めた、というよりも、自分を必要としてくれる場所だから帰るのだ、という強さを感じました。
『鬼ごっこ』は、まだ19歳のおやえという女が殺されたため、吉兵衛という男がその犯人を突き止めて仇討ちをする話。
『雪間草』は、かつて婚約者だった男が藩への反逆罪により腹を切らされそうになったため、その助命を願い出る尼僧松仙の話。
『寒い灯』は、姑からいびられて嫁ぎ先から飛び出したおせんという女が、去り状(今で言う離婚届)を貰って新たな人生を歩むべく、風邪をひいて弱っている姑を訪ねる話。
『疑惑』は、鉄之助という男が親殺しの罪で捕まった。
確かに鉄之助は悪党だが、殺しに関しては濡れ衣を着せられたのではないか?と睨んだ同心笠戸孫十郎が真犯人を捕まえる話。
『旅の誘い』では歌川広重が主人公。
「英泉先生の代わりに木曽街道を描いてください」と頼んでくる版元保永堂と、「保永堂は狡猾で儲けることしか考えていない、失敗すれば代わりはごまんといる」と忠告する浮世絵師仲間の池田英泉(渓斎英泉)との板挟みになるも、歌川広重が東海道五十三次から木曽街道六十九次を描くに至るまでの話。
なお、この作品の中では葛飾北斎があまり良い評され方をしていないので、北斎好きには読むことをあまりおすすめ出来ないです。
『冬の日』は、幼なじみのおいしと偶然再会した清次郎が、これまでお互いに別々の人生を歩んで苦労してきたけれどこれからは一緒になろう、とする話。
『悪癖』は、酒に酔って機嫌が良くなるとどういうわけか他人の顔を舐める癖がある平助が、仕事でせっかく手柄を立てたのに、あろうことかまた酒に酔って上司の顔をぺろりと舐めて手柄を台無しにする話。
『花のあと』は、剣の腕が立つ以登という娘が主人公。
以登は孫四郎という男に恋心を寄せたが、お互いに縁談のある身だったので孫四郎に想いを伝えることも出来なかった。
しかし、孫四郎の妻は孫四郎と結婚する随分前から妻子持ちの男とずるずる不倫を続けていて、その不倫相手の男の企みによって孫四郎は死んでしまった。
以登は自らの手でその仇討ちをする。
という話。
わたしは特に『寒い灯』が気に入りました。
姑がしおらしくなっているのは風邪を引いている今だけで、風邪が治ればきっとまた威張り散らす姑に戻るだろうと分かっていても、それでもおせんは嫁ぎ先へ帰っていきます。
ここしか帰る場所がないと諦めた、というよりも、自分を必要としてくれる場所だから帰るのだ、という強さを感じました。
周防柳『逢坂の六人』
2014年10月21日 おすすめの本一覧
古今和歌集の勅撰にあたった紀貫之を主人公とした長編小説。
同じく勅撰にあたった紀友則、壬生忠岑、凡河内躬恒らの様子も描かれています。
まだまだ漢詩が幅を利かせていた時代に、日本の心を詠み上げる素晴らしさを日本初の勅撰和歌集という形であらわした彼らには、本当に頭が下がります。
気の遠くなるような数の和歌の中からこれはというものを選び出し、テーマごとに分類し、更にそれらを日本の四季の移ろいが感じられるように並べて…、という工夫を凝らした大仕事は相当大変だったことでしょう。
もしタイムマシンがあったなら、彼らにそっと差し入れをしたい気分です。
彼らの様子を読んでいると、古今和歌集だけでなく日本に伝わる他の歌集についても、かつて誰かが苦労して編纂してくれたからこそ、今の時代を生きるわたしたちが時を超えて歌を楽しめるのだよなぁ…とつくづく思いました。
また、この小説は、僧正遍照、在原業平、文屋康秀、喜撰法師(この小説においては紀貫之自身であるという設定)、小野小町、大友黒主、これら「六歌仙」と呼ばれる歌人たちも登場します。
登場するだけでなく、例えば在原業平は藤原高子との恋物語を、小野小町は白夜通いをされた思い出を、それぞれ語ってくれるのですから、なんとも豪華な構成の小説だなという印象です。
特に、在原業平が藤原高子との恋について語った後、「いや、もうよいわ」「そんなのは、神代の話だもの」(p119から抜粋)と締めくくるのが素敵。
在原業平の有名な和歌「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」に掛けているのでしょうね。
そうした優れた歌人たちとの交流を経て大人になった紀貫之が、和歌集の選者となる…。
と、この小説のこういう流れは良いのですが、在原業平と藤原高子の出会いをめぐる真実(あくまでこの小説での、ですが。真実は、今の時代を生きる者にはただ想像する他ないので)があまりにどろどろしているのでびっくり…。
あり得ないことではないだろうけれど、もしこれが真実だったら嫌だな…。
更に、幼い紀貫之が受けた災難にびっくり!
否、もうこれは災難というか虐待では!?と、わたしは読んでいて悲鳴をあげそうになりました。
そしたら在原業平が救世主の如く華麗に登場!
業平さま素敵!
そんなこんなで生臭い部分もあるこの小説ですが、幼い紀貫之を慈しむ在原業平の様子と、大人になった紀貫之が愛娘を慈しむ様子がとても綺麗。
暗い部分と綺麗な部分との対比が、まるで平安の世の陰と陽をもあらわしているかのよう。
同じく勅撰にあたった紀友則、壬生忠岑、凡河内躬恒らの様子も描かれています。
まだまだ漢詩が幅を利かせていた時代に、日本の心を詠み上げる素晴らしさを日本初の勅撰和歌集という形であらわした彼らには、本当に頭が下がります。
気の遠くなるような数の和歌の中からこれはというものを選び出し、テーマごとに分類し、更にそれらを日本の四季の移ろいが感じられるように並べて…、という工夫を凝らした大仕事は相当大変だったことでしょう。
もしタイムマシンがあったなら、彼らにそっと差し入れをしたい気分です。
彼らの様子を読んでいると、古今和歌集だけでなく日本に伝わる他の歌集についても、かつて誰かが苦労して編纂してくれたからこそ、今の時代を生きるわたしたちが時を超えて歌を楽しめるのだよなぁ…とつくづく思いました。
また、この小説は、僧正遍照、在原業平、文屋康秀、喜撰法師(この小説においては紀貫之自身であるという設定)、小野小町、大友黒主、これら「六歌仙」と呼ばれる歌人たちも登場します。
登場するだけでなく、例えば在原業平は藤原高子との恋物語を、小野小町は白夜通いをされた思い出を、それぞれ語ってくれるのですから、なんとも豪華な構成の小説だなという印象です。
特に、在原業平が藤原高子との恋について語った後、「いや、もうよいわ」「そんなのは、神代の話だもの」(p119から抜粋)と締めくくるのが素敵。
在原業平の有名な和歌「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」に掛けているのでしょうね。
そうした優れた歌人たちとの交流を経て大人になった紀貫之が、和歌集の選者となる…。
と、この小説のこういう流れは良いのですが、在原業平と藤原高子の出会いをめぐる真実(あくまでこの小説での、ですが。真実は、今の時代を生きる者にはただ想像する他ないので)があまりにどろどろしているのでびっくり…。
あり得ないことではないだろうけれど、もしこれが真実だったら嫌だな…。
更に、幼い紀貫之が受けた災難にびっくり!
否、もうこれは災難というか虐待では!?と、わたしは読んでいて悲鳴をあげそうになりました。
そしたら在原業平が救世主の如く華麗に登場!
業平さま素敵!
そんなこんなで生臭い部分もあるこの小説ですが、幼い紀貫之を慈しむ在原業平の様子と、大人になった紀貫之が愛娘を慈しむ様子がとても綺麗。
暗い部分と綺麗な部分との対比が、まるで平安の世の陰と陽をもあらわしているかのよう。
上野正彦『監察医が見た死体の涙』
2014年10月18日 おすすめの本一覧
元監察医の方が書いた本。
わたしは以前この方の別の本(『死体は悲しい愛を語る』)を読んだことがありますが、この本のほうが、親が子を思う情念についてよく書かれていると感じました。
明らかにもう死んでいる我が子を抱きしめる。
まだあたたかいのだから死んでいない、早く治療して、と医師にすがりつく。
親が怪我をして、子がそのお見舞いに来ているのに、そんな状況でもやっぱり親は子を心配する。
そういう話がこの本のメインテーマになっているようです。
そういういわゆる美談だけでなく、親に虐待されて餓死した子どもの遺体にはたいてい打撲のあとなどがあるという話や、家族と同居していた高齢者が家族の中で阻害されて自殺するという話や、以前検死で担当した方の今度は遺族自身の検死をした時の話なども(もっともこの件についてはその遺族自身が故人を殺した犯人でもあったそうなのですが)、この本には含まれているので、読んでいて人間社会の現実というか、業の深さを思い知らされました。
監察医という仕事は患者の病気を治すわけではないけれども、亡くなった方の声なき声を聞いて死因を探り、もし他殺だったとしたらそこに必ず犯人がいるのだから、この仕事は社会秩序の維持に役立っているのだ…という内容もこの本の中で書かれています。
本当に重要なお仕事ですね。
なお、わたしが一番ハッとしたのは、この本のP67に書かれている内容。
「最期は穏やかな死に顔で、と願うであろう。誰しも苦痛に満ちた顔であってはならないと思うだろう。しかし、われわれが想像するような表情は死体にはない。死後、神経が麻痺してしまうからみな穏やかな顔になるのである。この世に神様がいるとしたら、神様はなんと粋なはからいをしたのだろうと思う」(P67から抜粋)
この文を読んで…、今までわたし自身が見送ってきた方たちの死に顔がみんな穏やかだったことを思い出しました。
なるほど、神経の麻痺。
死ぬ時は苦しいし痛いし怖かったはずなのに、みんな穏やかな死に顔だったのは、そういうことだったんですね…。
でも、それを見て遺族が少しでも救われるような思いがするのなら、神経の麻痺も悪くないですね…。
わたしは以前この方の別の本(『死体は悲しい愛を語る』)を読んだことがありますが、この本のほうが、親が子を思う情念についてよく書かれていると感じました。
明らかにもう死んでいる我が子を抱きしめる。
まだあたたかいのだから死んでいない、早く治療して、と医師にすがりつく。
親が怪我をして、子がそのお見舞いに来ているのに、そんな状況でもやっぱり親は子を心配する。
そういう話がこの本のメインテーマになっているようです。
そういういわゆる美談だけでなく、親に虐待されて餓死した子どもの遺体にはたいてい打撲のあとなどがあるという話や、家族と同居していた高齢者が家族の中で阻害されて自殺するという話や、以前検死で担当した方の今度は遺族自身の検死をした時の話なども(もっともこの件についてはその遺族自身が故人を殺した犯人でもあったそうなのですが)、この本には含まれているので、読んでいて人間社会の現実というか、業の深さを思い知らされました。
監察医という仕事は患者の病気を治すわけではないけれども、亡くなった方の声なき声を聞いて死因を探り、もし他殺だったとしたらそこに必ず犯人がいるのだから、この仕事は社会秩序の維持に役立っているのだ…という内容もこの本の中で書かれています。
本当に重要なお仕事ですね。
なお、わたしが一番ハッとしたのは、この本のP67に書かれている内容。
「最期は穏やかな死に顔で、と願うであろう。誰しも苦痛に満ちた顔であってはならないと思うだろう。しかし、われわれが想像するような表情は死体にはない。死後、神経が麻痺してしまうからみな穏やかな顔になるのである。この世に神様がいるとしたら、神様はなんと粋なはからいをしたのだろうと思う」(P67から抜粋)
この文を読んで…、今までわたし自身が見送ってきた方たちの死に顔がみんな穏やかだったことを思い出しました。
なるほど、神経の麻痺。
死ぬ時は苦しいし痛いし怖かったはずなのに、みんな穏やかな死に顔だったのは、そういうことだったんですね…。
でも、それを見て遺族が少しでも救われるような思いがするのなら、神経の麻痺も悪くないですね…。
江戸川乱歩『双生児』
2014年10月15日 おすすめの本一覧
短編小説『双生児(ある死刑囚が教誨師にうちあけた話)』、『一人二役』、『ぺてん師と空気男』、『百面相役者』、『一寸法師』を収録した文庫本。
どの作品も、自分以外の誰かを演じる人物が登場します。
表題作『双生児』は、双子の兄を殺して兄になりすまそうとした男の話。
『一人二役』は、ふとした好奇心から架空の男に変装して、妻が浮気心を起こさないか確かめようとした男が、なんと架空の男として本当に妻との間に恋心を芽生えさせてしまったため、本来の自分を捨ててその架空の男として生きていこうとする話。
『ぺてん師と空気男』は、仕事が続かず母親からの仕送りに頼って生活していた男(空気男)が主人公。
空気男は、ある日、不思議な魅力を持つ男(ぺてん師)と出会います。
ぺてん師は、いわゆるドッキリに近い悪戯を見事に成功させてゆきます。
なぜドッキリに「近い」のかというと、ぺてん師は、悪戯を仕掛けられた人たちに「ドッキリ大成功!」のようにネタばらしをしないので、みんな自分が悪戯を仕掛けられたことにさえ気づかないからです。そういうみんなの様子も含めて、ぺてん師は愉快がるのです。
誰も損をしないけれど得もしない、そんなことを「ジョーク」として幾つも考え出しては必ず成功させるぺてん師に、空気男はすっかり魅了されてしまいます。
空気男とぺてん師は、友人と呼べるほど親しい関係になるのですが、やがてぺてん師は空気男を一世一代のジョークの被害者として選んでしまいます。
『一寸法師』は、主人公は小林紋三という男ですが、江戸川乱歩ファンお馴染みの探偵明智小五郎が登場し、紋三と共に令嬢失踪事件の謎解きに挑みます。
バラバラ殺人事件の話なので、残酷な描写が苦手だという方にはおすすめできませんし、また、差別用語も頻繁に使われているので、読む人を選ぶ作品です。
わたしの心に一番引っかかったのは『ぺてん師と空気男』です。
ぺてん師が空気男と知り合ってそう経たない頃に話した「ぼくもときどき恐ろしくなってくることがある。ジョークに深入りして、今に犯罪の方へ移っていくのじゃないかという恐怖だね」という言葉と、一世一代の悪戯を成功させた後でぺてん師が空気男に語った「本当の罪を犯すことは絶対に避けたかった。それでは折角のジョークが映えなくなってしまうからね」という言葉を読み比べてみて…、…わたしは違和感のようなものを感じました。
もし犯罪を犯すことでよりいっそうジョークが映えたとしたら、このぺてん師は犯罪さえも簡単にやってのけたかもしれない、とわたしには思えました。
この文庫に収録されている中では、『一寸法師』が一番グロテスクな作品なのですが、わたしには『ぺてん師と空気男』のぺてん師のほうが、より得体が知れない、何をしでかすかわからない存在のように感じられ、怖くなりました。
どの作品も、自分以外の誰かを演じる人物が登場します。
表題作『双生児』は、双子の兄を殺して兄になりすまそうとした男の話。
『一人二役』は、ふとした好奇心から架空の男に変装して、妻が浮気心を起こさないか確かめようとした男が、なんと架空の男として本当に妻との間に恋心を芽生えさせてしまったため、本来の自分を捨ててその架空の男として生きていこうとする話。
『ぺてん師と空気男』は、仕事が続かず母親からの仕送りに頼って生活していた男(空気男)が主人公。
空気男は、ある日、不思議な魅力を持つ男(ぺてん師)と出会います。
ぺてん師は、いわゆるドッキリに近い悪戯を見事に成功させてゆきます。
なぜドッキリに「近い」のかというと、ぺてん師は、悪戯を仕掛けられた人たちに「ドッキリ大成功!」のようにネタばらしをしないので、みんな自分が悪戯を仕掛けられたことにさえ気づかないからです。そういうみんなの様子も含めて、ぺてん師は愉快がるのです。
誰も損をしないけれど得もしない、そんなことを「ジョーク」として幾つも考え出しては必ず成功させるぺてん師に、空気男はすっかり魅了されてしまいます。
空気男とぺてん師は、友人と呼べるほど親しい関係になるのですが、やがてぺてん師は空気男を一世一代のジョークの被害者として選んでしまいます。
『一寸法師』は、主人公は小林紋三という男ですが、江戸川乱歩ファンお馴染みの探偵明智小五郎が登場し、紋三と共に令嬢失踪事件の謎解きに挑みます。
バラバラ殺人事件の話なので、残酷な描写が苦手だという方にはおすすめできませんし、また、差別用語も頻繁に使われているので、読む人を選ぶ作品です。
わたしの心に一番引っかかったのは『ぺてん師と空気男』です。
ぺてん師が空気男と知り合ってそう経たない頃に話した「ぼくもときどき恐ろしくなってくることがある。ジョークに深入りして、今に犯罪の方へ移っていくのじゃないかという恐怖だね」という言葉と、一世一代の悪戯を成功させた後でぺてん師が空気男に語った「本当の罪を犯すことは絶対に避けたかった。それでは折角のジョークが映えなくなってしまうからね」という言葉を読み比べてみて…、…わたしは違和感のようなものを感じました。
もし犯罪を犯すことでよりいっそうジョークが映えたとしたら、このぺてん師は犯罪さえも簡単にやってのけたかもしれない、とわたしには思えました。
この文庫に収録されている中では、『一寸法師』が一番グロテスクな作品なのですが、わたしには『ぺてん師と空気男』のぺてん師のほうが、より得体が知れない、何をしでかすかわからない存在のように感じられ、怖くなりました。
群ようこ 『きものが欲しい!』
2014年10月14日 おすすめの本一覧
「着物は~でないといけない」「着付けは~でないといけない」などと縛られずに、普段着として、自分の着たい着物を自分らしく楽しみたい、そんな方にぴったりなエッセイ。
なかでも、群ようこさんと篠田桃紅さんの対談が素敵です。
この対談を読んで、わたしは自分が今までいかに着物というものを窮屈なものと誤解していたのか、ということに気づかされました。
もっと自由でいいんですね。
また、群さんの呉服屋さんたちとのトラブル実体験も書かれているので(なんと、「先作り」と言って、頼んでもいないのに勝手に着物を仕立てられたこともあったそうです! おそろしい!!)、「わたしは群さんほど着物が買えるわけじゃないけれど、同じような目にあわないように気をつけよう…」と勉強になりました。
なかでも、群ようこさんと篠田桃紅さんの対談が素敵です。
この対談を読んで、わたしは自分が今までいかに着物というものを窮屈なものと誤解していたのか、ということに気づかされました。
もっと自由でいいんですね。
また、群さんの呉服屋さんたちとのトラブル実体験も書かれているので(なんと、「先作り」と言って、頼んでもいないのに勝手に着物を仕立てられたこともあったそうです! おそろしい!!)、「わたしは群さんほど着物が買えるわけじゃないけれど、同じような目にあわないように気をつけよう…」と勉強になりました。