スティーヴン・スピルバーグ監督『ターミナル』
※注
ネタバレを含みます!




スーパーで買い物カートを見る度に、わたしはこの映画のことを思い出します。

「どんだけ頻繁に思い出してるんだ!スーパーって日常生活の中でしょっちゅう行くだろうが!」とツッコミを入れられるかもしれませんが、本当に思い出しています。

わたしが買い物カートを所定の位置に返却したとしても、ビクターが空港のカートを片付けた時みたいに25セントをゲット出来るわけではないけれど。

わたしは「アポイント」という言葉を聞いた時も、「薄いグリーンの紙」を文房具店で見た時も、「ナポレオン」についての本を読む時も、この映画のことを思い出します。

思い出す頻度がやたら高いのは、きっと、この映画の世界がとっても居心地の良い所だから。

主人公・ビクターの人柄が良いのは勿論、登場人物のほとんどが優しい人ばかり。

ビクターにとって敵役となる登場人物が居るには居るけれど、あくまでもその登場人物は職務を全うするためにビクターの前に立ち塞がるのであって、根っからの悪人というわけではないし、勤め人の辛さのような部分に共感出来るところもあります。

インド人のおじさんの行動にも大変驚かされましたし、あれは絶対やっちゃいけないことなのですが、おじさんが走り出した時、何故だかわたしは無性に感動しました。

もしわたしがあの飛行機に乗ろうとしている乗客の立場だったら「あのおじさんのせいで飛行機が遅れた!」とカンカンになるかもしれませんが。

「友達が俺を守るために夢を諦めようとしている」と知って、走り出さずにはいられなかったおじさんの気持ちは本当に尊いと思います。

わたしも、友達の足枷になんてなりたくない。

わたしも、友達の背中を押せる人になりたいから。

おじさんの走る姿を観る度、友達って素敵だなと思います。

わたしが乗客の立場だったら「あのおじさん何してくれとんじゃー!」とブチ切れるとは思いますが。(大事なことなので2回言いました)

わたしは正直言って、この映画を初めて観た時までは、空港ですれ違う人たちの顔を見ることはありませんでした。

パイロット、客室乗務員、チケットカウンターで働く人、保安検査をする人、掃除をする人、整備をする人、警備をする人、レストランで働く人、などなど他にも書ききれないくらい沢山の人たちが働いているからこそ飛行機に乗れるのに。

乗客たちだって本当に様々。
もしかしたら、ビクターみたいに何らかの事情で足止めをくらっている人や、不倫をしている人や、世界中を飛び回っているビジネスマンや、麻薬を運んでいる人(いけません!)などなど、色んなドラマを一人一人が生きているのかもしれません。

そう考えると、色んな人とすれ違う空港ってとても面白いところですよね。

他の人の様子をじっと見つめてしまうと「何見てんのよ!」と不愉快にさせるかもしれないので、チラッとしか見ないようにしていますが、わたしはこの映画を初めて観た時から、空港で繰り広げられる人間模様に興味を抱くようになりました。

みんな、どこから来てどこへ向かうのでしょう?

そしてあのインド人のおじさんはその後どうなったのでしょう…?

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