金 蓮花 「竜の眠る海 虚飾の檻〈中編〉」
2004年12月15日 おすすめの本一覧
御伽噺の美しさを持つ切ない恋物語に、心動かされたい方へ。
少女小説と侮るなかれ、金蓮花さんの言葉運びはとても趣味が良いのです。
カズサとアサノの静かな恋は、初めて読んでから数年経った今でもわたしの憧れの恋の一つ。お互いに名も知らず出逢い、会う度に惹かれ合って、互いの名を知った瞬間に恋が実らぬことまで知ってしまった。再び再会したのは何年も後のこと。傍らに行けはしても少しの言葉しか交わすことはできない。運命の悪戯のせいで、二人は対立する者同士だったから。愛する人と共に生きることの出来ないその身の代わりに、二人は天響と天鼓という兄弟鳥をそれぞれの手元に置くことにする。鳥籠に入った鳥たちに自分たちの姿を重ね合わせ、その美しい声を聴く度に、二人はお互いを想っていただろう。ところがカズサの飼っていた天響が死んでしまった。その上、カズサ自身も死にかけているという知らせがアサノの元に届く。
そこから二人の恋は動きを見せることとなります。
前述の通り、美しい恋物語が好きな方にお勧め。
「中編」ですがこの一冊だけでも楽しめます。
少女小説と侮るなかれ、金蓮花さんの言葉運びはとても趣味が良いのです。
カズサとアサノの静かな恋は、初めて読んでから数年経った今でもわたしの憧れの恋の一つ。お互いに名も知らず出逢い、会う度に惹かれ合って、互いの名を知った瞬間に恋が実らぬことまで知ってしまった。再び再会したのは何年も後のこと。傍らに行けはしても少しの言葉しか交わすことはできない。運命の悪戯のせいで、二人は対立する者同士だったから。愛する人と共に生きることの出来ないその身の代わりに、二人は天響と天鼓という兄弟鳥をそれぞれの手元に置くことにする。鳥籠に入った鳥たちに自分たちの姿を重ね合わせ、その美しい声を聴く度に、二人はお互いを想っていただろう。ところがカズサの飼っていた天響が死んでしまった。その上、カズサ自身も死にかけているという知らせがアサノの元に届く。
そこから二人の恋は動きを見せることとなります。
前述の通り、美しい恋物語が好きな方にお勧め。
「中編」ですがこの一冊だけでも楽しめます。
山下 京子 「彩花へ 「生きる力」をありがとう」
2004年12月14日 おすすめの本一覧
神戸の連続児童殺傷事件で殺された山下彩花ちゃんの母親、山下京子さんが書かれた本。
事件が起こる前の平穏な日々のこと、事件を知った時のショック、彩花ちゃんが亡くなった時の気持ち、その後のこと、そして加害者の少年に対する今の気持ちが、穏やかな文体で綴られています。山下さんの彩花ちゃんに対する愛が文章を通じて痛いほど伝わってきて、読んでいて涙が止まりませんでした。
本当は奈良の小一女児殺害事件の犯人が見つかってからこの本のレビューをアップしようと思っていたのですが、今日書いたもう一つの日記からわかるように、良い機会だったように思います。
命の尊さについて考えたい方は是非読んでください。お勧めします。
事件が起こる前の平穏な日々のこと、事件を知った時のショック、彩花ちゃんが亡くなった時の気持ち、その後のこと、そして加害者の少年に対する今の気持ちが、穏やかな文体で綴られています。山下さんの彩花ちゃんに対する愛が文章を通じて痛いほど伝わってきて、読んでいて涙が止まりませんでした。
本当は奈良の小一女児殺害事件の犯人が見つかってからこの本のレビューをアップしようと思っていたのですが、今日書いたもう一つの日記からわかるように、良い機会だったように思います。
命の尊さについて考えたい方は是非読んでください。お勧めします。
森村 誠一 「悪魔の飽食」
2004年12月12日 おすすめの本一覧
戦時中日本が中国に対して行なった行為のルポルタージュ。残念ながらわたしはまだ「悪魔の飽食 第三部」しか読んでいないのですが、いずれ入手して全巻読むつもりです。
僭越ながら言わせていただきます。
日本人にはこの行為を謝罪する義務がある。
「過ぎたことは水に流そう」「臭いものには蓋をしよう」は日本人の良くない気質だと思うのです。今年、重慶でのサッカーアジアカップの試合で、中国の若者が日本選手に対し激しいブーイングを行ないました。あれをただ単に怒るのではなく、わたしたちはなぜそうまでされたのか考えるべきだと思うのです。重慶に限らず、先人が何をしたのかを。
この本を読む以前、わたしはナチスドイツの行なったことに対しひどく憤慨してきましたが、自分の国のやったことも知らずにナチスを批判する資格はなかったのです・・・(><)
歴史を忘れてはいけない。まして「そんなことはなかった」という日本のお偉い学者さんたちの説を鵜呑みにされませんよう。それなら「そんなことはしていない」にも関わらず人々は一体どこへ忽然と消えたというのか。一人一人が自分の頭でしっかり咀嚼しなければ、再びこのようなことは幾度となく繰り返されてしまいます。
僭越ながら言わせていただきます。
日本人にはこの行為を謝罪する義務がある。
「過ぎたことは水に流そう」「臭いものには蓋をしよう」は日本人の良くない気質だと思うのです。今年、重慶でのサッカーアジアカップの試合で、中国の若者が日本選手に対し激しいブーイングを行ないました。あれをただ単に怒るのではなく、わたしたちはなぜそうまでされたのか考えるべきだと思うのです。重慶に限らず、先人が何をしたのかを。
この本を読む以前、わたしはナチスドイツの行なったことに対しひどく憤慨してきましたが、自分の国のやったことも知らずにナチスを批判する資格はなかったのです・・・(><)
歴史を忘れてはいけない。まして「そんなことはなかった」という日本のお偉い学者さんたちの説を鵜呑みにされませんよう。それなら「そんなことはしていない」にも関わらず人々は一体どこへ忽然と消えたというのか。一人一人が自分の頭でしっかり咀嚼しなければ、再びこのようなことは幾度となく繰り返されてしまいます。
武者小路 実篤 「友情」
2004年12月10日 おすすめの本一覧
友情と恋心とが長く葛藤した末に、とうとう恋心の方が勝ってしまう話。作者の名前から推察するに(だって漢字ばっかり六文字ですよ!)堅苦しい文章かと思いきや、恋する時の仕様のない気持ちが上手く描かれています。主人公は文字通り「恋は盲目」の状態。ネタバレになってしまうので、最後に誰がマドンナの心を射止めたかは書きませんが、推理しながら読み進めてください(推理小説ではないのですが)。
マドンナの心を射止める幸運な、しかしそれと同時に友情を失った「彼」の心が揺れ動く様に注目。
マドンナの心を射止める幸運な、しかしそれと同時に友情を失った「彼」の心が揺れ動く様に注目。
安野 モヨコ 「美人画報ワンダー」
2004年11月21日 おすすめの本一覧
姉に三冊とも貰って以来、「美人画報」シリーズがお気に入りです。一冊目の「美人画報」と三冊目のこの「美人画報ワンダー」とでは、安野さんのお顔が明らかに変わっていてびっくり! 軽快な言葉運びと楽しい絵に、読んでいて「自分も頑張ろう」と励まされます^^ 美はまるでローマの街のよう。地道な積み重ねのもとに美女が成っていくのですね。参考になる情報が満載です。文庫本も出ていますので、これから読まれる方はそちらもチェックしてみてください^^
前半は太宰自身の虚無が感じられて、読み進むのが辛かった。しかし後半。終わりへ近づくにつれて、立ち込めていた冷たい霧が少し晴れて、淡く色を見せ始めていくような、微かに光を放つような、そんな印象を受けました。
マイナスに凍る愛。変わり得ぬ心。この小説のイメージとして真っ先に浮かんだのは、Dir en greyの「予感」。冷たいアレンジのオルゴールヴァージョンなら尚良く、鬼塚ちひろのアルバム「インソムニア」もこの作品に合うと感じました。
「斜陽」は太宰が魂を込めた作品。
今まで太宰に対しては陰鬱なだけというイメージを持っていましたが、真にロマンというものを解していた人だったのですね。
多少の忍耐は要しますが、必読書の一つとして推薦します。
マイナスに凍る愛。変わり得ぬ心。この小説のイメージとして真っ先に浮かんだのは、Dir en greyの「予感」。冷たいアレンジのオルゴールヴァージョンなら尚良く、鬼塚ちひろのアルバム「インソムニア」もこの作品に合うと感じました。
「斜陽」は太宰が魂を込めた作品。
今まで太宰に対しては陰鬱なだけというイメージを持っていましたが、真にロマンというものを解していた人だったのですね。
多少の忍耐は要しますが、必読書の一つとして推薦します。