美輪明宏 「美輪明宏のおしゃれ大図鑑」
2006年1月19日 おすすめの本一覧
まず装丁がぱっと目を惹きます。手に取っただけで嬉しくなってしまう綺麗な本。内容は、いかに美意識を高めるかについて。それは日々、美しいものに触れること。部屋を美しくするアドバイスや美輪さんが素晴らしいと感じる音楽、絵画、人びとのお話などが書かれています。この本を読んでからというもの、わたしは部屋を散らかさなくなりました。この本に載っている美輪さんの若い頃の部屋を参考にしつつ、自分なりに心地よいお部屋を目指しています☆(^−^) フジ子・ヘミングさんとの対談も、読んでいて自分の個(=孤)性を大切にすべきだということに気づかされ、興味深かったです。
折原みと 『地球〜「箱舟の惑星」〜』
2006年1月17日 おすすめの本一覧
※注意※ 完全にネタバレしてます!
小学何年生のことだったのかな、あの夜は。姉にこの本をもらって、一気に読んで、ダーッと泣いてしまって、小説が大好きになったのは。今読み返しても、やっぱり泣いてしまいました。
ヒロインはリーアという女の子。彼女は死ななきゃならない。死んでしまうのではなく、死ななくちゃいけない、今度こそ。彼女は「人間に生き続ける資格があるかないか」を判断するために期間限定で蘇らされた死びとで、しかもエイリアン。この小説の設定だと地球上の総ての人間の先祖は、彼女の星から移住してきた人々。移住計画の発案者はよそものの自分たちが地球を汚したら自分たちで始末をつける、と考えました。発案者は、その時既に死んでしまっていた娘、リーアを「始末」のために復活させるのです。彼女が人間には生きる資格がない、と一言言えば、人間は滅亡します。
彼女は既に死んでしまっているため身体がありません。そのため他の女の子の身体を借ります。彼女は生前自分が行きたくて生きたくてたまらなかった地球を汚されたことに物凄く怒ります。人間には生きる資格なし、と決断しようと考えます。でも彼女は恋をしてしまいました。星を見ている男の子。彼女は彼を殺したくないんです。彼は、もう自分の身体がなく他人の身体を借りてここに居るに過ぎない彼女を、好きだと言ってくれるんです。彼女は、人間には生きる資格がある、と言おうと決めます。それを言うまで彼のそばで生き続けます。そしてそう言います。
でも、生まれ変わります。また、彼に逢います。
「リーアが死んじゃった!」と泣いて、「また逢えた!」とわたしは今度は嬉し泣きしました(笑)。ラストで彼女が、本当は自分を蘇らせた父親は、病弱で短命だった彼女に普通の女の子として生きさせてくれたのだ、と気づいたところにもまた、愛を感じるのです。
この小説の中に、「この星に生まれたことを、僕は誇りに思う。」という言葉があるのですが・・・、わたしもそう思います。この星に生まれて本当に良かった。
小学何年生のことだったのかな、あの夜は。姉にこの本をもらって、一気に読んで、ダーッと泣いてしまって、小説が大好きになったのは。今読み返しても、やっぱり泣いてしまいました。
ヒロインはリーアという女の子。彼女は死ななきゃならない。死んでしまうのではなく、死ななくちゃいけない、今度こそ。彼女は「人間に生き続ける資格があるかないか」を判断するために期間限定で蘇らされた死びとで、しかもエイリアン。この小説の設定だと地球上の総ての人間の先祖は、彼女の星から移住してきた人々。移住計画の発案者はよそものの自分たちが地球を汚したら自分たちで始末をつける、と考えました。発案者は、その時既に死んでしまっていた娘、リーアを「始末」のために復活させるのです。彼女が人間には生きる資格がない、と一言言えば、人間は滅亡します。
彼女は既に死んでしまっているため身体がありません。そのため他の女の子の身体を借ります。彼女は生前自分が行きたくて生きたくてたまらなかった地球を汚されたことに物凄く怒ります。人間には生きる資格なし、と決断しようと考えます。でも彼女は恋をしてしまいました。星を見ている男の子。彼女は彼を殺したくないんです。彼は、もう自分の身体がなく他人の身体を借りてここに居るに過ぎない彼女を、好きだと言ってくれるんです。彼女は、人間には生きる資格がある、と言おうと決めます。それを言うまで彼のそばで生き続けます。そしてそう言います。
でも、生まれ変わります。また、彼に逢います。
「リーアが死んじゃった!」と泣いて、「また逢えた!」とわたしは今度は嬉し泣きしました(笑)。ラストで彼女が、本当は自分を蘇らせた父親は、病弱で短命だった彼女に普通の女の子として生きさせてくれたのだ、と気づいたところにもまた、愛を感じるのです。
この小説の中に、「この星に生まれたことを、僕は誇りに思う。」という言葉があるのですが・・・、わたしもそう思います。この星に生まれて本当に良かった。
オルハン・パムク 訳・・・和久井 路子 『わたしの名は「紅」』
2006年1月11日 おすすめの本一覧
こういう手法の小説もあるのか、と驚きながら読みました。冒頭では一人の男が死んでいる。殴られ、古井戸に落とされて。彼を殺したのは何者か? ミステリーとして面白いだけでなく訓示にも満ちており、異国情緒も味わえます。人妻の、といっても夫は戦争から帰って来ないのだけれど、恋物語も展開。犯人の辿った末路に、作者の類まれな人間観察力を感じました。
分厚い本ですがまた読み返したいです。
どこか遠い、聞いたこともない国へ旅行したくなりました。
分厚い本ですがまた読み返したいです。
どこか遠い、聞いたこともない国へ旅行したくなりました。
川端康成 「たんぽぽ」
2006年1月6日 おすすめの本一覧
最初の3ページ読んだだけで「参りました」と思いました。川端康成さんの作品を読むのはこれが初めてです。その死によって未完となった「たんぽぽ」。
他の作家と全然違う。「表現している」文章じゃない。これは、深い深い水の中に石を落として、沈んでいた砂が舞い上がって、それをすくい取っている感じ。「本質」の文章だ。誘うような狂気ではなく、「本質」という絶対的なものを書ける作家は数少ない。わたしは、まるでピカソの元を訪れた若者のように、筆を折りそうになりました。折ろうとしても折れないですけど。
「たんぽぽ」が完結していたとしたら・・・、きっと三人は一緒に鐘を撞いているんだろうなぁ。川端さん、続きを教えてくださいな。
他の作家と全然違う。「表現している」文章じゃない。これは、深い深い水の中に石を落として、沈んでいた砂が舞い上がって、それをすくい取っている感じ。「本質」の文章だ。誘うような狂気ではなく、「本質」という絶対的なものを書ける作家は数少ない。わたしは、まるでピカソの元を訪れた若者のように、筆を折りそうになりました。折ろうとしても折れないですけど。
「たんぽぽ」が完結していたとしたら・・・、きっと三人は一緒に鐘を撞いているんだろうなぁ。川端さん、続きを教えてくださいな。
楠田枝里子 「ナスカ 砂の王国〜地上絵の謎を追ったマリア・ライヘの生涯〜」
2005年10月30日 おすすめの本一覧
図書館で、何か良い本はないかと探している時、目に「楠田枝里子」の名前が飛び込んできて、「本人!?」とびっくりしてしまいました(笑)。本を書いてらっしゃったのですね。中身をぱらぱら捲ったら、わたしはナスカに興味を持っていましたし、文章も良さそうだったので、借りて読んでみました。
読んでいて、なぜ楠田さんが、このナスカという地に、そしてこのマリア・ライヘという人に惹かれるのか、わかってきました。悠久の「時」の旅。その旅では「過去」にも「現在」にも「未来」にも行ける。遥かな昔に誰かに作られた地上絵は今も存在し「未来」という時を「生きる」。過去ではない。しかし現在でも未来でもない、けれどそこに在り続ける地上絵の意味。マリア・ライヘさんも亡くなって、過去になってしまったように見えるけれど、本当はそうではない。
永遠の旅人となり、今も地上絵を見つめているのかもしれない。
わたしもいつかナスカに立ってみたい。
P216のクモの物語を、わたしも感じたいのだ。
読んでいて、なぜ楠田さんが、このナスカという地に、そしてこのマリア・ライヘという人に惹かれるのか、わかってきました。悠久の「時」の旅。その旅では「過去」にも「現在」にも「未来」にも行ける。遥かな昔に誰かに作られた地上絵は今も存在し「未来」という時を「生きる」。過去ではない。しかし現在でも未来でもない、けれどそこに在り続ける地上絵の意味。マリア・ライヘさんも亡くなって、過去になってしまったように見えるけれど、本当はそうではない。
永遠の旅人となり、今も地上絵を見つめているのかもしれない。
わたしもいつかナスカに立ってみたい。
P216のクモの物語を、わたしも感じたいのだ。
もり ひさし 「はらぺこあおむし」
2005年10月28日 おすすめの本一覧
ココ・シャネルについて知りたくて、まず大まかなことを知っておこうと手に取ったのがこの本でした。シャネルの他、キュリー夫人、シモーヌ・ド・ボーヴォワール、シモーヌ・ヴェイユ、短くはあるけれどモンテスパン公爵夫人、ロラン夫人、ジョルジュ・サンドについても書かれている。わたしにとって特に興味深かったのは、やはりココ・シャネルの章でしょうか。雑誌などで華々しく紹介されるこのブランドの歩みや方向性は、これまでイメージしていたものとは違うものでした。彼女の最後の挑戦の箇所では感動を覚えたほど。二十世紀という「時」を戦い抜いてきたブランド。高級ブランドではあるけれどただ値段が高いわけではなく、その値に値するのだと知りました。だからわたしはいつかシャネルが似合う女性になりたいと思う。しかし彼女はたくさんの女性たちを過度な装飾から解放し、肉体的にも精神的にも自由を与えたけれど、彼女自身は孤独なままだった。巧みな言い回し方もそれゆえでしょうか、才能の代わりに欠如したものを埋めきらなかった。いつかココ・シャネルが生まれ変わってまたこの地上に現れたとしたら、今度は女性としても幸せな人生を歩みますように。そして前世の彼女の生き方も、愛せますように。
松本清張 「黒革の手帖」
2005年7月15日 おすすめの本一覧 いかにして罠をはるか。からめ捕るか。しかし決して、他人の罠にかかってはならない。それは即、死に直結する。この物語の主人公、元子は罠をはる。しかしそれは誰の罠なのか。男女の業が書かれていますから、自分の業に向き合うきっかけになると思います、特に女性におすすめしたいです。量はありますが文章は割合、明快で読みやすいですよ。推理小説が好きな方にも良いのではないでしょうか。ドラマ化もされましたが、原作の方が「はかりごと」がビシッと決まっていて完成度が高く、好ましく感じました。登場人物たちのそれぞれの執着や欲望といった感情が、ストレートに伝わってきますし。
わたしなりの解釈を平たく申しますと、原作のテーマは「男女(特に女)の業」。ドラマのテーマは「女の強靭な精神」。そんな感じを受けました。
わたしなりの解釈を平たく申しますと、原作のテーマは「男女(特に女)の業」。ドラマのテーマは「女の強靭な精神」。そんな感じを受けました。
もっと早くにこの本と出逢いたかった。でも、今出逢えて良かった。数学者による数学という学問の本質についての本です。専門的な内容もあり、最初はとっつきにくかったのですが、P22〜23の「もし〜」あたりからエンジンがかかり始めました。「なぜ数学を学ぶべきか」が全体を通して書かれていて、決定的な答えがP218にあります。本質と本質でないものを区別する能力、無限を客観的に見ることのできる能力、物事の正確さを証明することができる能力、それらを培える唯一の学問!
数学嫌いになってから、はや六年以上。わたしはただ問題を与えられて、公式を覚えて、淡々と答えを解くという作業が嫌でした。でもこの本で扱っている数学は楽しかった。P109〜P112、P134〜137の問題にわくわくして取り組むことができました。P149〜159の数学者たちの考えも数学を学ぶことへのヒントになる。P173〜183も楽しいし納得できる。P162の「3分の1の理論」は芸術分野でも使えそう。でもP115のパイの値が、校正ミスでとんでもないことになっています、ぼんやりして覚えないよう注意。
邦題がニクいですね。これなら数学がいつも苦手だった人(例えばわたし)は手にとる(笑)。そして数学への見方を変える。おすすめ☆
数学嫌いになってから、はや六年以上。わたしはただ問題を与えられて、公式を覚えて、淡々と答えを解くという作業が嫌でした。でもこの本で扱っている数学は楽しかった。P109〜P112、P134〜137の問題にわくわくして取り組むことができました。P149〜159の数学者たちの考えも数学を学ぶことへのヒントになる。P173〜183も楽しいし納得できる。P162の「3分の1の理論」は芸術分野でも使えそう。でもP115のパイの値が、校正ミスでとんでもないことになっています、ぼんやりして覚えないよう注意。
邦題がニクいですね。これなら数学がいつも苦手だった人(例えばわたし)は手にとる(笑)。そして数学への見方を変える。おすすめ☆
馳 星周 「不夜城」
2005年6月16日 おすすめの本一覧
人気のはずだ、と思いました。ハードボイルド小説に馴染みのないわたしでも一気に惹きつけられ、今日一日で読み終えてしまいました。騙し騙され、殺し殺される、裏切り合い、心理戦、恋人や身内さえ切り捨てる感情まで描かれている。来て欲しい時に来て欲しいものが来るというか、作り手の馳さんは小説の書き方を熟知していると思います。作り手のミスに気を取られずに安心して読める本は少ないのですが、この作品はその中の貴重な一つ。これがデビュー作とは驚嘆に値します。ただ、結末が予想できたのが残念。この結末できれいにまとめたからこそヒットしたのかもしれないのですが・・・。主人公の過去に関する記述も、必要以上に多い上に位置も多少読者を混乱させる配置のような気が致します。
脇役なのですが、好きな女さえずたずたにしてしまう残虐なナイフ使い、呂方が強烈に印象に残りました。容貌の描写といい(低身長で女の子のような顔、サラサラの髪でオールバックw/←爆)過激な言動といい振る舞いといい。早めに死んでしまって残念なキャラクターでした。
続編とはどの作家のものでも精彩を欠くものが多いのですが、「鎮魂歌」もいずれ読んでみたいです。
脇役なのですが、好きな女さえずたずたにしてしまう残虐なナイフ使い、呂方が強烈に印象に残りました。容貌の描写といい(低身長で女の子のような顔、サラサラの髪でオールバックw/←爆)過激な言動といい振る舞いといい。早めに死んでしまって残念なキャラクターでした。
続編とはどの作家のものでも精彩を欠くものが多いのですが、「鎮魂歌」もいずれ読んでみたいです。
御輿員三 「神と悪魔との間で 『楽園喪失』論 英詩考その二」
2005年6月14日 おすすめの本一覧 ミルトンの「楽園喪失」の考察本。英・日対訳つきで、声に出して読む楽しさも味わえます。「楽園喪失」というテーマに対する興味をより刺激されました。ルシファー、ラファエル、アダム、そしてイヴ。それぞれの姿やしぐさが見え、声が聴こえるようでした。特にルシフェルはとても生き生きとしている。共に地獄に堕とされたバアルゼブブに言った、「全てを失ったわけではない」というセリフ。楽園に侵入し、イヴの夢に現われて、「食べてならないとすればどうしてここにあるのか」と実とイヴに語りかけ、実を口にしている。何とも格好いい。大きな収穫だったのは、ずっと昔から存在を知っていた天使の名がアブディエルというのだと知れたこと。ルシフェルが一番ついて来て欲しかったのは多分この天使でしょう。最高位天使だったルシフェルの副官だった可能性もあるこの天使は、ルシフェルと対立。彼は動揺し反撃しますが、彼女は彼の堕天後も天界に留まっています。バアルゼブブも登場、人間世界に対し悪だくみを行います。終始楽しんで読めました☆ P99の神の子の申し出は崇高でもあり悲しくもあります。
「私ではいかがでしょうか。人間の代わりに私では」
P8〜13の詩も必読です☆
「私ではいかがでしょうか。人間の代わりに私では」
P8〜13の詩も必読です☆
江本 勝 「水の「真」力 心と体のウォーター・ヒーリング」
2005年6月13日 おすすめの本一覧
「水」シリーズはほとんど読みました。この本ではP133の、真言密教の加藤宝喜さんが加持祈祷を行った水の結晶が最も美しい。まるで光輪が輝いているようで、見つめていると何だか穏やかな気持ちになるのが不思議。
サンサーンス バレエ「白鳥の湖」より第二幕 情景
:強迫観念からの解放、関節
バッハ 「トッカータとフーガ ニ短調」
:無気力からの解放、脳(右半球)
パッヘルベル 「カノン ニ長調」
:心配・不安からの解放、子宮・卵巣
この3曲はもともと好きなので定期的に聴くように致します。しかしこの方の意見だとベートーヴェンは良くないとされるのですが、ベートーヴェンってロマンチックで情熱的で、好きな人は大変好きな音楽家ですよね。かく言うわたしも今ではベートーヴェン好き。曲の多くに感情が込められ過ぎているからいけないのでしょうか? うーむ。
サンサーンス バレエ「白鳥の湖」より第二幕 情景
:強迫観念からの解放、関節
バッハ 「トッカータとフーガ ニ短調」
:無気力からの解放、脳(右半球)
パッヘルベル 「カノン ニ長調」
:心配・不安からの解放、子宮・卵巣
この3曲はもともと好きなので定期的に聴くように致します。しかしこの方の意見だとベートーヴェンは良くないとされるのですが、ベートーヴェンってロマンチックで情熱的で、好きな人は大変好きな音楽家ですよね。かく言うわたしも今ではベートーヴェン好き。曲の多くに感情が込められ過ぎているからいけないのでしょうか? うーむ。
大槻ケンヂ 「猫を背負って町を出ろ!」
2005年6月6日 おすすめの本一覧
大槻ケンヂさんというのはもはや一つのジャンルですね。わたしは「のほほん人間革命」から彼の本を読み始めました。初めて読んだ時、「何者!?」と衝撃を受けたのをはっきりと覚えています。この独特の言葉のリズム感。大槻さんにしか書けないであろう、この内容。鮮烈です。
この「猫を背負って町を出ろ!」は冒頭のNIRVANAのカート・コヴァーンについて以外は、全て、トんでます(笑)。しかし、トんでいるけれど、味わいがあります。人生とは何かを考えさせられるのです(少なくともわたしは)。しかしながら良識ある女性向きの内容ではないと思われます。そして潔癖な男性にも奨められない内容です。大槻さんが若い頃どれだけ女遊びをしていたか、が大部分を占めていますから(苦笑)。バンドマンって一体・・・と思わないように^^; そして大槻さんの性癖についても記されている。でも、第三章の「おたくもつらいのよ」は良識ある女性にも読んで欲しいです。北方謙三の「死にたくなったら読書百冊。うち二冊は太宰治。だが太宰は続けて読むなよ」という言葉、この本で初めて知りました。めちゃくちゃだけれど、筋が通っている気がします。そして大槻さんによる「君ィ、バンドをやりなさい!」・・・名言?(笑)
室井佑月さんによる「解説」も見事なスパイスになっています☆ 素晴らしいですね〜ロバ。(^ー^)
紳士淑女以外の方にお奨め。
この「猫を背負って町を出ろ!」は冒頭のNIRVANAのカート・コヴァーンについて以外は、全て、トんでます(笑)。しかし、トんでいるけれど、味わいがあります。人生とは何かを考えさせられるのです(少なくともわたしは)。しかしながら良識ある女性向きの内容ではないと思われます。そして潔癖な男性にも奨められない内容です。大槻さんが若い頃どれだけ女遊びをしていたか、が大部分を占めていますから(苦笑)。バンドマンって一体・・・と思わないように^^; そして大槻さんの性癖についても記されている。でも、第三章の「おたくもつらいのよ」は良識ある女性にも読んで欲しいです。北方謙三の「死にたくなったら読書百冊。うち二冊は太宰治。だが太宰は続けて読むなよ」という言葉、この本で初めて知りました。めちゃくちゃだけれど、筋が通っている気がします。そして大槻さんによる「君ィ、バンドをやりなさい!」・・・名言?(笑)
室井佑月さんによる「解説」も見事なスパイスになっています☆ 素晴らしいですね〜ロバ。(^ー^)
紳士淑女以外の方にお奨め。
高橋シズヱ・川原理子 「<犯罪被害者>が報道を変える」
2005年5月4日 おすすめの本一覧
犯罪被害者の傷を抉る取材者への警告ともいえます。「地下鉄サリン被害者の会」の代表世話人の高橋シズヱさん(車内にあったサリンのもれだしている新聞包みを取り出し、被害の拡大を防いで亡くなった方の妻)と理解ある記者の手による本。
読んでいると腹が立って泣けてきます。高橋さんの経験した報道被害だけでも相当なもの。事件直後、精神的にギリギリの時に大挙して自宅に押し寄せ、写真を撮る、フラッシュを浴びせる。朝早く突然現われて、ドアの間に足を挟んでドアを閉められないようにしてコメントを求める。「貸してください」と言って持っていった被害者の写真を他の取材者に使わせない為にいつまでも返さない。葬儀式場の中にカメラを担いでドヤドヤと入って来る。他にも残酷な行為が平気でなされています。
ショックだったのは大阪教育大学付属池田小学校事件で娘の麻希ちゃんを亡くした酒井馨さんの話。通報が遅れたこともあり救命活動は遅れた。校舎から運動場へ下りる階段の所で、学校の先生が必死で麻希ちゃんに人工呼吸をしている時、先生の耳にヘリの音が聞こえてきた。ヘリは二機、三機と増えてきた。先生はこの子は病院へ運ばれてきっと助かる、と思った。けれどヘリは一機も降りて来なかった。直下で命を失おうとしている子がいるのに、広いグラウンドがあって降りるスペースはあるのに、ヘリはただ写真や映像を撮り続けた。低空で撮影するヘリの爆音で救急車の無線は正確に伝わらず、取材の電話で消防署の電話回線も小学校の電話回線もパンクして、どの子がどこの病院に運ばれたのかもわからなかった。麻希ちゃんは病院へ向かう救急車の中で失血死した。学校へ駆けつけたくても取材陣が道を塞ぎ、渋滞して前に進めなかった。病院でも取材陣が待ち構えていてマイクを向けた。自宅にも取材陣はやって来ていて、亡骸を裏口から運び入れるしかなかった。葬式に無断で入ってきて、「デスク、泣かせてやりますよ」と無断でカセットレコーダーで葬儀の模様を録音し、それを無断で本にされた(本の内容も最低)。出棺の時も凄まじいフラッシュをたかれた。自宅に入り込まれた。映像は撮らない約束で取材に応じたのに、映像を撮られて放映された・・・。
世田谷一家殺人事件のケースも悲惨。警察においても調書は事実と違うことばかり書かれていて調書と呼べない代物、血は見えなかったのに「一面血の海」と書かれたり、遺族は実は在日コリアンで(現場には韓国製テニスシューズの跡があった)事件は遺族に関係がある、と荒唐無稽な嘘を書かれるなど散々。
他にもありますが後は読んでください。m(_ _)m 松本サリン事件を真っ先に通報した方が容疑者として報道されたことなども触れられていて、やりきれない気持ちになりますが・・・。根拠もないのに映像や活字になると、信用されてしまうマスメディアの一面が恐ろしい。また、周りの目も、恐ろしい。「何も知りません」と近所の人が言っただけで「近所づきあいはなかったようです」と報道されてしまう恐ろしさ。被害者を「お前に落ち度があったんだ」と中傷し、被害者に無理やりにでも落ち度を見つけて自分は大丈夫だ、と安心しようとする人間の醜さ。神戸連続児童殺傷事件で娘の彩花ちゃんを亡くした山下京子さんが、報道用に写真を渡したら、彩花ちゃんの顔が切り抜かれて返ってきたというのにも、涙が溢れました。
「報道の自由」や「知る権利」は決して「人を傷つけてもいい自由」ではない。記者側の文章も載せられており、素晴らしいです。
読んでいると腹が立って泣けてきます。高橋さんの経験した報道被害だけでも相当なもの。事件直後、精神的にギリギリの時に大挙して自宅に押し寄せ、写真を撮る、フラッシュを浴びせる。朝早く突然現われて、ドアの間に足を挟んでドアを閉められないようにしてコメントを求める。「貸してください」と言って持っていった被害者の写真を他の取材者に使わせない為にいつまでも返さない。葬儀式場の中にカメラを担いでドヤドヤと入って来る。他にも残酷な行為が平気でなされています。
ショックだったのは大阪教育大学付属池田小学校事件で娘の麻希ちゃんを亡くした酒井馨さんの話。通報が遅れたこともあり救命活動は遅れた。校舎から運動場へ下りる階段の所で、学校の先生が必死で麻希ちゃんに人工呼吸をしている時、先生の耳にヘリの音が聞こえてきた。ヘリは二機、三機と増えてきた。先生はこの子は病院へ運ばれてきっと助かる、と思った。けれどヘリは一機も降りて来なかった。直下で命を失おうとしている子がいるのに、広いグラウンドがあって降りるスペースはあるのに、ヘリはただ写真や映像を撮り続けた。低空で撮影するヘリの爆音で救急車の無線は正確に伝わらず、取材の電話で消防署の電話回線も小学校の電話回線もパンクして、どの子がどこの病院に運ばれたのかもわからなかった。麻希ちゃんは病院へ向かう救急車の中で失血死した。学校へ駆けつけたくても取材陣が道を塞ぎ、渋滞して前に進めなかった。病院でも取材陣が待ち構えていてマイクを向けた。自宅にも取材陣はやって来ていて、亡骸を裏口から運び入れるしかなかった。葬式に無断で入ってきて、「デスク、泣かせてやりますよ」と無断でカセットレコーダーで葬儀の模様を録音し、それを無断で本にされた(本の内容も最低)。出棺の時も凄まじいフラッシュをたかれた。自宅に入り込まれた。映像は撮らない約束で取材に応じたのに、映像を撮られて放映された・・・。
世田谷一家殺人事件のケースも悲惨。警察においても調書は事実と違うことばかり書かれていて調書と呼べない代物、血は見えなかったのに「一面血の海」と書かれたり、遺族は実は在日コリアンで(現場には韓国製テニスシューズの跡があった)事件は遺族に関係がある、と荒唐無稽な嘘を書かれるなど散々。
他にもありますが後は読んでください。m(_ _)m 松本サリン事件を真っ先に通報した方が容疑者として報道されたことなども触れられていて、やりきれない気持ちになりますが・・・。根拠もないのに映像や活字になると、信用されてしまうマスメディアの一面が恐ろしい。また、周りの目も、恐ろしい。「何も知りません」と近所の人が言っただけで「近所づきあいはなかったようです」と報道されてしまう恐ろしさ。被害者を「お前に落ち度があったんだ」と中傷し、被害者に無理やりにでも落ち度を見つけて自分は大丈夫だ、と安心しようとする人間の醜さ。神戸連続児童殺傷事件で娘の彩花ちゃんを亡くした山下京子さんが、報道用に写真を渡したら、彩花ちゃんの顔が切り抜かれて返ってきたというのにも、涙が溢れました。
「報道の自由」や「知る権利」は決して「人を傷つけてもいい自由」ではない。記者側の文章も載せられており、素晴らしいです。
遠藤 周作 「白い人・黄色い人」
2005年5月4日 おすすめの本一覧
カトリックの立場から生と死を見つめた、遠藤周作の初期作品。「白い人」の主人公が育ったリヨンで、「黄色い人」に登場する破戒僧デュランも育ったというのは意味ありげです。(ないのかもしれませんが)
わたしにとって「黄色い人」は衝撃的な内容でした。日本人は多くの神は持っても一つの神は持たない。キリスト教は神に許しを乞い続けるのに比べ仏教は「なんまんだ」と言えばすぐに仏が許してくれる、つまり罪の意識が全くといっていいほど違う。キリスト教が善悪をきっちりと分けるのに比べ仏教は善も悪も区別がない。生と死も、希望と絶望も、全てが混沌としている・・・。自分の何たるかを見せ付けられ、読むのが苦しかったです。
遠藤周作の作品はこの「白い人・黄色い人」に限らず、一つの作品で扱うテーマが一つでない上に人間の醜い部分まで描ききるのが特徴です。読みきるのは辛いですが得るものは大きいので、興味を持たれた方はどうぞ心してお読みください。
わたしにとって「黄色い人」は衝撃的な内容でした。日本人は多くの神は持っても一つの神は持たない。キリスト教は神に許しを乞い続けるのに比べ仏教は「なんまんだ」と言えばすぐに仏が許してくれる、つまり罪の意識が全くといっていいほど違う。キリスト教が善悪をきっちりと分けるのに比べ仏教は善も悪も区別がない。生と死も、希望と絶望も、全てが混沌としている・・・。自分の何たるかを見せ付けられ、読むのが苦しかったです。
遠藤周作の作品はこの「白い人・黄色い人」に限らず、一つの作品で扱うテーマが一つでない上に人間の醜い部分まで描ききるのが特徴です。読みきるのは辛いですが得るものは大きいので、興味を持たれた方はどうぞ心してお読みください。
上尾信也 「歴史としての音 ヨーロッパ中近世の音のコスモロジー」
2005年5月3日 おすすめの本一覧
音楽の変遷によりヨーロッパの中世後期から近世にかけての歴史を考えようとする本。第一章の「楽譜 音の記譜法」で、地球と金星はアルト、水星はソプラノといった風に惑星たちが天の音楽を宇宙に鳴り響かせていると考えた、ヨハンネス・ケプラーから紹介しているのがとても印象的です。土星と木星はバス、火星はテノール・・・自分たちが地球というアルトパートの音符の一つ一つだと考えると楽しいですね。ハート形の五線譜の存在、初めて知りました。かわいらしい・・・けれど演奏する方は見にくい(苦笑)。激しく鋭い音(「オー」)と優しく穏やかな音(「バ」)とが分けられ始めたのは十四世紀以降から(「クレオマデス」で楽器の区分を行っていることから、十三世紀からも既に窺える)、作曲家が俗謡から定旋律(テノール)をとったりするなど(それまでは聖歌からとっていた)聴き手に受ける音楽を作り始めたのは十五世紀、など知識を豊富にしてくれます。日本においても鐘の音はあの世とこの世を繋ぐものだ、という考え方も驚き。
専門的で難しいですが、挑戦する価値はあります☆
専門的で難しいですが、挑戦する価値はあります☆
水野和彦 「音薬効果 なぜ音でヒトは変わるのか」
2005年5月3日 おすすめの本一覧
様々な音が人に及ぼす影響について書いた本。全てのものは粒子の集合体、人もまた然り。音=振動であって、粒子にその震えは伝わる。普段何気なく聴いている音、たとえそれが気づかないほど遠く小さい音であっても音は確実に自分に影響を与えている。良い薬になる音もあれば毒になる音もあり、特に刺激の強すぎる音は麻薬のように人を蝕む、ということがよくわかります。傾向として高い音、突発的な音(例えばチョークを黒板にこすりつけた音など)よりは低い音、継続的な音(鐘の音など、低音を含んだ安定した音。大概の鐘は高い場所にあり、その音が上から聴こえるのは良い効果でしょうね)が好まれるというくだりにはなるほどと思いました。NAMについても多く触れられており(聴くことによって精神を落ち着かせることができる音楽。ニュー・エイジ・ミュージック)、非常に興味を引かれます。まさに音薬☆ 特にスティーブン・ハルパーンのものは要チェック、とメモしました。それにしても、高周波帯域の音が脳を破壊できる可能性があるというくだりは恐ろしいですね。冷蔵庫のモーターの低周波音が胃の周辺に共鳴して空腹を招くというのはまだ笑って読めますが・・・^^
最後の第六章はきっと音楽を使った自己改革に役に立ちますよ☆ あなたと音との関係を変えてくれる本です。
最後の第六章はきっと音楽を使った自己改革に役に立ちますよ☆ あなたと音との関係を変えてくれる本です。
小池修一郎、ミヒャエル・クンツェ 「エリザベート〜愛と死の輪舞〜」
2005年3月29日 おすすめの本一覧
オーストリア・ハンガリー二重帝国を樹立し19世紀後半から20世紀初頭に君臨した皇帝フランツ・ヨーゼフの最愛の皇后エリザベート。田舎の公爵の娘が皇后になるというシンデレラストーリーを現実のものとした彼女は、その絶世の美で名を轟かせ、1898年、無政府主義者により刺殺された。皇帝は大変なショックを受け、勝ち目のない第一次世界大戦に調印し、大敗。その後、700年栄華を極めた名門ハプスブルク家は崩壊した。
長い長いハプスブルクの歴史の中でも(大公、皇帝、国王を代々輩出している名門中の名門)、わたしはこのエリザベートの生きた時代が一番好きです。滅びゆく醜さと美しさを感じるというか・・・。
この小説は同名の舞台を小説化した作品です。黄泉の帝王トートがエリザベートを愛していたという設定や、彼女を殺した無政府主義者、ルイジ・ルキーニを語り手にするなど作りが活きていた舞台の魅力をそのままに、かつ小説ならではの世界を作り上げています。文章が非常に秀逸。読んでいて映像が見え、音が聴こえてくるよう。
ハプスブルク家を知る一助になるはず^−^
長い長いハプスブルクの歴史の中でも(大公、皇帝、国王を代々輩出している名門中の名門)、わたしはこのエリザベートの生きた時代が一番好きです。滅びゆく醜さと美しさを感じるというか・・・。
この小説は同名の舞台を小説化した作品です。黄泉の帝王トートがエリザベートを愛していたという設定や、彼女を殺した無政府主義者、ルイジ・ルキーニを語り手にするなど作りが活きていた舞台の魅力をそのままに、かつ小説ならではの世界を作り上げています。文章が非常に秀逸。読んでいて映像が見え、音が聴こえてくるよう。
ハプスブルク家を知る一助になるはず^−^
小笠原敬承斎 「小笠原流礼法入門 図解 美しいふるまい」
2005年3月24日 おすすめの本一覧
図書館から借りて読んだのですが、動作の一つ一つが写真と文章とで丁寧に、しかもわかりやすく説明され、これまで礼儀作法に無頓着だった自分を恥ずかしく思いました。少し気を配るだけで印象は大分変わるのですね。立つ、座るなどの基本動作、訪問ともてなし方、和・洋食の作法、冠婚葬祭までありとあらゆる知りたかったことを教えてくれる本です。ただ、内容が良いので仕方がないのですが、値段が学生には少々高いのが残念・・・。中古で安く売られているのを見つけたら買おうと思います(^−^)v
宮崎 駿 「風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡」
2004年12月31日 おすすめの本一覧
宮崎駿ファン必読と言える対談本。宮崎さんは大変丁寧にお話をされており、「風の谷のナウシカ」から「千と千尋の神隠し」まで、各作品について「そうか!」と新たな発見をすることが出来ます。ただ、インタヴュアーの渋谷陽一さん自身が宮崎さんとの会話を楽しむあまり、これがインタヴューであることを忘れて(?)会話に熱中し、今いち深い話ができていないのが残念ですが。更に「この作品はこうですよね」と自分自身の講釈を宮崎さんに押し付けるばかりか、だんだん自分が宮崎さんと対等であるかのような口の利き方をしていき、挙句の果てに失礼な発言を連発しているのも気になる・・・。この本が出版された後、渋谷さんは道を歩いていて大丈夫だったんでしょうか?(汗/熱狂的な宮崎さんファンならバッシングしそう。わたしも子どもの頃からの宮崎さんファンなのでムッとしました。さすがに「ハウルの動く城」は好きになれませんでしたが・・・)
とは言え、宮崎さんファンには是非読んで頂きたい本です。インターネット上などでは「千と千尋の神隠し」などに残る謎を明らかにする書き込みも多く、それらによって新たな発見をすることが多いのは事実ですが、やはり宮崎さん自身の言葉でその作品を知るのも楽しいですよ^^
とは言え、宮崎さんファンには是非読んで頂きたい本です。インターネット上などでは「千と千尋の神隠し」などに残る謎を明らかにする書き込みも多く、それらによって新たな発見をすることが多いのは事実ですが、やはり宮崎さん自身の言葉でその作品を知るのも楽しいですよ^^